那須川天心、復活の“天心キック”でKO勝ち!「キック界いつか一緒になれたら…」

那須川天心、復活の“天心キック”でKO勝ち!「キック界いつか一緒になれたら…」

天心キックを放つ那須川天心

RISE
『RISE WORLD SERIES 2019 1st Round』
▽10日 大田区総合体育館 観衆 4,200人(超満員札止め)

 「まだ技名は決まってなくて…センチャイキックとは少し違うんですよ。うーん。(記者から「天心キックは?」)それいいですね。天心キックでお願いします!」

 右手をマットにつき、倒立するような体勢で放った左ハイキックは「天心キック」と命名された。

 トリケラトプス拳を披露してからの天心キックという、まるで漫画のようなフィニッシュ。失神したフェデリコ・ローマが立ち上がれないと確信しコーナーに上がった“神童”那須川天心が見せた本来の姿に、ファンはもちろん、関係者、マスコミも安堵の表情を浮かべた。それほど昨年大晦日のフロイド・メイウェザー戦後に、みんながモヤモヤ感を持っていたのだ。

 メイウェザー戦の教訓を活かし、序盤から「冷静に慎重に」試合を進めていった天心。セコンドの父でTEPPEN GYM会長の那須川弘幸氏は「慌てるな。慌てなくていい」と声をかけ続けたという。

 試合直前にフェデリコが「これまでダウンを喫していない」という情報が入った。実際、1Rに拳を合わせたとき「打たれ強い選手」と感じた那須川陣営は、無駄打ちをせず、プレッシャーをかけながら試合の主導権を握っていく作戦に出た。これはメイウェザー戦で“やられた”こと。最終の3Rはとにかく下がらないことを意識しながら、一瞬の隙をついて天心キックを決めて見せた。

 天心は「パンチのいろんな種類で倒したかったんですけど、1度目で失神するとは…。でもあれは立てない。あれで立ってきたらビビりますよね(笑)」と手応えがあった様子。天心キックはこれまでも何回か披露しているが、フェデリコ戦のために弘幸氏らと特に練習していた技だったこともあって、狙い通りの一撃に弘幸氏も思わずガッツポーズ。「落ちついてたし、あれを出せたんだから良かったですよ」と弘幸氏も満足していた。3R1分35秒KO勝ち。見事な復活劇である。

 本人が望んで企画された-58kgの世界トーナメント。2回戦は7.21エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館)メインアリーナで開催される。“神童”がなにわに初見参するのだ。天心の試合を大阪で見たいという声は多く聞かれるが、天心によると「僕のインスタグラムのフォロワーさんは大阪が一番多い」という。大阪については「ひとつの国というか(笑)。イケイケなイメージなんで、いつも以上に気合いが入る」と楽しみにしているようだ。

 相手は昨年2月に苦戦しながらも判定勝ちを収めたタイの殿堂、ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級王者のスアキム・PKセンチャイムエタイジム。スアキムはタリソン・ゴメス・フェレイラを相手に大逆転勝利を収めて2回戦に駒を進めており、試合後「2回戦はテンシンとやりたい。そのためにもっと練習をする」とコメント。天心は「今度はダウンを奪いたい。圧倒的に勝って、差は広がったところを見せてやりたい」と連勝宣言。大阪のファンにとってはいきなり黄金カードが見られるだけに必見だ。

 「RISEはRISE、K-1はK-1で盛り上がればいいと思います。いつか一緒になれたらいいかなと思いますけど、いがみあうのではなく、みんなでキックボクシングを盛り上げている実感はあります。なるようになるんじゃないですか。それが東京ドームとかにつながっていくと思うし」

 この日はプロレスと格闘技による大興行戦争となったこともあり、ファンもマスコミもどこを選ぶか苦悩した。特にキックはRISEとK-1(さいたまスーパーアリーナ)がビッグマッチを開催。AbemaTVが両大会を生中継するという画期的な試みも行われたが、RISE関係者に話を聞くと「ザッピングして楽しんでもらえればいいと思うし、ふたつの大会をリアルタイムでスマホで見られるってすごいことですよね」とむしろ興行戦争を歓迎していた。どちらの大会も札止めとなり、選手やファンが熱望しているキック界のオールスター戦実現に向けて、まずは幸先のいいスタートを切ったと言えるだろう。

 天心もK-1の武尊も「キックや格闘技を世間に響かせたい」という思いが強い。ただ、東京ドームで興行を打つのはキック界が一丸とならないと厳しいのも事実。天心や武尊の言葉をわれわれマスコミも含めてキックに携わっている人間が、どこまでくみ取ることができるのかが大きなポイントになるだろう。

 そのことから考えても、那須川天心の復帰がもたらした効果は絶大である。

取材・文 / どら増田
写真 / 垪和さえ

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