魅力あるツアーとは? 殿堂入りの森口祐子が考える“選手の責務”

魅力あるツアーとは? 殿堂入りの森口祐子が考える“選手の責務”

森口祐子が語る 女子ツアーにおける“選手の責務”とは?(撮影:ALBA)

29日(火)、東京都千代田区にあるゴルフウェアメーカー「ブラックアンドホワイトスポーツウェア株式会社」本社で行われた展示会に、今月23日に日本プロゴルフ殿堂入りが発表された森口祐子が来場。ALBA.Netの単独インタビューに応じた。ツアー41勝を誇り、永久シード保持者でもある森口は、女子ツアーの放映権問題や、より魅力のあるツアーにするための選手の心得について持論を展開。後編となる今回は、“選手の責務”について語った。


昨年末に日本女子プロゴルフ協会(LPGA)が行った2019年日程発表の席で、3大会(KKT杯バンテリンレディス、中京テレビ・ブリヂストンレディス、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン)の中止が発表。その決断に対し、当然ながら選手達は即座に反応した。

試合数、賞金額、そして人気…、これらが右肩上がりの軌道を描いている女子ツアーに、突如突き付けられた試合数減少という現実。さらに、そのうちの2大会は、震災からの復興を目指す宮城県と熊本県での大会だったこともあり、『何とかして開催を』という選手の声は日に日に高まりをみせた。

森口は、この一件を通じ「選手達が色々な事に関心を持ったことは“ありがたいこと”だと思わないといけない。トーナメントの成り立ち方を学ぶチャンスになったし、決して悪いことではなかったと思う」という思いを抱いた。そのうえで、「選手達が戦う舞台は、どのように用意されているのか? 『練習して、うまくなったら賞金がもらえますよね』という考え方ではダメだということを肝に銘じてもらいたい」と警鐘を鳴らす。

中止が発表された直後、昨年のプレーヤーズ委員会で委員長を務めた比嘉真美子と、熊本県出身の有村智恵が、選手を代表して報道陣の前で口を開いた。そこで、今回の放映権を巡る交渉について『協会側のコミュニケーション不足』、『過度な情報統制』など選手が感じていたものを吐露。さらには「(協会に)裏切られた」という不信感も飛び出した。

しかし一方で、大会復帰が決まった際に比嘉は「一瞬とはいえ試合が減った状況があったというのは残念であると同時に、より1つ1つの試合がいかに大事かというのを考えさせられました。選手としてもツアーとしても頑張っていかないといけない」とコメントを残した。7年連続で賞金総額が過去最高額になるなど盛り上がるツアーにあって、現在の中心を担う選手達が、戦う場の消失という“危機感”を抱いた初めてのできごとだったのかもしれない。

「どんなに強くてもスポンサーの人たちが、女子ゴルフに魅力を感じなければお金は出てこない。『魅力はありますから、お金を出してください』と言っているだけではダメ。“一打にかける思い”、“どうやれば魅力を出せるのか”、“どうやれば海外で通用する人間になるのか”、“もっと強くなるにはどうしたらいいのか”ということを考え、プレーをし続ける以上、そのための勉強はやり尽くさないといけません」

ツアーとしての上昇カーブがいつまで描かれるのかは、誰にも分からない。だからこそ長きにわたり支持を得られるよう、協会だけでなく選手一人ひとりの自覚も森口は促す。

今回の大会復帰にあたり、声明を出した日テレと系列3局の共通の認識は、「放映権の問題は2020年以降も交渉を続ける」というもの。そんななか、今年については『選手ファースト』、『ファンファースト』、つまり選手を含めた世論を重視し、大会を継続したという声も主催者サイドからは聞こえてくる。根本的な解決には至っておらず、来季以降へ不安定さをはらみながらの開幕となる。

「ツアーに一人だけ強い選手がいたら成功かといったらそうではない。魅力的な団体になるためには、全員が一丸になる必要はある。でも試合に入ったらそれぞれが一番になりたいという気持ちで、一打一打に向き合って欲しい。それがツアーの大きな魅力になり、スポンサーの気持ちを動かすことにつながるのではないでしょうか」

永久シードを保持する名選手は、「今の若い子をみると、とても華やか。自分の魅力を引き出す方法が上手だと思う」と現在の女子ツアーの会場を目を細め眺めている。そして、その風景がいつまでも続くことを切に願う。

<ゴルフ情報ALBA.Net>