ゴルフの魅力を存分に伝える上田桃子の優勝【小川淳子の女子リポート“光と影”】

ゴルフの魅力を存分に伝える上田桃子の優勝【小川淳子の女子リポート“光と影”】

今季2勝目の32歳・上田桃子 その姿を見て周りは何を思う(撮影:上山敬太)

26.5歳。今季14試合の日本女子ツアー優勝者平均年齢だ。「KKT杯バンテリンレディス」優勝の李知姫の年齢、40歳がなければ、もっと若くなっているところだ。


我々メディアが”黄金世代“と名付けた1998年度生まれは、勝みなみが2勝しており、原英莉花、渋野日向子、河本結がそれぞれ1勝と全部で5勝。30代は、それぞれ2勝している上田桃子と申ジエの2人だけ。後は皆、20代だ。今年のシード選手の平均年齢が26.4歳ということを考えれば、優勝者平均年齢がほぼ同じなのは自然な成り行きかもしれない。

ゴルフは、プロスポーツの中でも、長い間プレーすることができるのが特徴だ。しかし、女子の場合は特に、近年、トップツアーの若年化が著しい。もちろん、試合に出場できなくなってしまえばどうすることもできないのだが、最初からある程度の年齢まで、と決めてプレーしている選手も少なくない。

しかし、「ヨネックスオープン」で今季2勝目を挙げた上田は、優勝後、こう口にしている。「選手のピークはいつだと思いますか?という質問を昨日受けた。その時、私は今だと感じていたんです」と。さらに「ゴルフは、故障さえしなければ年齢、経験を経てうまくなるもの。限界を作らない限り、まだまだいける」とも続けている。

以前、同様の言葉を尾崎将司からも聞いたことがある。「人生最高のショットは?」という質問に対する答えではあったが「まだだ。これからだ」と答えた。この時のジャンボはすでに60歳を超えていた。現在、72歳になったジャンボは、永久シードを保持していることもあり、依然としてレギュラーツアーに出場し続けている。満身創痍のその姿の是非はさておき、そんな気持ちがあるからこそ、できているのはまちがいないだろう。

取材を続けていると「長い間、ツアーで戦い続ける気持ちはない」という言葉を若い選手から聞くことが多い。その裏には、子供のころからゴルフ一色の生活を送り、遊びに行く暇もなかった、という事情がある。自ら望んでのことではなく、それを親に強いられて、という場合も少なくない。だからこそ、若い間に一気に稼ぎ、30前後で第一線からは離れて違う人生を送りたい、という気持ちが強い若い選手が多いのだろう。

どんな人生を送るかは自分次第だし、来し方もそれぞれだ。個々の選択についてとやかく言うつもりはない。だが、上田の言うように、故障さえしなければ、ゴルフは年齢や経験を重ねてうまくなるスポーツだ。体力はひとつのアドバンテージに過ぎない。ゴルフの面白さはまさにそこにあると言ってもいいだろう。

アラフォー、アラフィフの女子プロと話をすると「やっぱりゴルフは楽しい」とか「ゴルフの楽しさを広めたい」という言葉が必ずと言っていいほど出てくる。現在、ツアーで活躍する後輩たちに、そのことを伝えたいというプロもいる。

20歳の若者が、40歳、50歳になった自分を具体的にイメージするのは難しいだろう。それでも、人生を通じて様々な形でゴルフとかかわって行けることの幸せをかみしめてほしいと思う。ゴルフを通じての人間形成、そこから広がる人間関係、学び…。32歳の上田桃子の優勝で、20歳の若者にも、年齢を重ねたベテランも、様々なことを感じたに違いない。もちろん、プロ仲間だけでなく、見ている者にも。(文・小川淳子)

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