【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】“プロテストトップ合格”の称号はいる?いらない?

【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】“プロテストトップ合格”の称号はいる?いらない?

“トップ合格の”は必要か?今季順調に成績を残している松田鈴英(撮影:米山聡明)

ツアー2年目の松田鈴英が奮闘。来季のシード権を手繰り寄せている。

鈴英とかいて『れい』。昨年のプロテストでトップ合格したときには、ほとんどの人が読めなかったファーストネームも徐々に浸透。先週の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」では最終日に「64」をたたき出し、自己最高の3位に入っている。今季の獲得賞金は2273万あまりとなって、賞金ランキングも29位に浮上。賞金シードにぐんと近づいた。


松田の活躍で、ときおり出てくるようになったのが“プロテストトップ合格の〜”という言葉。実は、日本の女子ツアーでは、1991年からプロテストのトップ合格者には、直後の大会から、特別な大会を除き、シーズン中のほとんどの試合に出場できる権利が与えられている。最初にその権利を手にした服部道子は、日本女子アマ、全米女子アマの両タイトルを持ち、米国留学時代にも大活躍をして鳴り物入りでプロテストを受験している。そのため、当時、この新しい規定は“道子ルール”などと呼ばれたこともあるほどだ。

前評判にたがわず、服部は1位でプロテストに合格。その後の試合でシード権こそ獲得できなかったが、のちに賞金女王タイトルまで取って(98年)実力を示している。

だが、その後のトップ合格者は玉石混交だ。シーズン後半戦だけでシード権を獲得したのは、ハン・ヒーウォン(韓国・98年合格)、ウェイ・ユンジェ(台湾・2001年合格)、服部真夕(07年)の3人だけ。QT制度導入後はプロテスト以前からツアーに出場していた選手も多いが、それでも、賞金シードが取れたのは、今季好調の黄アルム(韓国・08年合格)だけだ。

もっとも、1年間通してプレーしてもシード権を手にするのはたやすいことではない。そう考えると、むしろ、その後の活躍のほうが大切になってくる。それを考えても、トップ合格からの賞金女王は服部ただ一人。有村智恵、上原彩子。吉田弓美子、永井花奈など、活躍している選手はもちろんいるが、意外にも、それきりで消えてしまう選手も多い。そういう選手ほど、他に呼びようがないからいつまでも“プロテストトップ合格の〜”といわれることになる。

トップ合格者に、本当に実力を試す機会を与えるのであれば、むしろテスト翌年1年間の出場権を与えることにすればいいのではないだろうか。実は、急に試合に出られることになったトップ合格者が、わけのわからないうちに、夏休み期間のホテル、交通機関の手配に追われ、ドタバタ劇を演じるのはよくある話。高額の出費を余儀なくされて、慣れない試合でぼろぼろになり、経費ばかりがかかって稼げないケースも少なくない。もちろん、実力の世界だから本人の問題だ、といわれればそれまで。だが「出場権を与えている」という姿勢で、後のことを考えないのもいかがなものだろうか。どうせ毎年1人はその後の試合に出場できるのだから、ホテルの予約くらい押さえておくという手もあるはずだ。

松田も昨年は、右も左もわからないうちに試合に追われ、苦労して賞金ランキングは112位。だが、QTを18位で突破して前半戦を戦い、リランキングは7位となり、順調に結果を出している。

この先、松田がさらに活躍し、他の称号が付けば“プロテストトップ合格の〜”という前書きはいらなくなる。今年、トップ合格したエイミー・コガも同様だ。さて、2人はこの先、どんなプレーを見せてくれるのか。他の称号がつくことを祈りたい。(文・小川淳子)

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