70代にして来季采配を振るうラルーサとベイカー。“名将”2人が、かつて選手と監督でコンビを組んだ知られざる半年間

70代にして来季采配を振るうラルーサとベイカー。“名将”2人が、かつて選手と監督でコンビを組んだ知られざる半年間

現アストロズ監督のベイカー(左)と新たにホワイトソックスの監督に就任したラルーサ(右)。実は選手と監督として半年だけコンビを組んだことが…?(C)Getty Images

来シーズンは、70代の監督2人が采配を振るう。2011年以来の現場復帰となるトニー・ラルーサ監督(ホワイトソックス)は来季で77歳。今シーズン、3年ぶりに指揮を執ったダスティ・ベイカー監督(アストロズ)は来年で72歳になる。どちらもメジャー監督歴は極めて長く、ラルーサは来シーズンが35年目、ベイカーは24年目だ。さすが指導者歴が長いだけあり、MLBで現在監督を務める者の中にも、彼らの“教え子”が何人かいる。

  例えば、現役時代は三塁手だったデビッド・ベル監督(レッズ)は、両監督が指揮を執るチームでそれぞれ過ごしたことがある。1995〜98年はラルーサ率いるカーディナルスで、そして02年はベイカーが監督を務めるジャイアンツでプレーした。

 また、93〜94年のジャイアンツでは、ベイカー監督の下、現ロッキーズ監督のバド・ブラックが先発投手として投げ、現ナショナルズ監督のデーブ・マルティネスは外野を守っていた。03年のカーディナルスでは、ラルーサの下、現ロイヤルズ監督のマイク・マシーニーが正捕手、現フィリーズ監督のジョー・ジラルディが控え捕手だった。11年のワールドシリーズ優勝を最後にラルーサが勇退した後、マシーニーは後任としてカーディナルスの監督に就任したという縁もある。
  それだけではない。実はラルーサとベイカーの2人は、監督と選手の間柄だったこともある。今から30年以上も前のことだ。86年のアスレティックスで、ベイカーは控え外野手としてプレーしていた。一方、この年の開幕当初はホワイトソックスの監督だったラルーサは、6月に解任された直後、アスレティックスに監督として迎えられた。

 ベイカーはこの年限りで引退したので、たった半年限りの邂逅だった。09年に発行されたラルーサの伝記『Tony La Russa: Man of a Mission』(ロブ・レインズ著)によると、ベイカーはこう言っている。「トニーとは半年しか一緒じゃなかったけど、いつもベースボールの話をしていた」。この時はまだ、選手だったベイカーはもちろん、ラルーサもまだ“名将”と呼ばれてはいなかった。たとえ短い期間の中でも、互いの野球観を披露しあったことは、もしかすると2人の将来に大きな影響を及ぼしたのかもしれない。

 また、ラルーサもベイカーの指導者としての才能を早くから見抜いていたようで、ベイカーは同書の中で「トニーは私に言ったことがある。自分が犯した大きな過ちの一つは、引退した私をアスレティックスのコーチ陣に加えなかったことだ、と」とも語っている。

 なお、選手時代のラルーサは通算出場132試合にした平凡な二塁手に過ぎず、ポストシーズンに出たことはなかったが、監督としては6度ワールドシリーズに出場し、3度優勝している。一方、ベイカーは選手としてワールドシリーズで3度プレーし、3度目の81年に優勝を味わったが、監督としてのワールドシリーズは02年の1度きり。しかもこの時は3勝4敗で敗れ、世界一監督にはまだなっていない。2人は来季、ともにア・リーグの監督としてその座を争うことになるが、どのような対決を見せてくれるか、今から楽しみだ。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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