【パ・リーグMVPレース最新動向】事実上、柳田と浅村のマッチレース。ロメロや涌井は割って入れるか

【パ・リーグMVPレース最新動向】事実上、柳田と浅村のマッチレース。ロメロや涌井は割って入れるか

パ・リーグは激しく首位を争うソフトバンクと楽天のどちらかからの選出が有力。中でも浅村(左)と柳田(右)が“ド本命”だ。写真:徳原隆元

シーズンも3分の1にあたる40試合近くを消化。現時点でMVP=「最も価値ある選手」にふさわしいのは誰なのかを見ていこう。

●5 吉田正尚(オリックス)
過去2年連続打率3割2分以上を記録した打撃センスは今季も健在。本塁打は7本と伸びていないものの、打率.338はリーグ3位で、OPS.986も4位に入っている。オリックスには他に.750以上の打者すらおらず、貧打線で孤軍奮闘しているかたちだ。7月7日の日本ハム戦では第1子の誕生を祝うホームラン&4打数4安打、14日には“打撃の神様”川上哲治を上回って史上最速の435試合で通算500安打に到達するなど話題性も十分だが、チームが最下位を独走しているため、受賞の可能性は高くない。
 ●4 涌井秀章(楽天)
昨年3勝に終わった34歳、ロッテから半ば戦力外のような格好で移籍してきたベテランがこれほど活躍すると誰が予想しただろう。負け無しの6勝に加え、防御率2.33もリーグトップ。8月5日のソフトバンク戦では9回1死までノーヒットに抑える快投を演じた。7月15日の西武戦も7回1安打投球を演じていて、被打率は実に.167。当初は先発陣に厚みを加え、若手に経験を伝授してくれれば……くらいの期待度だったのが、今や則本昂大に次ぐ第2エースだ。西武で2度、ロッテでも1度最多勝になっていて、史上初となる3球団でのタイトルが実現するか。

●3 ロメロ(楽天)
オリックスから移籍した今季は、打率.348がリーグ2位、14本塁打はチームメイトの浅村栄斗と並んでリーグトップ。OPS1.160も2位と来日4年目で最高の成績を収め、ブラッシュらの不振によるマイナス面を充分にカバーしている。これほど貢献度の高い選手を年俸6500万円(推定)の格安価格で確保できたのは、楽天編成部の大ヒットだった。故障の多い点が悩みの種だったが、首脳陣が適度に休養を与えながら使っているので、今季は年間を通じてハイパフォーマンスを維持できる可能性もある。
 ●2 浅村栄斗(楽天)
現時点でのMVP争いは、事実上浅村と柳田悠岐(ソフトバンク)とのマッチレースとなっている。開幕から全試合出場、2試合を除いて4番に固定され、14本塁打と49打点はいずれもリーグトップ。開幕17試合の時点で9本、26打点だった際にはスポーツ紙が「年間64発&183打点ペース」と報じたほどの量産ぶりだった。昨年はリーグワーストの162三振を喫するなど、若干粗さが目立っていた点も、今季は44試合で29個と改善されている。ただし本職の二塁ではなく、指名打者での出場が多くなっているため、守備面での貢献が限られているのがマイナス材料だ。

●1 柳田悠岐(ソフトバンク)
昨年は故障で38試合しか出場できなかったが、今季は開幕から猛ダッシュ。8月10日時点で.377の高打率をキープしており、巷では夢の4割を期待する声も聞かれる。特に7月は月間打率.433、OPS1.356と大爆発。18日のオリックス戦で放った9号アーチは推定飛距離150メートル、京セラドームの天井を直撃する驚異の一撃だった。44試合中、一度も出塁できなかったのはたった3試合。出塁率.497で、こちらも史上初の5割超えの可能性がある。首位のソフトバンクだが、投打とも特筆するほど好成績を残している者は他にいないだけに、柳田の貢献度はずば抜けて高い。
 ●その他の候補
 茂木栄五郎(楽天)はリーグ6位の打率.321、8位のOPS.911と打撃絶好調。ショートというポジションを考えれば、その価値はさらに高い。山川穂高(西武)と中田翔(日本ハム)は、いずれも打線の中軸として本塁打と打点ではリーグ上位に入っている。特に中田の44打点はチーム全得点の25%に相当するほどだが、山川ともども打率は.230前後では、MVP候補に推すまでには至らない。ソフトバンクで柳田に次ぐOPS.739を記録している栗原陵矢は、32打点も6位。健闘しているのは間違いないけれども、出塁率.302は低すぎる。

 投手では山本由伸(オリックス)が奪三振はリーグトップと健闘しているが、昨年一度も2点台にすら乗らなかった防御率は3.32。これでもリーグ3位だが、やはりチーム成績が振るっていないことも踏まえると、MVPレースにおいてはここから大きな前進は望めないだろう。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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