山田哲人、大野雄大、小川泰弘…今オフ注目のFA選手の現状は?

山田哲人、大野雄大、小川泰弘…今オフ注目のFA選手の現状は?

左から山田、大野、増田、小川。今オフは他にも複数の有力選手がFA市場を賑わす可能性がある。写真:滝川敏之、徳原隆元、田中研治、産経新聞社

今年のストーブリーグは例年以上にFA選手の去就に注目が集まりそうだ。シーズン終盤を前に、新たにFA権を取得した主な選手たちの現状を改めて確認しておこう。

▼山田哲人(ヤクルト)
 今オフFAの目玉中の目玉だが、よりによって今季は故障の影響もあって精彩を欠いている。それで今さら評価が変わるようなレベルの選手ではないとはいえ、メジャー挑戦を視野に入れるなら話は別。今オフはとりあえずスワローズに残留するのでは、との説も流れているが、宣言すれば争奪戦が繰り広げられるのは確実だ。その場合有力視されるのは、巨人とソフトバンクの2大金満球団。特に正二塁手不在のホークスは、どれだけ金を積んでも欲しいのではないか。
移籍先候補:ソフトバンク、巨人

▼大野雄大(中日)
 昨年は防御率リーグ1位、今季も2.59で4位(9月19日現在)。7〜9月にかけては2完封を含む球団タイの5試合連続完投勝利も記録した。評価は上がる一方で、さらには貴重な先発左腕ということもあり、獲得に乗り出すチーム数は山田より多くなりそうだ。報道などでは、本人が少年時代にファンだった阪神が本命視されている。巨人やソフトバンクも、山田が宣言しないか、もしくは取り逃がした場合はそのための資金を振り向けてくるはず。いずれにせよ、ドラゴンズファンは気が気ではないだろう。
移籍先候補:阪神
 ▼小川泰弘(ヤクルト)
 防御率4点台と不調だった昨季から一転、今季はリーグ2位の8勝、8月15日のDeNA戦ではノーヒットノーランを達成し市場価値が再上昇。狭い神宮球場を本拠にしながらほぼ毎年安定した投球を続けており、投手に有利な球場に移れば今以上の好成績を収められそうだ。そうした観点では、地元・愛知県の中日が有力。もし大野の引き留めに失敗するようなら、全力で小川の獲得に向かうだろう。球場に加え、出身校の縁から日本ハムの可能性もある?
移籍先候補:中日

▼増田達至(西武)
 毎年FA選手が抜けていく西武は、今オフは守護神・増田の引き留めに難渋しそう。昨年は30セーブを挙げ、今季もリーグ3位の19セーブで防御率1点台と安定。奪三振率が下降している点はマイナスだが、その分四球も出さなくなっていて、K/BBは7.00の高水準を維持しており、高評価に変わりはない。岸孝之、牧田和久、浅村栄斗らかつてのライオンズのチームメイトが在籍している楽天は、抑え不在という事情もあって最有力と見られるほか、兵庫県出身という縁で阪神の線もなくはない。
移籍先候補:楽天、阪神
 ▼島内宏明(楽天)
 ビッグネームとは言い難いけれども隠れた好選手。18〜19年は2年続けて.370以上の高出塁率をマークしており、今季も.355とまずまず。補償の必要なBランクではあっても、着実に戦力アップが見込める選手なので、少なからず引きはあるだろう。もっとも何が何でも欲しい、と思わせるほど強力なアピールポイントを持ってはいないのも事実。外野の層が厚くない楽天は強く引き留めにかかるはずなので、FA宣言しても残留が濃厚だと思われる。
移籍先候補:残留濃厚

▼西川遥輝(日本ハム)
 リーグ5位の打率.307、同4位の出塁率.427と球界有数のリードオフマンの地位は不動。メジャー移籍希望を公言していて、今オフのポスティング利用もあり得るが、新型コロナが鎮静化していない状況でのMLB移籍は得策ではない。国内FAは行使せず海外FAを待ってアメリカへ、というシナリオが時期的にもベストか。万一国内移籍に切り替えるなら、足に負担のかかる人工芝ではない球場が本拠のチーム、例えば阪神などが選択肢に上る。
移籍先候補:残留濃厚
 ▼梶谷隆幸(DeNA)
 ここ2年間故障続きで各41試合しか出られなかったが、今季は体調万全で久々に充実したシーズンを送っている。打率.315はリーグ4位、出塁率.387も6位と、最高の状態でFA市場に出ることになる。ただし32歳とやや年齢が高く、また過去の故障歴も気になる。おまけにBランクで補償の必要もあるため、現在の数字から想像するほどの人気銘柄にはならない恐れも。それでも、攻撃力不足が深刻なオリックスあたりは、是非とも欲しい人材には違いない。
移籍先候補:オリックス

▼その他
 松永昂大(ロッテ)はどのチームにも必要な左の中継ぎ。成績的には突出して良くはなくとも、極端に悪い年もなく、昨年まで7年続けて40試合以上登板したタフさも売り物だった。ところが今季は5試合投げただけ。しかもBランクなので、閉幕までにしっかり投げられることを証明しないと、他球団も手は出しにくい。数年前までリーグ有数の遊撃手だった田中広輔(広島)はここ2年間極度の不振に陥っているので、行使する確率は低い。

 一方、辛島航と塩見貴洋の楽天左腕コンビはどちらもランクCで人的補償が必要ない。どちらも劇的に戦力を向上させるようなタイプではないが、着実に仕事をこなす堅実な投手として意外な人気を集めるかもしれない。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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