PGAオブ・アメリカの女性会長を見て思うこと【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

PGAオブ・アメリカの女性会長を見て思うこと【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

スージー・ウェイラー会長とブルックス・ケプカ(撮影:GettyImages)

ブルックス・ケプカ(米国)の連覇で幕を下ろした「全米プロゴルフ選手権」。表彰式に登場したスレンダーな女性の姿を目にとめた日本のゴルフ関係者がどれだけいただろうか。昨年11月に、女性として初めてPGAオブ・アメリカの会長となったスージー・ウェイリー。かつて1年間だけだが米女子ツアーでもプレーし、LPGAのティーチング部門メンバーでもある彼女は、2003年にも“女性初”の偉業を成し遂げた人物でもある。


コネチカットPGAチャンピオンシップで優勝。クラブプロの大会で女性が優勝したのが史上初めてだった。その資格で、米ツアーの1戦、「グレーター・ハートフォード・オープン(現トラベラーズ選手権)」にも出場。結果は予選落ちだったが、それでも世界のトッププレーヤーが集う男子ツアーを舞台に2日間70台で回っている。

クラブプロを中心に、ティーチングプロ、コースメンテナンスのプロなどゴルフに関する様々な部門のメンバー約2万9000人からなるPGAオブ・アメリカ。ウェイリーは、14年にそのセクレタリーとなり、昨年、会長となった。女性初のトップというニュースは流れたが、その後は、粛々と仕事をしている。表彰式では笑顔でケプカを祝福し、ファンや関係者に感謝する姿が印象的だった。

“女性初”というキーワードを今回は何度も使った。プレーヤーとして男子と戦うことはまったく別な話。ではあるが、組織でのポジションという点ではまだまだ女性が重要なポストに就く機会は少ない。

それでも、欧米では政治を始めとして、女性が要職に就くことは珍しくなくなっている。国際労働機関(ILO)のデータによれば、世界における2018年の女性管理職の割合は、平均27.1%。トップは米国の34%で、日本を除くG7各国は、20〜30%台となっている。ところが、日本はG7最下位の12%。これは宗教的な理由もあって女性の社会進出が遅れているアラブ諸国の11.1%と水準としては変わらない。

これほど女性管理職の割合が少ない日本にあって、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は、長年、会員である女性がトップに立ってきた。設立から1987年までの13年間の初代会長こそ中村寅吉だったが、この間も理事長に二瓶綾子(一期のみ清元登子)が就いていた。87年の社団法人化と同時に二瓶が会長となり、以降、小川美智恵、清元、樋口久子を経て現在の小林浩美に至っている。

と、こう書くと、先進的な団体のように聞こえる。だが、女性を要職に就ければいいというものではない。問題の本質は仕事において男女が平等にその機会を得るべきだということ。つまり、その職をきちんと全うできる人を男女問わず選ぶことが大切だということになる。

日本プロゴルフ協会(PGA)が、ティーチングプロとして女性会員も受け入れる方向性を示したことで、LPGA内部からは不満の声が聞こえてくる。いわゆる“縄張り争い”の予感だ。しかし、ゴルフ人口が減る中、そんなことをしている場合ではない。規模こそ違うが、欧米には様々なお手本がある。ツアーとティーチングの両部門を抱えたLPGAは、長期のスパンで今後のビジョンをはっきりと示すべきだろう。PGAオブ・アメリカ、PGAツアー、米LPGA、欧州ツアー、欧州女子ツアー、そしてUSGAにR&A。ただどこかを模倣するのではなく、それをかみ砕いて自分たちに合ったあり方を根底から考え、ロードマップを作らなければ、明日はない。以前からいい続けてきたことではあるが、スージー・ウェイリーの姿を見て、その思いを強くした。(文・小川淳子)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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