山本美憂のあごにアザ。RENAが浴びせた総合格闘技の洗礼!

総合格闘技イベント『RIZIN』で山本“KID”徳郁の実姉・山本美憂がRENA締め技にタップ

記事まとめ

  • 総合格闘技イベント『RIZIN』が25日に開催され、山本美憂とRENAが対戦した
  • 美憂はRENAにアームトライアングルチョークという締め技を決められてタップした
  • 敗者の美憂は「悔しいです絶対に勝ちたかった」と、ファイターらしい敗戦の弁を述べた

山本美憂のあごにアザ。RENAが浴びせた総合格闘技の洗礼!

山本美憂のあごにアザ。RENAが浴びせた総合格闘技の洗礼!

RENA(写真右)が前から首を絞めて1本勝ちをおさめた。(c)RIZIN FF / Sachiko Hotaka

総合格闘技のイベント「RIZIN」が25日、さいたまスーパーアリーナで1万5011人のファンを集めて行われ、セミファイナルで、レスリングの元世界選手権王者で、山本“KID”徳郁、山本聖子の実姉である山本美憂(42)が、シュートボクシング王者、RENA(25)とMMA(総合)ルールで対戦。美憂は、レスリング仕込みの高速タックルで見せ場を作ったが、RENAがグラウンドから繰り出したキックで形勢逆転、最後は、本来打撃系のRENAが、アームトライアングルチョークという締め技を決めて、1ラウンド4分50秒に美憂がタップ、注目の最強の新旧美人ファイター対決を制した。

 美憂の息子の山本アーセン(20)は、元K−1戦士からMMAに転向、妻がタレントのあびる優で話題を集めている才賀紀左衛門(27)を判定で下し総合初勝利を果たしていたが“親子勝利”の夢をデビュー戦で実現することができなかった。
   

 火傷しそうなほどピリピリする空気が流れた。 
 MMAデビュー戦となる美憂の緊張と「試合データがなく、どこまでやれるのか、、何をしてくるのかわからなかった」というRENAの緊張が、そのまま序盤の攻防に現れる。両者は、これ以上ないほどの遠い距離を取りながら、2分間以上の長い時間、互いに出方を伺っていた。RENAが放ったジャブ2発だけだ。

 緊迫の時間を破ったのは42歳の総合ルーキー。RENAのローキックを外すと高速の両足タックルでテイクダウンを奪う。その後、スタンディングとなったが、再びテイクダウンを奪って、上になり右の拳を振って、慣れないパウンドを浴びせた。だが、ここからの攻め手とアイデアに欠けた。

「タックルに入れたのはよかったがグラウンドになってからコントロールできなかった」とは、美憂の回想。
 一方のRENAは、倒されても、「タックルは、さすが世界女王だけあった、速くてとられたが、抑え込む力が思った以上になかった」と言う。

 元レスリングの世界王者。身体能力はズバ抜けていて、その参謀には総合でトップを張った“KID”がいるのだ。試合前には、どんどんRENAの中では、美憂の存在が大きくなっていた。

 「すごく大きい存在に感じていたから、それより下回っていたので冷静に対処できたと思う」

 体重を預けながら隙を狙えばよかったのが、両足で胴部分をロックされ動きを封じられた。美憂が上からパンチを振り下ろそうと、中途半端に立ち上がると、そこに寝転がっていたRENAの下から突き上げるような強烈なキックが顎に炸裂した。

「あれで流れも集中力もどっかにいってしまった。MMAの洗礼を受けたかな」
 試合後、美憂は、「痣が残っている」と、その蹴りを受けた顎の下部分を示したほどのダメージだった。

 RENAは、得意のスタンディングになると、左ストレートをヒット。くらっとした美憂は、なんとかグラウンドの展開に持ち込もうと、頭を下げた低い姿勢から足にしがみついたが、上からパンチを重ねたRENAが、その無防備となった首に右手を下から絡みつけた。それを左手でしっかりとロック。体重をかけて、フロントからチョークで締め上げると、しゃがみこんだまま美憂は左手でタップした。

 美憂は、その場にしゃがみこんで、しばらく動けない。RENAは歓喜のジャンプ。 
 

「対戦できて良かった。試合前、試合中、試合後と緊張感を楽しめた。常に冷静な自分がいて、狙った技で決めることができた。成長できたかなと思う。正直、負けることはありうると考えていた。でも対戦することに意味があると思っていた。負けても盛り上がる。絶対に負けたくないという気で臨んだけれど」

 試合後、RENAは、そう本音を語った。

 総合での確かな必殺の武器を持ち、作戦を実行できたRENAと、まだ何が武器かを見つけることができずに総合でのフィニッシュを描くことができなかった美憂。2人の勝負を分けたのは、プロという名のリングで経験した修羅場の数の違いだった。

 RENAには、すでに11月11日には、東京TDCホールにて、シュートボクシングの2年に1度の祭典『S-cup 2016』でのワンマッチに出場予定が組まれていて「次も絶対に負けられない」と言う。この逞しさもRENAの力になったのだろう。

 一方、敗者となった美憂は、「悔しいです。絶対に勝ちたかった」と、ファイターらしい敗戦の弁。

 息子のアーセンからは、「大丈夫。俺は最初はそう(敗戦)だった。ママは強かった。次は勝てるよ」と激励を受けたという。

「最高の舞台に立てた自分がラッキーだし気持ちよかった。レスリング時代には味わえない緊張感があった。あんまり覚えていないが、いいところはあったのかな? (MMAを)始めたばっかり。いい勉強になった。負けて終わるわけにはいかない。これで火がついた」

 さっそくリベンジを誓った。

 カナダに拠点を移し、カナダ代表としてレスリングでリオ五輪出場を本気で狙ったが、国籍を取得することが、カナダの国内選考会に間に合わず、競争の場に立てなかった。その悔しさと、準備を無駄にしないため、MMAのリングに一大決意で戦いの場を移した。タックルと投げ技以外は、すべて新しく覚える技術となるMMAのデビュー戦で、いきなりMMAを一度経験していて、立ち技最強のRENAを相手にするのは、荷が重たかったのかもしれない。だが、それが42歳の元世界女王の格闘家の本能を呼び起こしたことは間違いない。十分に通用する高速タックルや、まだ数か月しか練習をしてない打撃にも非凡さは伺えた。

 おそらく次戦の舞台は、年末の「RIZIN」のワンマッチ。美憂の成長次第で、いずれRENAとの再戦もマッチメイクされるだろう。テレビ中継では、メーン扱いされたほどレベルの高い女子格闘技は、注目を集めている。しかも、美形というキャラもエンターテイメントスポーツとしては魅力だ。立ち技最強からMMA最強女王の座を手にしたRENAと、リベンジを誓う元世界女王の戦いが、今後、その“美しき戦い”の中心になるのかもしれない。

(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)