メジャーリーガーが語る大谷翔平:一流選手だからこそ理解できる二刀流のすごさ

メジャーリーガーが語る大谷翔平:一流選手だからこそ理解できる二刀流のすごさ

トミー・ジョン手術を経て二刀流として復帰する大谷。その才能は一流メジャーリーガーたちも一目置いている。(C)Getty Images

2018年の前半戦、大谷翔平(エンジェルス)はMLBに一大センセーションを巻き起こした。打っては豪快なホームランを連発し、マウンドでは快刀乱麻のピッチング。100年前のベーブ・ルース以来となる本格的な投打二刀流の活躍に、ファン、メディア、選手問わず多くのアメリカ人が心を奪われた。

 あれから2年、トミー・ジョン手術を経た大谷が再び二刀流選手としてフィールドに戻ってくる。ここで改めて、メジャーリーガーが大谷という選手について、そして二刀流について、どのような思いを抱いているのかを明らかにしていこう。

 多くの選手がまず指摘するのは、投手と野手を両立することの難しさだ。まずは2人の超一流投手のコメントを紹介しよう。昨年、最多勝とサイ・ヤング賞に輝いたジャスティン・バーランダー(アストロズ)いわく「自分が二刀流をこなせるとは思わない。投手として成功するだけでも、本当に難しいことだ。一流の座を守るためには本当にたくさんの時間と労力が必要なんだよ」。
  サイ・ヤング賞3度、防御率のタイトルを5度も獲得しているクレイトン・カーショウ(ドジャース)はこうだ。「自分が先発する時にどれだけの準備が必要なのかを知っているから、そこに打つことや野手としての守備練習も加えなきゃならないことを考えたら……あり得ない話だよ」。

 ブルワーズの火の玉クローザー、ジョシュ・ヘイダーは自身の経験から次のように語る。「俺も高校時代はライトと一塁もやっていた。自分がもしメジャーで二刀流にトライするとしたら? 守備は何とかなるかもしれないけど、打撃は無理だな。だからピッチャーに専念しているのさ。投手と打者の両立する方法は……正直、分からないね。だって、2つとも全然違う役割だから。大谷がしていることは本当にすごいと思うよ」

 球界きっての一言居士で、昨オフは来日して日本の投手たちと交流したトレバー・バウアー(レッズ)も、大谷に賛辞を惜しまない。「真の一流選手になるためには睡眠時間や栄養、体力回復をきっちり管理しなきゃいけない。大谷はあの若さにして、投打であれだけの才能を発揮している。これは本当にすごいことだ。だって、あれほどのレベルに達するまでどれだけの練習をこなさなきゃいけないと思う? 大谷は一流打者になるだけじゃなくて、一流投手になる術も学んでいる。つまり、投手として、打者として『二重生活』を送っているようなものだ」
  メジャーリーガーの日々のルーティンについては、アダム・ウェインライト(カーディナルス)のコメントが分かりやすい。「ピッチングだけをこなしている僕らは、先発と先発の間に時間をかけてランニングやトレーニングをしたり、映像を見たりする。前の登板からの回復にもそれなりの時間がかかる。打者だって同じだ。大谷に関して言えば、毎日DHで出るために対戦投手の映像を見なければならないし、打席での身体の使い方、バットや軌道なんかを確認しなければならない」

 昨季限りで現役を引退した二塁手のイアン・キンズラーは18年、チームメイトとして間近で大谷を見守っていた。「彼の時間管理が厳しいのに驚いた。打撃を改善するためだけでも、ものすごい時間をかけているのに、これを投球でもやっているのかって。でも、大変なのと同時に、両方をやっていることをすごく楽しんでいるようにも見えた」。
  このように、メジャーリーガーは投手と野手を両立することの難しさを肌身に染みて理解している。だからこそ、限られた時期ではあっても二刀流を成功させた大谷への称賛を惜しまない。サイ・ヤング賞に3度輝き、現代MLBで最高の投手にも挙げられるマックス・シャーザー(ナショナルズ)のコメントを紹介しよう。

「このリーグには何人もの素晴らしい投手、素晴らしい打者がいるけど、大谷ほどのレベルで両方とも活躍できる選手を僕らは見たことがなかった。子供たちにとって素晴らしい影響があると思う。今は10歳、11歳、12歳で投手しかやらない子が多いけど、それは良くないことだ。どちらもやるのが本来のベースボールのはずさ。(大谷のように)子供たちの目標になるような選手がいるべきなんだ」
  一方で、今後、二刀流をどれだけ続けられるのかについては悲観的な見方もある。バーランダーも言うように、どちらか一方で一流の座を維持するだけでも困難な上に、年齢を重ねるにつれて身体への負担や故障のリスクはどんどん高まっていくからだ。

 しかし、マックス・ケプラー(ツインズ)は言う。「他の人が何と言おうと、どのような文化に育っていようと、自分が好きなことを続けることが大切だと思う」。ドイツ生まれで、昨年、ヨーロッパ出身選手の年間本塁打記録を更新した彼の言葉には重みがある。
  最後に、18年前半戦にアメリカのファンが味わった驚きを感動を的確に表現しているキンズラーのコメントを紹介しよう。今シーズン、大谷がもう一度、あの時の興奮を再現してくれることを願いながら。

「大谷がマウンドに立っている時、彼がいかにすごい打者かを忘れてしまう。彼が打席に立っている時には、いかに素晴らしいピッチャーであるかを忘れてしまう」

構成●SLUGGER編集部
※『SLUGGER』2019年11月号「MLB関係者が語る大谷翔平」を再構成したものです

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