古閑美保はリポーター、大西葵からは応援… 李知姫は戸惑い感じる40歳初V

古閑美保はリポーター、大西葵からは応援… 李知姫は戸惑い感じる40歳初V

40歳での初優勝 李知姫は貪欲にまだまだ勝利を狙っていく(撮影:米山聡明)

<KKT杯バンテリンレディスオープン 最終日◇21日◇熊本空港カントリークラブ(熊本県)◇6428ヤード・パー72>

2年ぶり、そして40歳となってから初の優勝を決めた瞬間、先に出たのは歓喜のガッツポーズではなく安どの表情だった。「KKT杯バンテリンレディス」最終日、李知姫(韓国)が最終18番で『決めれば優勝』という4mのバーディパットを沈めて大会3勝目、そして通算23度目となる優勝を飾った。


今週は持ち味のアイアンが切れた。出だし1番のセカンド。ラフから残り125ヤードのショットを1mにつけてバーディを先行させると、前半だけで4バーディ。折り返してから「ショットが良くなくなって…」と調子が下降線をたどった。しかし「ガマンしながら」と崩れることなく2バーディ・1ボギーにまとめ、猛追を見せた吉本ひかるを最後に振り切った。

2月に40歳となってから初めての優勝。40代のツアー優勝は昨年の「ヨネックスレディス」を制した大山志保以来、約1年ぶりのできごととなる。「去年が思ったよりも良くなかったので、『私のゴルフはどうなるのか』という心配もありました。40代で勝てるのかな、と。それが40歳になってから、こんなに早く勝ててうれしいです」。だからこそ、優勝の瞬間はかみしめるような笑顔を浮かべたのかもしれない。

だが、40歳になったことを歓迎しているわけではないらしい。「何か予約する度に『40歳』と出てくるのがすごくショックです」。不惑が近づくにつれ周りからの質問も変わってきた。『何歳で引退するんですか?』、『引退は考えていますか?』。考えてはいないのだが、ツアーに長くいるんだなぁとしみじみ感じる。

同年代の選手も減ってきた。35歳以上の有志による「おばば会」もツアーメンバーが減ってご無沙汰となっている。挙げ句の果てには、ハーフターンの際に古閑美保を見て、「私は選手なのに、美保ちゃんはもうリポーターなんだなぁ」と感傷に浸ってみたり。

はたまた、同組の大西葵がすごく応援してくれた。「自分は苦しい一日だったのに、私のパットに『入れ〜』って言ってくれたり。私がベテランだったから気を遣ってくれているのかなと。なので、最後に『来週ご飯に行こう』と誘いました(笑)」。これは大西の人柄なのだろうが、それだけ気を遣われることも増えてきた今日この頃。

自分だって40歳までゴルフをすることは頭になかった。「始めたころは30代で引退すると思っていました」。40歳になると飛距離が相当落ちると考えていた。だが、実際になってみると、まだまだドライビングディスタンスは35位と平均以上だし、「(大山)志保さんや表(純子)さんとかを見てると『いけるじゃん』って感じています」。実際になってみれば、まだまだ長くやりたい気持ちは強いのだ。「長くやりたくてできるものじゃないので、コンディション管理などをもっと努力しないといけないですね」。そう簡単にやめる気はさらさらない。

ここまで長く続けられている理由を考えてみると、“惜しい”ゴルフ人生だからなのかもしれない。「私のゴルフは、いけそうでいけないことが本当に多いんですよね。2位が2回で、賞金女王にもなれていない。もっと上のレベルに行きたい気持ちは常にありました。もう少し頑張ったらいけるところにはいたので。でも、振り返ってみると逆にバッと一番上になっていたらそういう気持ちはなかったと思います。そういったモチベーションがあるんでしょうね」。手が届きそうで届かないからこそ、常に上を見て頑張れてきた部分は非常に大きい。

ゆえに、まだまだ貪欲なのだ。優勝争いの相手となった吉本をはじめ、ツアーを席巻しつつある自分の約半分の年齢の子たちが形成するいわゆる“黄金世代”。彼女たちからも学ぼうとするのである。「私はマネジメントしながらプレーをしますが、若い子たちはピンだけを狙っていく子が多い。それを見て『ここは攻めていっていいところなんだ』と研究しています」。ただ振り返ってみれば、「自分も若いときは攻めていて、先輩に『ここもピンを狙うの?』と言われたことがあったんですけどね(笑)」と、これも年齢を感じる要素の一つなのだが。

長く続けてきた甲斐もあり、永久シードまであと7勝となった。これについては「以前は目標にしていましたが、一年に3〜4勝しないときついと思います。確かに8から7に減ったんですけど、まだまだ」と謙遜。しかし、「次はまだ勝っていないメジャー、サロンパスとリコーカップを勝ちたいですね」と次なるビッグタイトルはしっかりと見据えている。巧みな技を見せ続けるベテランは、不惑を迎えても上だけを見続けている。それが、強さなのだ。(文・秋田義和)

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