「ひっそりとしていたい」男がつかんだ最終日最終組 木下裕太の“隠したい過去”

「ひっそりとしていたい」男がつかんだ最終日最終組  木下裕太の“隠したい過去”

普段は弱気?木下裕太が初優勝をつかむか!(撮影:鈴木祥)

<マイナビABCチャンピオンシップ 3日目◇27日◇ABCゴルフ倶楽部・兵庫県(7217ヤード・パー72)>

単独首位で予選ラウンドを終えた木下裕太。ムービングデーもきっちりと1つスコアを伸ばし、H・W・リュー(韓国)に並ばれたもののトータル12アンダーでトップの座をキープした。


4バーディ・4ボギーと出入りが激しく、前日までのスコアを維持したまま迎えた18番パー5。ここが、この日の木下の大きな見せ場となった。

ティショットをバンカーに入れ、当初の考えは「刻んでいこう」。しかしライなどを判断し予定を変更。ピンまで残り217ヤードの位置から5Wで、グリーンを狙うことにした。18番グリーンの前には、大きな池があり、当然この判断のリスクは高い。だが「今日はゆるみっぱなしだったので、『池に入ったら仕方ない』と腹をくくろうと思った。スライスをかけて(グリーンを)狙おう」とクラブを握る手に力を込めた。すると、このショットが見事にピンから20mのファーストカットにポトリ。「逃げて刻んでのボギーだと明日に響く。最後は逃げなくてよかった」と会心の一打となった。

強気のプレーを見せた木下だが、普段はメンタルの弱さを口にし、「ゴルフのときは自分を偽らないと」とコースではあえて“強気なフリ”をしているのだとか。短髪の色黒で、精悍な顔にひげをたくわえるワイルドな雰囲気。一見すると“迫力”があるが、話すと物腰は実にソフトだ。

そんな木下には、「あまり出して欲しくない」と思わず苦笑いしてしまう過去も。それが金髪、ロン毛のいわゆる“ギャル男”時代があったことだ。

高校卒業後は日大に進学。しかしプロを目指すために3年生で中退した。そのときに「これまでゴルフばかりだったし、他の同世代がやっていることをしてみたい」という気持ちから、ガラリと“イメチェン”を敢行した。当時の写真をみると、かつて10代のギャルたちのバイブルだった雑誌『egg』に登場しても、違和感のない風貌だ。

さらにプロテストも“ギャル男スタイル”で受験。その姿を見た日本プロゴルフ協会の面々から大目玉を食らったという経験も持っている。これを機に髪の色なども戻したそうで、「ほんとに、この話はこれ以上掘らないでください(笑)。その格好は半年くらいだったので」と、誰にでもある若気の至りについて弁明した。

「人見知りだし。今はひっそりとしていたい」と語る木下だが、今大会ではそうもいっていられない。優勝争いをする1人として、自身初の最終日最終組スタートと、大きな注目を集めながらのティオフとなる。「最後まで震えながらプレーする位置にいることができたら成長できる」。終盤まで優勝を狙える位置でのプレーに意気込んだ。

最後にポツリとこぼした「本当は1組前とかその前あたりのスタートがいいんですが…」という気持ちを“偽り”ながら、強気なゴルフでツアー初優勝をつかむ。(文・間宮輝憲)

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