「2021年ドラフト候補生」の筆頭格!森木大智の現状とスカウト・指揮官の評価

「2021年ドラフト候補生」の筆頭格!森木大智の現状とスカウト・指揮官の評価

森木は「理想は真っ直ぐで3球三振を取れる投手になること」と自身の将来像を語った。写真:大友良行

松坂世代(1980年生まれ)から20年以上たった今、″森木世代(2003年生まれ)″と呼ばれるプロ注目の高校生投手たちが台頭している。

 伊藤樹(仙台育英)、菊池楽(前橋育英)、金井慎之介(横浜)、畔蜍恟蛛i中京大中京)、田村俊介(愛工大名電)、知崎滉平(東邦)、野崎慎裕(県岐阜商)、松浦慶斗(大阪桐蔭)、達孝太(天理)、仲村竜(岡山学芸館)、田中楓基(旭川実業)、風間球打(明桜)、小園健太(市立和歌山)、関戸康介(大阪桐蔭)ら有望株が勢揃いだ。

 なかでも高校生ドラフト候補ナンバー1と言われ、世代の代名詞となっているのが、 184センチ86キロ、右投右打の恵まれた身体からMAX151キロのストレートを投げ込む森木大智(高知)である。

 地元・高知の蓮池小学3年から捕手として野球を始め、5年からチーム事情のために投手に転向。この時すでに、127キロを投げていたという。その頃から森木の成長度合いを見続けてきた高知中の濱口佳久監督(当時)は、印象を次のように語った。
 「初めて見た時は、まだ捕手をしていました。体が大きかったし、二塁送球も体をしっかり使い、スローイングもよかった。なかでも印象に残ったのは走り方です。バランスが良くて綺麗でした。その後、成長度合いを見続けてきましたが、6年から投手になり、県選抜チームにも選ばれるまでになりました。何と言っても野球に取り組む姿勢が素晴らしいと感じました」

 中学進学の際は当然のように、噂を聞きつけた全国の強豪中学やクラブチームから誘いが殺到。その中から高知中を選んだ理由について森木は、「高いレベルで野球をやりたかった。体験練習に参加して、カバーリングなど当たり前のことを徹底してやっているのを見て、もっと上手くなりたいし、地元なので。監督さんからも熱心に声をかけていただいていたので、このチームでと思いました」と当時を振り返る。

 高知中3年時春に第9回全日本少年春季軟式野球大会、夏に第40回全国中学校軟式野球大会で連続優勝。この大会で中学史上初の150キロを記録。一躍全国からも注目されるようになった。高校は、そのまま系列の高知高に進学。同時に濱口も高知高の監督に就任した。お互い知り尽くした中での師弟関係が続くことになる。
  素質を見込まれた森木は、1年春からベンチ入り。夏には148キロを出したが、8月に右肘に痛みを覚え一時は野手に転向した。しかし、秋の準々決勝でマウンドに上がり、打者1人に投げて投手復帰を果たした。

 2年になるとコロナ禍で、練習もままならず。夏の県独自大会は3年生中心だったため、ベンチ外に。秋になると肘痛も治り、県予選準々決勝岡豊高戦で153キロを出して完全復活をアピールした。

 宿命のライバル明徳義塾との決勝戦では、延長12回を一人で170球投げ、被安打7、奪三振12、1点に抑えたが、引き分けの日没コールド。翌々日の再試合では、7回から登板するも、連打を浴び春の選抜甲子園の道を断たれてしまった。残すところは、夏の甲子園だけだ。

「勝てる試合を落としてしまった。制球力が甘かった。この冬は、そこを突き詰めて練習します。そのためには下半身の安定が必要だと思います。筋肉量を上げ体重もあと2キロアップしたい。明徳には、いつもやられているので、今年は、圧倒的にやり返す」。倍返しで雪辱を果たす覚悟だ。
  プロのスカウトたちは、森木をどう見ているのだろうか。オリックスの早川大輔スカウトに聞いてみた。

「中学の時に出した150キロが先行して、ハードルが上がり過ぎてしまった感はあるが、スピードに魅力があります。フイールディングやけん制も上手いし、打撃も1番を打っているくらいですから運動能力が高く、センスがあります。将来性はあるし、高校生では、間違いなくトップレベルの選手。この冬でどれだけ伸びるか、追っかけて行かなくてはならないでしょう」と評価は高い。

 ピッチング内容は、150キロ超えのストレートを主体にカーブ、スライダー、スプリット、チェンンジアップ、カットボールなどの変化球を混ぜながら打者を圧倒する投球をする。本人は「理想は真っ直ぐで3球三振を取れる投手になること。最終目標はメジャーで投げることです」と直球に磨きをかけて、夢に近づいていくつもりだ。
  ラストイヤーを迎える森木について、濱口監督の見方はこうだ。

「森木が投げ、最少失点に抑える。攻撃も1点ずつ取っていくのがうちの勝ちパターンです。いずれにしろ森木に頼りすぎ、頼らざるをえなかった点もあった」

 昨秋の県大会について反省を含めてそう振り返り、さらに「投げることには、繊細な感覚を持っている投手です。球速が150キロだったかではなく、7割前後の力で141、2キロのボールを振らせてつまらせる。とにかく枠内ストライクで勝負できる投手になって欲しいです。段階を踏みながらキャリアアップしながら順調にいってくれたらな、と思います。そのためには、最善の注意を払いながらも投げ込みや走り込みで大きなケガをしない体をつくってあげたい。勝ち癖もつけてあげたい」と続けた。
 「夏までのあと半年間は、あの子の野球人生に大きく影響してきます。こっちの責任もあるし、本人の自己責任もある。取得能力もあるし、身に付けた感覚を自分のものにしてしまう力を持っています。いまだに伸びしろが、まだまだあるので、さらに伸びていく可能性はあります」と期待は大きい。

 対外試合解禁の3月初めには、強豪・横浜高との練習試合が組まれている。ここで『夏の甲子園』へ向けてのスタートダッシュを切る予定だ。

文●大友良行
【著者プロフィール】 おおとも・よしゆき/元大手新聞社の報道写真記者。事件事故取材の傍らメジャーリーグやサッカーW杯などの欧州サッカーを取材。現在は、全国の大学野球、春夏の甲子園をはじめとする高校野球、都市対抗を中心に社会人野球などを深く取材している。著書に「野球監督の仕事(共著・成美堂出版)」、「CMタイムの逆襲(東急エージェンシー)」などがある。

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