初心者も上級者も参考になる 笠りつ子の14本は“タメ”を作らない人向け【契約フリーから学ぶクラブ選び】

初心者も上級者も参考になる 笠りつ子の14本は“タメ”を作らない人向け【契約フリーから学ぶクラブ選び】

今季から契約フリーとなった笠りつ子(撮影:佐々木啓)

年々クラブ契約をフリーにする選手が増えている国内女子ツアー。2018年には賞金女王のアン・ソンジュ(韓国)をはじめ賞金ランキングトップ5のうち3人が契約フリーという状態に。19年も大山志保ら実力者たちがフリーとなり、様々なメーカーのクラブが入った14本で戦っている。


多種多様なクラブを選べるのは我々アマチュアも同じこと。つまり彼女たちのセッティングを見ることで、アマチュアが選ぶべきクラブが見えてくるのではないか。ということで契約フリーの選手の14本を徹底調査した。今回は今季からフリーとなった笠りつ子のセッティングを紐解く。

【笠りつ子2019年開幕時のセッティング】
1W:エピック フラッシュ サブゼロ ドライバー 10.5度
(グラファイトデザイン Tour AD DI-6/65R)
3W:PRGR TUNE フェアウェイウッド 15.5度
5W:PRGR TUNE フェアウェイウッド 17.5度
4UT:PRGR RS Wデザイン 17度
5UT:PRGR RS Wデザイン 22度
6I〜10I:本間ゴルフ TW737D
AW:本間ゴルフ TW-W(ブラック) 47度
SW:本間ゴルフ TW-W フォージド 52度
SW:本間ゴルフ TW-W 57度
PT:オデッセイ O-WORKS MARXMAN
BALL:タイトリスト Pro V1

笠は2013年にツアーエッジから本間ゴルフに移籍。それ以降はずっとホンマのクラブを使用してきたが、今年「今まで本間さんのクラブを使わせていただいて、本間さんの技術は非常に高くてすばらしいサポートを受けていました。ですが、限られたゴルフ人生なので色んなものを試したいという思いがあり、フリーになりました。新たなチャレンジです」とクラブ契約フリーに。開幕を前にほとんどのメーカーを試したという。

そんな笠の19年開幕時のセッティングを、プロコーチ&クラブフィッターの筒康博氏はこう見ている。

「気持ちよく振れるクラブが好き」と話しているように、シャフトからクラブを選ぶタイプです。シャフト、ヘッドそれぞれの分業をさせようとしている選手の一人。ただ、ノーコックでちょっと早めのテンポで打つタイプの選手なので、シャフトのストライクゾーン(使える種類)がかなり狭いですね。

ドライバーで言えば、気に入った振り心地のシャフトをまず決めて、その上で一番距離と方向性が保てるヘッドという探し方をしているんじゃないかな、と思います。3番、5番ウッドがカスタムのPRGR『TUNE』を使っている辺りも、シャフトを決めてヘッドをチューニングしたのではと思います。

シャフト選びの傾向でいうと彼女は、振り遅れがないほうがいいタイプ。手元に対してヘッドが大きく遅れている状態を作ることで飛距離アップにつながるという、いわゆるレッスン用語でいう“タメ”ですが、クラブ使いの観点で言うと“タメ”と言うのは“人工的に作った振り遅れの動作(タイムラグ)”なんですよ。“タメ”が大きいと飛ぶっていうことは、遅れた分が戻ってきて初めて飛距離に変わるわけです。

ですが、彼女はノーコックで打つのを見てもらえれば分かると思いますが、どちらかというと“タメ”を作ってシャフトの力で飛距離を出すよりも、自分の出力で距離を出していくタイプ。 彼女の場合は“振り遅れ動作”や“タメ”が大きいと、むしろミスにつながってしまうんです。だからTour ADのDIという“出力通りに飛ばせる”シャフトを選んだのではないでしょうか。

そんな彼女のセッティングを参考にして欲しいのは、大型ヘッドのドライバーでいまいち方向性が安定しないとか、2打目が左右のミスに悩んでいる方や長尺クラブが得意じゃない方。ショートアイアンを引っかけない人など、いわゆる手元とヘッドの動きの差を大きく作るのが苦手な人にはすごく参考になると思います。

今後試合をこなしていく中で、どのようなシャフトを選んで何のヘッドをチョイスするのか。チェックを続けていきたいです。ぜひぜひアマチュアが参考にすべきクラブ。スイングが同じじゃなくても参考になります。

もう一つ、アイアンの名手である笠選手は、ウッドもアイアン感覚で振れるものを選んでいると思います。それが出てくるのはフェアウェイウッドとユーティリティで地べたから打つクラブは接地面積にかなりこだわっているんじゃないかなと思います。UTをソールの奥行のないTUNEの05を選んでいるのもそういったあたりでしょう。

一方で下の番手を見てみると中上級者向けです。彼女はパーオン率の高さで勝負していくので、結果としてウェッジ本数に厚みを持たせることは難しくなりがち。つまり、ロングショットを行うクラブが勝負番手のはずです。またアプローチにバリエーションがあるタイプと言うよりは、ロフトなりにキャリーとランを作るタイプ。時には50度、58度みたいにロフトピッチが空いた組み合わせにする可能性もある。なので、アイアンより上は初中級者というか、100切りゴルファーでも参考にすべきセッティングに対して、下は中上級者向けというセッティングになっています。

解説・筒康博(つつ・やすひろ)/プロコーチ・フィッター・クラフトマンとして8万人以上のアドバイス経験を生かし、現在は最先端ギア研究所『PCMラボ』総合コーチ、インドアゴルフレンジKzヘッドティーチャーを務める。ALBA本誌ギア総研をはじめ様々なメディアでも活躍している。

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