宿敵相手の“マダックス”達成やダルビッシュとの対決…田中将大がMLB7年間で魅せた珠玉の7登板〈SLUGGER〉

宿敵相手の“マダックス”達成やダルビッシュとの対決…田中将大がMLB7年間で魅せた珠玉の7登板〈SLUGGER〉

メジャー7年間で通算78勝。オールスターに2度選ばれるなどヤンキースのローテーションを支え続けた。(C)Getty Images

ヤンキースからFAとなっていた田中将大の楽天復帰が発表された。2014年に海を渡ってからの7年間でマウンドに立ったシーズン174試合とポストシーズン10試合の登板の中から、印象に残る試合を厳選して紹介しよう。

■メジャー初登板初先発で勝利投手
(14年4月4日ブルージェイズ戦)

 メジャーデビュー戦は初回に2点の援護を受けてマウンドに上がったが、いきなり先頭打者のメルキー・カブレラに本塁打を浴びる波乱の幕開け。2回には一死満塁から逆転の2点タイムリーを打たれた。それでも、直後に味方打線が逆転。自身も4回から7回まで三者凡退に抑える好投で応えた。「回を追うごとに集中力を持って投げられた」と尻上がりの投球で、結局、7回を投げて自責点2にまとめて記念すべきメジャー初勝利を飾った。ちなみにブルージェイズ戦で挙げた通算14勝は、チーム別では最多の数字。

■サブウェイ・シリーズ‘’でメジャー初完封
(14年5月14日メッツ戦)

 同じニューヨークを拠点にするメッツの本拠地で散発4安打、無四球でメジャー初の完封勝利。チームは4連敗中、メッツ打線は前日までの2試合で21得点と好調だったが、あらゆる球種を駆使して8三振を奪い、9回にはメジャー初安打も放った。ヤンキースファンが求めるのはここぞという時に力を発揮する選手。その意味でも、NYのファンを大いに納得させるパフォーマンスだった。これで開幕からの連勝を6に伸ばし、02年の石井一久(ドジャース)が作った日本人最長タイ記録に並ぶ快進撃はアメリカでも大きな話題となった。
 ■かつての盟友と投げ合って勝利
(16年4月17日マリナーズ戦)

 楽天で二枚看板を形成し、ともにチームを引っ張った岩隈久志との対決が実現。日本人先発投手の投げ合いは通算12度目で、同じ球団の出身選手では初のマッチアップとなった。初回に先制点を奪われた田中は、5回に青木宣親の三塁打などで計3点を失う。それでも、味方打線が岩隈から4得点。2人とも7回限りで降板して、田中がシーズン初白星を手にした。今年1月、田中はラジオで当時を振り返り、「絶対に勝ちたいと思って投げていましたね」と語った。ちなみに2人は約4ヵ月後にも投げ合い、この時も田中が7回無失点で勝利投手になっている。

■圧巻の“マダックス”達成
(17年4月27日レッドソックス戦)

“宿命のライバル”の本拠地フェンウェイ・パークに乗り込み、メジャー2度目の完封勝利をわずか97球で達成。4回に先制点をもらった田中は着々とアウトを積み重ね、2点が追加された9回裏もマウンドに仁王立ちした。奪三振はわずか3つだったがテンポの良い投球で無四球、許したヒットはわずかに3本。球界を代表する左腕クリス・セールとの対決を制し、100球未満での完封を13度も飾った殿堂入り投手の名前にちなむ“マダックス”を達成。ヤンキースの選手には激しい野次を飛ばすボストンのファンを黙らせた。
 ■良き兄貴分とマウンドで再会
(17年6月23日レンジャーズ戦)

 ともに球界最高級の投手として日本でしのぎを削り、田中にとって「一番身近な先輩」でもあるダルビッシュ有との対決は、試合前から大きな注目を集めた。雨で開始が約1時間遅れ、試合中も小雨が降りしきる中、約6年ぶりに激突した2人はスコアボードに0を刻み続ける。田中が8回を投げて9三振を奪い無失点(被安打3)に抑えれば、ダルビッシュも7回で10奪三振の無失点(被安打2)と譲らず、ともに勝敗はつかず。2人が降板した後の延長10回にヤンキースがサヨナラ勝ちしたが、ダルビッシュはこの試合を「一生の思い出」と表現している。

■大舞台で勝負強さを発揮
(17年10月8日インディアンス戦)

 2年ぶりのポストシーズンでの先発マウンドは、ヤンキースが0勝2敗で迎えた地区シリーズ第3戦。この試合に負ければ敗退という土俵際の状況だったが、田中は持ち前の大胆かつ繊細な投球を披露する。3回まではいずれも打者3人で終わらせ、4回には一死から三塁打を浴びながら2者連続三振に斬った。無失点のまま7回で降板すると、直後に味方が先制点を挙げて勝利投手に。重圧のかかる登板を「おいしい場面」と言ってのけた田中に勢い付けられ、チームは第4、5戦も勝ってリーグ優勝決定シリーズへ進出。田中はそこでも好投を続け、「大舞台で強い投手」との評を決定付けた。
 ■4度目の挑戦で初の開幕戦白星
(19年3月28日オリオールズ戦)

 日本人選手では最多となる通算4度目の開幕投手を任され、初の開幕戦白星を手にした。初回に幸先良く3点の援護を受けた田中は、新球ナックルカーブを織り交ぜて2回から4回まで8者連続で三振を奪う快調な投球。6回途中83球で2失点としっかりゲームメイクして余力を残しながら降板し、あとは自慢のリリーフ陣が締めてチームは7対2で快勝。過去3度は0勝2敗で防御率9.49と打ち込まれていた開幕戦の呪縛を解き、「一つ成長した姿を見せられたとは思っています」と胸を張った。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。

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