近くて遠い『250セーブ』の壁。確実視されたサファテは故障、山崎康晃も今季の不振で黄色信号!?

近くて遠い『250セーブ』の壁。確実視されたサファテは故障、山崎康晃も今季の不振で黄色信号!?

250セーブの壁は誰が破るのか。日本記録保持者のサファテ(左上)は故障に苦しみ、山崎(右上)と藤川(左下)は今季不振。松井(右下)は今後、先発に戦いの場を移す。写真:徳原隆元(山崎&松井)、滝川敏之(サファテ)、山崎賢人/THE DIGEST写真部(藤川)

プロ野球選手の実績を評価するにあたり、「名球会」の入会資格は基準がはっきりしているため、“分かりやすい”とは言える。基本的には、日米通算で投手であれば『200勝以上』、『250セーブ以上』。打者であれば『2000安打以上』というラインが設けられている。

 果たして、選球眼の良い長距離砲が明らかに不利と言える安打数で打者を評価したり、投手分業制や起用法が大きく変わった昨今、相当に達成困難な200勝というライン設定が適切かどうかはともかく、一見すると『250セーブ』は“達成しやすそう”に思えてくる。

 先に挙げたように現在は投手の役割分担がはっきりしており、1試合を継投していくのが普通だ。だからこそ、プロ野球のセーブやホールドのシーズン記録は2000年代以降の投手ばかりが並んでいる。勝利部門で戦前前後の投手が上位を独占しているのとは対照的と言っていい。

 とはいえ、そのシーズン歴代最多セーブを誇るサファテが、まさか『250セーブ』に届かない可能性が出てきたとは、信じがたい事実だ。8月6日、ソフトバンクはサファテが右股関節の悪化により一時帰国することを発表した。現在39歳の右腕は、18年にも同じ箇所を痛めており、昨年は全休。ここ2年間はわずか5セーブしか稼げず、通算234セーブのまま3年の月日が過ぎようとしている。
  11年に広島から日本でのキャリアをスタートさせたサファテは、いきなり39セーブをマーク。その後、西武を経て14年からソフトバンクに加入し、15年から3年連続セーブ王。17年には日本新記録となる54セーブを挙げてMVPにも輝いた。名球会入りの資格となる250の、実に70%にあたる175セーブを4年間で稼いでいた。しかも、17年はストレートの平均球速が153キロ超、空振り率は両リーグダントツ1位の22.4%という驚異的な数字。衰えなど微塵も感じさせず、何もなければ18年のうちに有資格者となるはずだった。何もなければ……。

 サファテの1歳年上、7月に40歳を迎えた藤川球児も、今季の達成が確実視された『250』の壁の前で足踏みが続いている。昨年は16セーブ&防御率1.77と圧巻の成績を残して後半戦から守護神に復帰し、残り9個に迫った金字塔は「いつ達成するか」が話題になったほどだった。しかし今季はまさかの不振で二軍落ちを経験。現在は再昇格しているものの、再び“本来”の場所に戻れるかは、不透明と言っていい。
  昨年26歳9ヵ月の史上最年少スピードで通算150セーブに到達した、日本代表の守護神でもある山崎康晃(DeNA)も、藤川同様に今季は大不振に陥っている。1年目の2015年に37セーブで新人王、過去2年連続でタイトルに輝いている右腕だが、昨季の段階で空振り率が低下するなど不安なデータはあった。それでもどうにか6セーブこそ挙げているものの、16試合で防御率6.60。ヤスアキもまた、現在は抑えの座を手放している。

 山崎に抜かれるまでの150セーブ最年少記録を持っていたのが、2000年代後半に広島の抑えを務めた永川勝浩だった。フォークを武器とした右腕は制球力に欠け、決して安定した投球ではなかったものの、07〜09年には球団史上初の3年連続30セーブを達成するなど、この時点で163セーブ(奇しくも山崎の昨季時点の通算セーブと同じ)を挙げていた。ペース的には250も十分に射程圏内だったが、故障や不振もあってその後8年間で2セーブを加えたのみで現役を終えている。
  24歳の時点で139セーブを積み上げていた松井裕樹(楽天)は、年齢や投球の質を考えれば250どころか歴代最多セーブも狙えたかもしれないが、今季から先発に転向しており、“この道”での名球会入りは現在のところなさそうだ。現役では増井浩俊(オリックス)や平野佳寿(マリナーズ)も残り100個まで迫っているとはいえ、年齢を考えると可能性は低いだろうか。

 一見するとハードルが低く見える『250セーブ』。しかし、過去の達成者はわずか3人だけと、実際にはとてつもなく高いボーダーが設定されている。そもそも、クローザーは基本的に1チーム1名だけの狭き門だ。その門をくぐり抜けたとしても、待っているのはプレッシャーのかかる場面での大仕事。1年だけならいざ知らず、それを何年にもわたってやり抜くことは、我々が想像するよりもずっと難しいのだろう。

 サファテも、藤川も、山崎も、もちろんまだ可能性は十分ある。しかし、これまでなら簡単に思えた『1セーブ』が、彼らに重くのしかかってきているのは間違いない。

文●新井裕貴(SLUGGER編集部)
 

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