大谷翔平が輝くのは「投手専念」。打者としては“中の上”、投手ならサイ・ヤング賞も狙えるはず

大谷翔平が輝くのは「投手専念」。打者としては“中の上”、投手ならサイ・ヤング賞も狙えるはず

再びの故障禍で大谷の二刀流問題が再燃。現地では打者専任を勧める声が多いが……。(C)Getty Images

しかし、それでもこの数値や順位は傑出したものではないし、将来MVP級の活躍を期待したくなるレベルではない。われわれが大谷に驚嘆するのは、投手との兼務でこれだけの結果を残したからだ。打者としての大谷翔平は、まだ成長の可能性はあるものの、かなりの打力が求められる指名打者、一塁手、または外野手としては中の上の域だと思う。

 一方、投手としてはどうか。「怪我さえなければ」という前提に立つが、投手・大谷はMLBで積み上げた実績こそないが、実力はメジャー有数だと思う。微妙な制球力には欠ける一方、100マイルの速球と鋭いスライダー、絶品のスプリッターの組み合わせは、サイ・ヤング賞を狙えるレベルにある。実際、MLB.comのデータ分析家もその投球の素晴らしさについてデータ解析している。
  そして実際、2018年の2ヵ月間という短い期間の中で、投手・大谷の実力はある程度、証明したと言えるだろう。思い出してほしいのだが、高校時代、プロ野球時代において、メジャーが大谷に注目したのは投手の資質だった。ずば抜けた大投手が「結構、打撃もいけるらしい」ということだった。あくまでメジャー的視点からは、打力は付随する魅力だったのだ。

 彼がNPBでのプレーを継続していれば、最終的に落ち着くところは打者専念だと思うし、そうすべきだ。基本的に打者より投手の方に人材を多く輩出するのが日本球界なので、その方が彼にとっても球界にとっても良いことだ。

 しかし、大谷はもうメジャーリーガーだ。彼が憧れの地でより輝く存在になり得るのは、打者よりも投手に専念した場合だろう。

文●豊浦彰太カ

【PHOTO】全米に衝撃を与えた大谷翔平の二刀流、はじける笑顔、日本代表での秘蔵ショットも大公開! 大谷翔平はキャリアの分岐点に差し掛かった。内外のメディアで打者一本に絞ってはどうか、という意見が目立つ。果たしてそれは正しいのだろうか。

 2018年10月のトミー・ジョン手術からの復活を期す今季、大谷は「Disaster(大惨事)」としか言いようがない登板が続いた。2登板後のMRI検査で、右回内屈筋群の損傷が判明。投球再開まで4〜6週間必要とのことで、超短期の今季中の復帰は叶わぬことが決定した。確かに打者専念の声が上がるのも理解できる。

 もともとぼくは、二刀流には懐疑的だった。球歴をそのスタイルで全うすることは現実的ではないし、そのゴールは何なのかが不透明だからだ。かつてイチロー氏が提言した「今季は投手、来季は打者」という出場法を採らぬ限り、規定の投球回数にも打席数にも達することは難しい。これが、本人の本当の幸せや利益につながるのか。この類稀なる才能を野球界は最大限に享受できると言えるのだろうか。

 彼の二刀流へのチャレンジは、今世紀の野球界で最も偉大な試みの一つだが、これまで投打ともしっかり働いたと言い切れるシーズンは、日本ハム時代の一度だけ。投手とDHでベストナインに選出され、MVPを受賞するなど、もはや「マンガのよう」な驚愕のパフォーマンスを見せた2016年だけだろう。その後は、4シーズン連続で大きな故障を経験したことになる。その理由としては、投打兼任の負担が挙げられるかもしれない。
  だから、多くの専門家やファンが、二刀流との決別を勧めるのだけれど、ぼくはその場合、「打者ではなく投手に専念」してほしいと思っている。

 個人的には、打者・大谷には少々物足らなさを感じる。反対方向に本塁打が打てるのは美点だが、ポイントが近く窮屈なスイングゆえか、彼の本塁打にはしっかり引っ張った強烈なライナーや、大きな放物線を描いてライトスタンドに着弾するものが少ない。打球の初速はメジャー有数ではあるものの、その数字を感じさせる豪快な一発は多くない。

 主観ではなく、数値ではどうか。大谷はトミー・ジョン手術からのリハビリ中のため打者に専念した昨季、DHとして425打席に立ち、OPSは.848だった。これは、メジャー全体の400打席以上の207人中69位、DHの16人中では8位だ。恥ずべき成績ではないが、超一流のそれではない。
 
 では、メジャーでの2年間通算ではどうか。792打席でOPSは.883。これは750打席以上の200人中24位で、DHの11人中4位と、かなり上位に属する。やはり2年連続でそれなりの結果を残すのは並大抵ではないし、大谷はそれを成し遂げた限られたエリートの一人と言えそうだ。
 

関連記事(外部サイト)