現役引退を発表した岩隈久志。実は2015年オフにドジャース入りの可能性もあった?

現役引退を発表した岩隈久志。実は2015年オフにドジャース入りの可能性もあった?

岩隈はメジャー6年で計63勝。15年にノーヒッターも達成したが、プレーオフ出場は一度もなかった。(C)Getty Images

岩隈久志(巨人)が、今シーズン限りで引退する。近鉄と楽天、そしてマリナーズの3球団で活躍後、2018年オフに巨人へ入団した岩隈だが、以降は肩の故障に苦しんで一度も一軍登板がなかった。

 岩隈は近鉄時代の01年に日本シリーズ、楽天時代の09年にクライマックスシリーズでそれぞれ登板したものの、マリナーズではプレーオフ出場は果たせなかった。岩隈が在籍していた12〜17年を含めて、マリナーズは02年以降19年続けてポストシーズンにたどり着いていない。

 しかしながら、ポストシーズンまであと一歩に迫ったことは2度ある。87勝を挙げた14年には、同じア・リーグ西地区でワイルドカード2番手のアスレティックスと1勝差。前年にリーグ3位の防御率2.66を記録した岩隈が、右手中指を痛めて1か月出遅れることなく、開幕からフェリックス・ヘルナンデス(現ブレーブス)と“キング&クマ”の先発二本柱を形成していたなら、結果は違っていたかもしれない。14年の防御率も、前年より高いとはいえ3.52と悪くはなかった。また、16年には86勝を挙げて地区2位だったが、この時もワイルドカードまでは3ゲーム差だった。
  さらに言えば、岩隈はマリナーズを離れ、他の球団でポストシーズンに出場していた可能性もあった。15年オフにマリナーズからFAとなった際、岩隈は3年4500万ドル(約47億2500万円)で一度はドジャースとの契約に合意した、と報じられた。けれども、ドジャースは身体検査で岩隈の健康状態に懸念を示し、契約条件の見直しを求めた。その間隙を縫って、マリナーズは出来高と2年のオプション付きで最大3年4250万ドル(約44億6250万円)の契約を提示し、岩隈はマリナーズへ“出戻り”した。岩隈と契約に至らなかったドジャースは、代わりにスコット・キャズミアーと前田健太を加え、16年に地区4連覇を果たした(さらにこの連覇は現在8まで伸びている)。

 17年以降の岩隈が故障に泣かされたことからすると、ドジャースの判断は正しかったのかもしれないが、少なくとも16年の岩隈は健康体で、199.0イニングを投げて防御率4.12を記録している。リーグの違いなどがあるので単純に比較はできないものの、投球回ではキャズミアーと前田を大きく上回っている。契約が流れていなければ、岩隈はドジャースでローテーションの一角を占め、ポストシーズンのマウンドに上がっていたに違いない。そうなればドジャースはナ・リーグ優勝決定シリーズで敗退することなく、一足早く1988年以来の世界一を達成していたかもしれない。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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