【パ・リーグ球団別採点】過去10年のドラフト1位指名の成功度は?│常勝軍団ソフトバンクがまさかの低評価

【パ・リーグ球団別採点】過去10年のドラフト1位指名の成功度は?│常勝軍団ソフトバンクがまさかの低評価

森(左)昨年、吉田正(中)は今年、首位打者に輝いた。一方、鳴り物入りでプロ入りした斎藤(右)は期待を裏切っている。写真:徳原隆元、産経新聞社

よく言われることだが、ドラフトの本当の評価は何年か経ってみないと分からない。では、セ・リーグ6球団の過去10年間のドラフト1位指名は果たして成功したと言えるのか。それぞれのチームを採点してみた。
★:抽選で交渉権を獲得、*:外れ1位

●オリックス 85点
2010    後藤駿太*    外野手    前橋商高
2011    安達了一*    内野手    東芝
2012    松葉貴大*    投手    大阪体育大
2013    吉田一将    投手    JR東日本
2014    山崎福也    投手    明治大
2015    吉田正尚    外野手    青山学院大
2016    山岡泰輔    投手    東京ガス
2017    田嶋大樹★    投手    JR東日本
2018    太田椋*    内野手    天理高
2019    宮城大弥*    投手    興南高

 チーム自体は低迷が続いているけれども、ことドラフト1位指名に関してはここ10年のパ・リーグで最も成果を上げていると言っていいのではないか。しかも、クジ引きは外れ1位抽選も含めて1勝9敗と、とことん運に見放されているにもかかわらず、である。特に評価したいのが、15年に単独指名で吉田正を手に入れた点で、今では球界トップレベルの強打者に成長。16年の山岡も、田中正義(創価大→ソフトバンク)に人気が集中する中での単独指名で、結果的には大正解だった。安達も球界を代表する好守の遊撃手として鳴らし、太田、宮城もまだ結論を出すには時期尚早だが二軍では好成績を残しており、将来が非常に楽しみだ。
 ●西武 75点
2010    大石達也★    投手    早稲田大
2011    十亀剣    投手    JR東日本
2012    増田達至*    投手    NTT西日本
2013    森友哉    捕手    大阪桐蔭高
2014    高橋光成    投手    前橋育英高
2015    多和田真三郎    投手    富士大
2016    今井達也    投手    作新学院高
2017    斎藤大将*    投手    明治大
2018    松本航    投手    日本体育大
2019    宮川哲*    投手    東芝

 10年間で9回投手を指名し、うち7人は(外れ1位も含め)大学・社会人出身。6球団競合を引き当てた大石は期待を裏切ったが、多くは一軍の戦力として一定以上の働きを見せている。増田はクローザーとして長期にわたり貢献。自律神経症を患い、先日、戦力外通告を受けた多和田も18年には最多勝を獲得している。高卒入団の高橋光も本格化の兆しを見せており、今井や松本もまだまだではあるが一軍の戦力にはなっている。その中で、唯一野手指名の森友哉は、19年にMVPを受賞するなど大成功。松井裕樹(桐光学園高→楽天)、大瀬良大地(九州共立大→広島)に人気が集中する中、単独指名を成功させた。
 ●日本ハム 70点
2010    斎藤佑樹★    投手    早稲田大
2011    菅野智之★    投手    東海大
2012    大谷翔平    投手    花巻東高
2013    渡邊諒*    内野手    東海大甲府高
2014    有原航平★    投手    早稲田大
2015    上原健太*    投手    明治大
2016    堀瑞輝*    投手    広島新庄高
2017    清宮幸太郎★    内野手    早稲田実業高
2018    吉田輝星*    投手    金足農高
2019    河野竜生*    投手    JFE西日本
※菅野は入団拒否

 その年のナンバーワン評価の選手を1位指名する方針を貫いた結果、10年間で9回入札が重複。うち4回引き当てているから間違いなくクジ運はいいが、戦力になったのは有原だけ。拒否された菅野智之は、結果的には当たらなかった方が良かったし、斎藤や清宮も当初の期待に遠く及ばない。外れ1位も渡邊が正二塁手に成長したのが光る程度で、あとは堀と吉田、河野がどこまで成長するか。唯一重複しなかったのは、NPB拒否の姿勢を打ち出していた大谷。16年にMVPを獲得し、今や海を渡ったアメリカでも人気選手となった彼に二刀流挑戦を提案して口説き落としたのも、「とにかくナンバーワン」にこだわった成果だった。
 ●楽天 50点
2010    塩見貴洋*    投手    八戸大
2011    武藤好貴*    投手    JR北海道
2012    森雄大★    投手    東福岡高
2013    松井裕樹★    投手    桐光学園高
2014    安楽智大★    投手    済美高
2015    オコエ瑠偉*    外野手    関東第一高
2016    藤平尚真    投手    横浜高
2017    近藤弘樹*    投手    岡山商大
2018    辰己涼介*    外野手    立命館大
2019    小深田大翔*    内野手    大阪ガス

 単独指名に逃げることなく、一番人気の選手にアタックする傾向の強いチームで、過去10年では16年の藤平が唯一の単独入札。12〜14年は3年続けて抽選に勝利し、その中から松井が球界トップクラスのクローザーに成長した。しかしながら、7人の1位指名投手のうち、松井と塩見以外はほとんど戦力になっていない。最初の2年は良かった藤平はここ2年は頭打ち状態で、森は故障続き。野手でも、外れ1位ながら高い期待を背負って入団したオコエも5年間でまだ一軍に定着できていない。ここ3年は清宮幸太郎(早稲田実業→日本ハム)、藤原恭大(大阪桐蔭高→ロッテ)、佐々木朗希(大船渡高→ロッテ)と続けてクジに外れているが、昨年の外れ1位で指名した小深田が新人王有力候補に挙がるほどの活躍を演じている。
 ●ソフトバンク 50点
2010    山下斐紹*    捕手    習志野高
2011    武田翔太    投手    宮崎日大高
2012    東浜巨★    投手    亜細亜大
2013    加治屋蓮*    投手    JR九州
2014    松本裕樹    投手    盛岡大付高
2015    高橋純平★    投手    県岐阜商
2016    田中正義★    投手    創価大
2017    吉住晴斗*    投手    鶴岡東高
2018    甲斐野央*    投手    東洋大
2019    佐藤直樹*    外野手    JR西日本

 常勝球団のイメージとは裏腹に、1位指名に関しては成功しているとは言い難い。東浜は17年に16勝を挙げて最多勝を獲得するなど、今季を含めて100イニング以上が4回と期待通りの活躍を見せているが、彼はむしろ例外。武田は15〜16年に連続2ケタ勝利・防御率リーグ6位以内と一時はエースになりかけたが、その後は精彩を欠いている。13年以降の1位指名選手で規定投球回/規定打席をクリアした者は皆無で、加治屋・高橋純・甲斐野がリリーフで貢献したのもそれぞれ1年だけだ。何より、5球団の競合を制して獲得した田中が大誤算。逆に言えば1位指名が軒並みこの状態で、これほどの強さを維持しているというのも凄い。
 ●ロッテ 45点
2010    伊志嶺翔大*    外野手    東海大
2011    藤岡貴裕★    投手    東洋大
2012    松永昂大*    投手    大阪ガス
2013    石川歩★    投手    東京ガス
2014    中村奨吾    内野手    早稲田大
2015    平沢大河★    内野手    仙台育英高
2016    佐々木千隼*    投手    桜美林大
2017    安田尚憲*    内野手    履正社高
2018    藤原恭大★    外野手    大阪桐蔭高
2019    佐々木朗希★    投手    大船渡高

 10年間で9回入札が重複し、うち5度当選と恐ろしいほどの強運。これ以外に、5球団が集中した佐々木千をはじめ外れ1位の抽選も4戦4勝している。これだけ引きが強いにもかかわらず、入団後の成果はあまりよろしくない。競合で交渉権を勝ち取った選手のうち、石川は16年に最優秀防御率のタイトルを獲得したが、藤岡と平沢は期待を裏切り、外れ1位ながら5球団が競合した佐々木千も4年間で6勝のみと振るわず。そのことを考えると、採点が厳しくなるのもやむを得ないだろう。10年代前半はかなり即戦力志向が強かったが、後半は高校生の指名にシフト。安田と藤原、そして“令和の怪物”佐々木朗はまだこれからの選手で、現時点で高い点はつけられない。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
 

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