【センバツ】大阪桐蔭vs智弁学園以外にも初日から激戦が!アマ野球ライター西尾典文が「注目6試合」の見どころをチェック

【センバツ】大阪桐蔭vs智弁学園以外にも初日から激戦が!アマ野球ライター西尾典文が「注目6試合」の見どころをチェック

大会注目の大阪桐蔭は智弁学園と対戦へ。果たして優勝はどこか。写真:徳原隆元

2月23日に出場32校の組み合わせ抽選会が行われた今年の選抜高校野球。同じ県から2校出場している宮城(仙台育英・柴田)、兵庫(神戸国際大付・東播磨)、奈良(智弁学園・天理)以外は地域性を考慮しないフリー抽選ということもあって、いきなり同一地区同士の対戦も発生することとなった。今回はそんな1回戦の16試合の中から、特に注目の6試合をピックアップして見どころを紹介したい。

【第1日(3月19日)第1試合:神戸国際大付(兵庫)vs北海(北海道)】
 開幕カードからいきなりプロ注目のエース同士の対決となった。北海のサウスポー・木村大成は秋の北海道大会4試合を無失点。連戦となった準決勝、決勝を連続完封と抜群の安定感を誇る。田嶋大樹(オリックス)に雰囲気の似たフォームながら荒々しさはなく、コーナー、低めに投げ分ける制球力と左腕らしい角度のある140キロ台前半のストレートで三振の山を築く。

 一方、神戸国際大付の阪上翔也も140キロを超えるスピードが魅力の本格派右腕。少し上下動の大きいフォームながらリリースでボールを抑え込め、制球も悪くない。秋の時点での安定感では木村が上回るだけに、神戸国際大付は序盤の失点だけは避けたいところだ。
 【第1日(3月19日)第2試合:明徳義塾(高知)vs仙台育英(宮城)】
 甲子園常連校で昨年秋の地区大会優勝校同士の対戦。明徳義塾はエース左腕の代木大和が大黒柱。スピードは130キロ台中盤ながら、安定した制球力を誇り、昨年秋は7試合で4完封をマークしている。一方の仙台育英はプロ注目のエース伊藤樹以外にも140キロを超える投手を複数揃え、東北大会4試合すべてを継投で勝ち上がってきた。下位にも力のある打者が多く、得点力も高い。

 総合力では仙台育英が一枚上だけに、ポイントとなるのは代木の出来だ。仙台育英が序盤に先制すればそのまま押し切る可能性が高いが、ロースコアのまま1点を争う展開になると、小技が持ち味の明徳義塾にも勝機が出てくるだろう。

【第4日(3月22日)第1試合:市和歌山(和歌山)vs県岐阜商(岐阜)】
 最大の注目は、大会ナンバーワン投手の呼び声高い市和歌山のエース小園健太だ。最速152キロという数字は“瞬間最大風速”で、アベレージは140キロ台前半から中盤だが、力を入れた時のボールはやはり威力十分。そして横に滑るカットボール、打者の手元で沈むツーシームはストレートと見分けがつきづらく、変化球の完成度は高校生離れしている。

 一方の県岐阜商も東海大会3試合で20点を奪った打線と、1年時からマウンド経験豊富な野崎慎裕、松野匠馬の左右の二枚看板を揃え、総合力は大会でも屈指。指揮するのは百戦錬磨の鍛治舎巧監督だけに、小園に簡単にひねられる姿は想像しづらい。市和歌山の松川虎生、県岐阜商の高木翔斗とともに、4番で主将を務める超高校級捕手に注がれるスカウト陣の視線は熱い。力的には五分でロースコアの接戦が予想されるが、守備や走塁のミスが勝敗の行方を左右することになりそうだ。
 【第4日第2試合(3月22日):智弁学園(奈良)vs大阪桐蔭(大阪)】
 近畿大会決勝の再戦で、1回戦最大の注目カードとも言える。大阪桐蔭は松浦慶斗、関戸康介の150キロを超える左右の二枚看板が大きな売りで、野手陣も力のある選手が揃い、総合力では出場校の中でも頭一つ抜けた印象を受ける。そんな大阪桐蔭が昨年秋、唯一苦杯をなめたのが智弁学園だ。

 この時は松浦の立ち上がりを攻めて3回表までに3点のリードを奪って試合を優位に進めたが、前川右京、山下陽輔の3、4番を中心に打線の迫力では決して負けていない。ただ、どちらが有利かといえばやはり大阪桐蔭ではないか。西谷浩一監督は過去に16度出場した甲子園ですべて初戦を突破しており、相手チームを分析する力も抜きん出たものがある。一度敗れた相手に再び負けるわけにはいかないという思いも強いだろう。智弁学園からすれば、近畿大会の決勝以上に序盤から打線で圧倒する戦いが求められることになりそうだ。

【第5日(3月23日)第3試合:常総学院(茨城)vs敦賀気比(福井)】
 戦前の注目度はそこまで高くないものの、確かな実力と経験がある“隠れ優勝候補”同士の対戦。常総学院は秋本璃空、大川慈英という140キロを超える本格派2人を揃え、野手も捕手も田辺広大、ショートの三輪拓未を中心に攻守に高レベルな選手が揃う。関東大会では決勝の健大高崎戦こそ打ち負けたものの、それ以外はまったく危なげない戦いぶりだった。

 一方、北信越チャンピオンの敦賀気比も左の竹松明良、下級生ながら入学前から評判だった右の上加世田頼希とタイプの違う2人の投手を揃える。打線も1年時から中心の大島正樹を中心に巧打者タイプが集まり、足を使える選手も多い。両チームとも地力があるだけに、勝ち上がった方が一気に上位進出という可能性もありそうだ。
 【第6日第1試合:中京大中京(愛知)vs専大松戸(千葉)】
 優勝候補の一角と言える東海王者の中京大中京。エースの畔柳亨丞はコンスタントに145キロを超えるスピードを誇り、スライダー、カットボール、チェンジアップと変化球のレベルも高い。野手も1番の細江泰斗、クリーンアップの桑垣秀野、原尚輝、辻一汰など長打力のある選手が揃い、攻撃力も今大会上位だ。

 総合力では中京大中京の優位は揺るがないが、選抜は初出場となる専大松戸もここ数年安定した力を誇るダークホース的存在。特に4番を打つ吉岡道泰は関東でも屈指の好打者で、畔柳との対戦は注目だ。秋の関東大会で2試合連続完封勝利をマークした右サイドの深沢鳳介が粘りの投球を見せて、何とか後半勝負に持ち込みたい。

 ここで挙げた6試合以外にも関東王者にレギュラー6人が2年生という若いチームが挑む形となった健大高崎(群馬)vs下関国際、関東大会に続いての東海大系列対決となる東海大相模(神奈川)vs東海大甲府(山梨)、九州大会決勝の再現となった福岡大大濠(福岡)vs大崎(長崎)など他にも注目カードは多い。2年ぶりとなる選抜だけに、どの試合も熱戦を期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる。ドラフト、アマチュア野球情報サイト「プロアマ野球研究所(PABBlab)」を2019年8月にリリースして多くの選手やデータを発信している。

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