“まるでT・ウッズ”だったマキロイの勝ちっぷりとグッドサイン【舩越園子コラム】

“まるでT・ウッズ”だったマキロイの勝ちっぷりとグッドサイン【舩越園子コラム】

カナダの大観衆に祝福を受けたマキロイ 全米OPへ大きな弾みをつけた (撮影:GettyImages)

「RBCカナディアン・オープン」を圧勝し、米ツアー通算16勝目を挙げたローリー・マキロイ(北アイルランド)の勝ち方は実に見事だった。3日目を6アンダー「64」で回って首位タイに付け、最終日は大会記録となる9アンダー「61」という会心のゴルフを披露。トータル22アンダーとして、2位に7打差で勝利を挙げた。


マキロイは前週の「ザ・メモリアル・トーナメント」で予選落ちを喫したばかりだったが、期せずして時間的余裕ができたおかげで「弱点だったウェッジとドライバーの練習ができた」。

その言葉通り、安定したドライバーショットと打てばピンに付くウエッジショットは、今週のマキロイのゴルフの要になっていた。

「3日目にノーボギーで回れたことが自信になり、今日の最終日につながった」

起こってしまった「悪いこと」も、自力で起こした「いいこと」も、どちらも糧に前進していく。そんなマキロイのポジティブで地道な歩みが、見事な圧勝につながったと言えるだろう。

だが、今週のマキロイの勝利の背景には、もう一つ、ビッグなストーリーがあった。

カナディアン・オープンは昨年まで「全英オープン」翌週に開催されていたのだが、米ツアー日程が大幅に変更された今年は「全米オープン」前週の開催となり、コースもグレンアビーCCからハミルトンGCへ変更された。

メジャー前週は「出場して調子を上げてメジャーに臨む派」と「出場せずメジャーに備える派」に大きく分かれるもので、今大会には「前週に出場する派」のマキロイやブルックス・ケプカ、ダスティン・ジョンソン、ジャスティン・トーマス(いずれも米国)らが出場した。

そんな中、一昨年と昨年の全米オープンを連覇し、昨年と今年の「全米プロ」を連覇して、通算6勝のうち4勝がメジャーと「メジャー強さ」が光るケプカは、今大会の開幕前、こんな発言をした。

「この大会で目指しているのは、いいフィーリングと自信を得ること、それを抱いて全米オープンに臨むことだ。この大会では、どんな結果になろうとも、どうでもいい」

全米オープン前週の今大会をそのためのウォーミングアップに位置付けること自体は、ケプカのみならず「メジャー前週に出場する派」に共通する目的の一つではある。ケプカにとって来週の全米オープンは3連覇がかかっている大事な大会ではある。

しかし、今大会の結果は「どうでもいい」と言ったケプカの言葉は、カナダの人々と大会側に対する配慮に少々欠けていた。米メディアは即座に「だからケプカはレギュラー大会の勝利数が少ないのだ」と嫌味を込めて書き立てた。

一方、マキロイは開幕前からケプカとは対照的な言葉を口にしていた。

「この大会は(全米オープンのための)練習なんかじゃない。世界最古の大会の一つであり、カナダの伝統あるナショナルオープンであり、格式高いこの大会で、いい感触を得て、来週につなげられるよう頑張りたい」

カナダ人選手26人が挑んでいた今大会は、カナダの人々が誇りに思う母国最大のゴルフの大会。そこにリスペクトを払い、カナダへの信愛の情を示したマキロイに、カナダの大観衆は熱い声援を送り続けていた。それがマキロイの力になり、快進撃につながった。

「カナダのすばらしい大観衆に囲まれながら、カナダのビッグな大会で勝利できたことを僕は誇りに思う」

タイガー・ウッズ(米国)が大観衆の声援に支えられ、昨年の「ツアー選手権」で復活優勝を飾り、今年の「マスターズ」を制したように、今大会のマキロイも大観衆の応援に後押しされ、見事なゴルフを披露して勝利を挙げた。18番グリーンを囲む人々に向かって拍手をお返ししたマキロイの姿は、復活優勝を遂げた直後のウッズの姿と重なった。心技体の充実と周囲への感謝の心が伝わってくるシーン。それは、きっと未来へのグッドサインに違いない。

「ローリー、来年もここに帰ってきてね!」

いつまでも鳴り止まなかった「ローリー・コール」は、マキロイが来週のペブルビーチへ持っていく何よりの武器になるはずだ。

文・舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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