那須川天心対小笠原瑛作実現へ待ったなし!KNOCK OUTが生み出した新たな価値観

那須川天心対小笠原瑛作実現へ待ったなし!KNOCK OUTが生み出した新たな価値観

(提供:リアルライブ)

 ヒジありのキックボクシングイベント『KNOCK OUT vol.4』が20日、大田区総合体育館で開催され、3050人(超満員)の観衆を集めた。

 会場は試合開始時間が過ぎても観客が会場内に入れないほどの大入りで、試合開始時間を少し遅らせて選手入場式が行われた。

 オープニングマッチでは、那須川天心との対戦をアピールし、来月6日に後楽園ホールで行われる『REBELS.52』でISKA世界バンタム級王座決定戦に出場する小笠原瑛作が強行出場。韓国のファン・ヒョシクを相手に2R 42秒、ヒジ打ちがズバリと決まりTKO勝ちを収めた。試合後、瑛作は「12月に天心とやりたい」と初めて対戦時期にまで言及。今大会は天心が参戦するから強行出場したと発言した上で「きょうの大会は僕がオープニングマッチで、天心がメイン。もうストーリーは出来上がっている」と俳優との二刀流を目指している瑛作ならではの表現でアピール。最後は「天心戦までは全勝します」と力を込めた。

 第2試合では、『KNOCK OUT vol.3』6.17TDCホール大会のメインで行われたKNOCK OUT認定ライト級王座決定トーナメント1回戦で、新日本キックの勝次と6度のダウンの応酬の上敗れた不可思が、17歳の“新鋭”茂木俊介と再起戦を行った。不可思はこれまでのガンガン行くスタイルだけじゃなく、幅広いテクニックを披露し、若い茂木を翻弄。4R 35秒、セコンドのタオル投入によるTKO勝ちを収めた。試合後、7.20『ROAD TO KNOCK OUT 2』渋谷TSUTAYA O-EAST大会のメインに出場し、キックボクシング初挑戦で中尾満をTKOで破ったMMAファイター金原正徳からの対戦要望に対して「いつでもやりますよ。でも向こうはMMAの選手。片手間で勝てるほどキックは甘くない。俺とやりたいと言ったのを後悔させるぐらいの差を見せつけてやります」とギラつきを取り戻した瞳で次なる標的を金原に定めた。

 休憩明けの第5試合にはミスターKNOCK OUTの呼び声高い森井洋介が登場。トーナメント2回戦で対戦予定だった町田光が怪我による欠場により、このカードが10.4『KNOCK OUT vol.5』後楽園ホール大会にスライドしたため、韓国のジュ・キフンと対戦。2Rにギフンの飛びヒザ蹴りにより左目尻からまさかの出血。ドクターチェックを受けると、スイッチが入ったのか森井が猛攻。ギフンは何とか2Rは耐えたが、3Rに入っても森井の勢いは止まらず、強烈な左ボディが決まり49秒でKO勝ちを収めた。試合後、森井は「夏は暑いから苦手。今回がいちばん調整がキツかった」と調整に苦労したことを明らかにするも、記者が「(出血で)森井さんキレましたか?」と質問すると「はい(笑)。でも大丈夫です。このまま決勝まで任せてください」と笑顔を浮かべながら自信を覗かせた。

 セミファイナルではライト級トーナメント2回戦、前口太尊と勝次が対戦。プロレスを強くリスペクトしている前口は、親交があるプロレスラー飯伏幸太の影響もあり、路上プロレスならぬ路上キックを提唱。実際、小笠原瑛作と都内の書店でエキシビションマッチ『本屋キック』を実現させている。勝次とも“ろくでなしブルース対決”と位置づけて「タイマン勝負」と挑発を繰り返すなど、試合に向けて煽りまくった。一方、1回戦で不可思との激闘を制した勝次の株も急上昇しており、地元蒲田での大会ということで多くの応援団や、前回大会同様、新日本キックのファンが会場に多数詰めかけていた。会場はゴング前から期待感に包まれていたが、試合は予想をはるかに超える大激戦となった。PRIDEでの名場面と言われている高山善廣対ドン・フライを彷彿とさせるような両者の殴り合いに会場は大爆発。試合の途中からは涙を流すファンや関係者の姿も見られた。最後は勝次が最終の5R 2:31、右ストレートを決めたところでレフェリーが止めてKO勝ち。試合後、両選手への拍手が鳴り止まなかった。試合後、バックステージで、勝次がインタビュールームに向かう途中、セコンドに肩を借りた前口が現れ「ありがとうございました」と改めて握手。その後、前口は眼窩底骨折により救急車で搬送(今週手術の予定)された。勝次は「激闘するつもりじゃなかったんだけどな」と話しながらも充実した表情を浮かべながら、新日本キックの伝統と意地を背負って決勝も闘い抜くことを誓った。

 メインでは“神童”那須川天心が今年2月以来、約半年ぶりの『KNOCK OUT』参戦。『KNOCK OUT』では初のメインイベントをタイのウィサンレック相手に務めた。ウィサンレックはムエタイで価値が高いとされるルンピニースタジアム認定フライ級とバンタム級王座に就いたことがあり、戦績は300戦を超えるベテラン選手。試合は最近の天心にしては珍しく長期戦になった。2R、ウィサンレックのローが下腹部に入り、試合は一時中断。再開後、ウィサンレックの蹴りが今度はエグい角度で下腹部に入り、天心は声を出しながら悶絶して倒れてしまう。ここでウィサンレックにレッドカード(減点1)。天心は立ち上がると両手を広げて「大丈夫」とアピール。場内のちびっ子からは「天心ガンバレー」の声援が飛び交った。3R、天心の飛びヒザ蹴りでウィサンレックが目じりから流血しドクターチェック。再開後、再び出血しドクターチェックの結果、2分45秒ドクターストップによるTKO勝ちとなった。

 試合後、マイクを掴んだ天心は「ちょっと自分らしくない終わり方というか。ここからだと思っていたんですが、狙っていた顔面ヒザが入って勝てたのでよかったと思います。こんな満員の素晴らしい舞台でメインを張れるのは嬉しい。僕は戦うことが使命だと思っています。皆さんが望むなら期間が短くても激しい試合をして誰とでも僕はやります。これからもいい試合をして皆さんを喜ばせる試合をします」と語ると「KNOCK OUTサイコー!」と叫んで初のメインを締めた。

 バックステージでは「きょうはいろんな技を出せたから良かった。まだ出そうと思ってた技もあったんですけどね。その前に(終わった)。」と試合を振り返ると、オープニングマッチの試合後に「12月」という具体的な対戦時期にまで言及した小笠原瑛作について「こっちはきょうやっても良かった。でも向こうも勝ってるし、僕はいつでもいいですよ」と語り、12月という時期についても「異存はないです」とキッパリ答え、対戦要望を受諾した。入場時にはRIZIN7.30さいたまスーパーアリーナ大会から着用しているLEDを搭載した電飾コスチュームに場内からどよめきが起きていたが「みんな驚いてましたね。小林幸子さんを目指しているので!」とさらなる進化を予告。天心の髪型を真似た天心カットをした少年ファンが増えていることについては「はじめこの髪型にしたとき、父親には『そんなの流行らないよ』って言われたんですけど、流行ってきましたよね(笑)。嬉しいです」と笑顔で語った。次戦はRIZIN10.15マリンメッセ福岡大会。連戦が続いたためやっと10代最後の夏休みに入るという。インタビューのあとローブローについて「あれかなりヤバかったですよ」と漏らしていたが、秋から年末にかけても試合が多く入ることが予想されるため、ここはしっかりとケアしてもらいたい。

 大会を総括した『KNOCK OUT』の小野寺力プロデューサーは「選手たちが本当に頑張ってくれた」と前回の大会に続いて“神興行”になった今大会を振り返った。天心対瑛作に関しては「天心の次の相手は瑛作以外に考えられない。皆さんも観たいでしょう」とコメント。「12月大会(会場未定)での実現を軸に調整に入りたい」としながらも、12月は天心が年末にRIZINへの出場が予想されるため、「もし12月に出来なくてもその次には組みたい」と時期に関しては含みを持たせた。また不可思と金原の対戦に関しては「金原くんを誰が止めるのか?というときに不可思くんが名乗り上げてくれたのは楽しみ」とゴーサインを出した。

 今回で4度目の開催となる『KNOCK OUT』だが、勝負論が最優先される格闘技の世界において、勝次に敗れた不可思や前口太尊が戦前よりも価値を高めるという、ちょっとした逆転現象が起きている。連勝を続けている森井洋介は試合内容が保証されていることから旗揚げ当初よりも人気を集める選手に成長した。町田光戦の結果にもよるが、森井が勝次とトーナメントの決勝で対戦するようなことになれば、キックボクシング史に残る激闘になる可能性が高い。勝ち続ける選手に光が当たるのは当然のことだが、『KNOCK OUT』は敗れた選手にも、その続きが見られるストーリー的な楽しみがある。これは格闘技界にとって新たな価値観を生み出したと言ってもいい。天心ブームにより子どものファンや競技者が増えているのも未来への希望を感じる。次回大会『KNOCK OUT vol.5』は10.4“聖地”後楽園ホールで初開催だ。

取材・文/どら増田
写真(C)キックスロード

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