原因不明の痛みにも“ガマン”!スコアを落としても“ガマン”! 上田桃子がつかんだ価値ある1勝

原因不明の痛みにも“ガマン”!スコアを落としても“ガマン”! 上田桃子がつかんだ価値ある1勝

トロフィーを持つ右手は痛々しい…(撮影:佐々木啓)

<Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 最終日◇24日◇茨木国際ゴルフ倶楽部(大阪府)◇6240ヤード・パー71>

痛みに耐えてツアー通算14勝目をつかんだ。1打差の2位タイからスタートした上田桃子が、5バーディ・3ボギーの「69」をマークし、トータル6アンダーでフィニッシュ。昨夜突然発症した右中指の痛みを乗り越え、2季ぶりのツアー優勝を果たした。


最終組の一組前でラウンドした上田は、2つ伸ばしてホールアウトを迎えた。「最後まで優勝を意識しなかった」とプレーに集中し続けたが、後続の結果を見守り、2位につけていた申ジエ(韓国)らが自分に追いつけないことを確認すると、その表情が一気に緩んだ。近くにいた同組の稲見萌寧と強く抱き合い、勝利の瞬間に酔いしれた。

一時は優勝が遠のいていった。3、5番でバーディを奪い、単独トップに浮上。しかし8番で3パットのボギーを喫すると、さらに9番パー5では残り70ヤードの第3打で、60度のウェッジを逆目の芝につっかけるミス。強烈にうねるグリーンの段を越えることができず、ボールは再びフェアウェイにコロコロと戻った。ここで連続ボギーを叩きスコアを落とすと、トップの座から陥落。逆にジエとの差は「3」まで開いていた。

この時には少し気持ちも沈んだというが、「プレーできているだけラッキー」と自らを鼓舞。11番パー5でスコアを伸ばすと、14番ではスライスフックの難しいラインを読み切り10mのバーディパットを沈め気合のガッツポーズ。ここでジエに並ぶと、セカンドショットを1.5mにつけた16番もバーディ。15番でダブルボギーを叩いたジエを終盤に交わし、そのまま逃げ切った。「今年は合宿からガマンすることを意識していました」とオフに意識したことを明かしたが、まさにその言葉通りの勝利となった。

痛みに耐える一日だった。2日目を終え、午後11時30分に床に就いた上田を、突然の異変が襲った。「眠ってからすぐに、右手中指に激痛が走って、それで目覚めました。毒で刺されたんじゃないかという痛みでした」。朝になっても痛みがひかず、朝食の時間なども治療にあてた。できないかもしれない、とメイクもせずに会場入り。早朝のショット練習も20球程度で切り上げざるを得ないほどの痛み。「せっかくいいところで回れるのに、なんでこんな時に」。不運をなげきそうにもなった。

しかし、スイングをコントロールする左手ではなかったことが、不幸中の幸いだった。「これまでスイングの時、下半身を意識してやっていたから、右手が痛くてもいけるのではないか」と出場を決断。辻村明志コーチからは、「スイングの時に右手はいらないことを証明してこい!」という言葉で送り出された。その痛みがあっただけに、今回の優勝に「まさか」という思いを抱いたのだ。

これまで尊敬する谷口徹らから、「何ごともガマン」と言われてきた上田は、今オフ、そのガマンをテーマに掲げた。アプローチ、パターの練習を何度も何度も“ガマン”して続け、プレーがうまくいかず落ち込みそうな時もやはり“ガマン”。常にその言葉を頭に思い浮かべ、練習に打ち込んだ。

「これまでは、ガマンができなくて勝てなかった試合が多かった。まだコーチには『70点か80点くらいだな』と言われますが、とにかくガマンすることを意識しました」

この日は痛み、そしてスコアを落とす展開のなか、まさにガマンのプレーを見せた。「今年の目標は“心・技・体”。今日の優勝はラッキーなだけで、まだその3つが私は整っていない。これが整った時の景色が見てみたい」。自らが目指す自分にはまだ至っていない。それでも2017年「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」以来となる今回の優勝は、掲げたテーマを象徴したような勝利となった。(文・間宮輝憲)

<ゴルフ情報ALBA.Net>