厳戒警備、取材制限… 渋野日向子フィーバーに沸いた現場で何が起きていた?【記者の目】

渋野日向子出場で石川遼や宮里藍さんフィーバー以来の警備体制 疲れから取材も制限

記事まとめ

  • 渋野日向子が北海道meijiカップに出場し、多くのギャラリーが会場に押し寄せた
  • 大会側は、石川遼や宮里藍さんフィーバー以来となる特別警備体制を敷いた
  • また、渋野日向子が疲れを訴えたため、LPGAがメディアに対し取材制限を要望した

厳戒警備、取材制限… 渋野日向子フィーバーに沸いた現場で何が起きていた?【記者の目】

厳戒警備、取材制限… 渋野日向子フィーバーに沸いた現場で何が起きていた?【記者の目】

ファンにメディアに大フィーバーだった(撮影:佐々木啓)

先週行われた「北海道meijiカップ」。その会場となった札幌国際CC島松コースは、いつものトーナメント会場とは違う雰囲気に包まれていた。その前週に「全英AIG女子オープン」で海外メジャー制覇を果たした渋野日向子の凱旋試合となったことが、その理由だ。渋野の姿や、フィーバーに沸く会場の様子が、連日世間を騒がせた1週間だったが、会場の様子をここで少しまとめてみる。


まず予想通り、多くのギャラリーが会場に押し寄せた。初日こそ、事前に大雨予報が出された影響もあり、昨年の3976人から2921人とギャラリー数は落ちたが、2日目は5855人、最終日は7631人とそれぞれ過去最多の動員を記録。3日間の合計でも1万6407人と、これまで最多だった昨年の1万3741人を3000人近く上回り、2006年に札幌国際CC島松コース開催に変わって以降、最もギャラリーが訪れた大会となった。

さらに前年に比べて人数は減った初日も、渋野の組に多くのギャラリーが集中したことで、“女王行列”はかなりの長蛇に。最終日の前売り券は前年比210%の売り上げを記録するなど、多くの人が、歴史的な偉業を達成した“スマイル・シンデレラ”の姿を一目見ようと会場を訪れた。

増えたのは、報道陣も同様だ。昨年大会初日は26社41名だったのに対し、今年は44社98名。2日目も33社76名、最終日も37社84名と、いずれも1年前に比べて2倍近くになった。そして、渋野の一挙手一投足を映像や写真におさめるカメラマンや、プレー内容をメモするために一打ごとにペンを走らせる記者達もまたその行列に加わった。

こういう背景もあり、取材には制限も設けられた。例えばプロアマ。全英後初ラウンドが行われたこの日には、開幕前日にも関わらず昨年よりも50名近く多いメディアが会場に詰め掛けた。この大会では、例年プロアマで記者や、報道用のカメラマンがコース内に立ち入ることに、特に制限は設けられていない(あくまでも常識の範囲内で)。しかし今年は混乱を避けるため、取材エリアを練習場と、ティイイングエリア2カ所(1番、10番)、グリーン2カ所(9番、18番)のみと限定された。

また会場入り直後から「疲れ」を訴えていた渋野に対して、個人的な取材を控えて欲しいという旨の要望が日本女子プロゴルフ協会(LPGA)からメディアに対して出された。渋野への質問は会見だけに限られ、さらにそれも極力手短にしようという“紳士協定”も結ばれた。大会初日と2日目には、普段別々に行われるテレビ局と、記者への会見が同じ部屋で一緒に開かれ、質問の重複がなく、かつ拘束時間もできるだけ短くなるようなスケジュールが組まれた。

では大会側はどのような対策を講じたのだろうか? 仮設トイレの数が10棟増やされ、ギャラリーバスも1日3台の増便を開幕前に決定した。警備員の数は非公表だったが、渋野の組には、ほかの組に比べ2倍のスタッフがつけられ、安全確保に励んだ。さらにLPGAの広報担当を通常の2名から3名に増員。そのうち1名は渋野の組専属となり、メディアの誘導が行われた。こういった特別警備体制は、石川遼宮里藍フィーバー以来の措置だ。

事前の準備が実を結び、大きな混乱や問題は発生せずに大会は終了。途中、撮影禁止のコースでカメラを向けたギャラリーや、進入禁止の場所を歩くギャラリーが注意される光景を目にすることはあったが、大会の広報担当者が「北海道民はマナーがいいですね」という感想を抱くほど、順調に進行していった。

ラウンド中、渋野の組についていたギャラリーに話を聞いた。すると、トーナメント会場に初めて訪れたという声はやはり多かった。9歳の娘と初観戦した44歳の会社員男性は、「娘が渋野選手を見たいと言って、それで駆け付けました」と、来場理由を話した。念願だった渋野を見て、女の子は「すごかった」とニコリ。パパも「子供がゴルフに興味を持って、一緒にラウンドができたらいいですね」と言って笑った。

北海道旅行中に、足を運んだという30代女性2人組は、学生時代にゴルフを嗜んでいたが、観戦は初めてのこと。「プレーに迫力がありますね。今まで入りづらいと思っていましたが、自然のなかを歩きながら試合を見るのは思っていたより楽しいですね」と魅力を感じたようだ。夏の北海道の風物詩ともいえる大会とあって、全英優勝が決まる前から観戦を予定していたという人も多かったが、「渋野選手が出るのでラッキーだと思いました」と話した35歳男性など、さらに会場に行きたいという気持ちを強めたという声は多く聞こえてきた。

逆に「毎年来ている」といい、今回が4度目の来場だという52歳男性は、「いつも人は入っていますが、今回は渋野選手の組に集中していますね。私も普段はいろいろな選手を見ますが、今年は…渋野選手についてみました」と、笑いながら普段との違いを話した。これらの声から、渋野の優勝は“ゴルフの入り口”を広げることにも一役買ったという実感を得ることもできた。

最終日のテレビ視聴率は8.7%(関東地区。データはGTPAより。それ以外の数字は下部参照)。今季女子ツアー最高で、昨年が6.1%(同じく関東地区)だったことを見ても、多くの人が渋野がプレーする姿を見たかったことがうかがえる。初日を終えた後38度を超す熱が出るなど、体調面が心配された渋野だったが、日を追うごとに体力を回復。最終日のラウンドを終えた後には、「優勝してからしんどいこともありました。でもギャラリーのみなさんが、体調を気づかってくれたり、『おめでとう』と言ってくれて、出場してよかったなと思いました」と言って、環境が激変した1週間を笑顔で締めくくった。

“渋野フィーバー”に沸く会場に立ち、普段とは異なる雰囲気を感じる場面も多々あったが、そのなかでも変わらないものも目にすることができた。真剣な眼差しでダイナミックなゴルフを見せ、ラウンド後には無邪気に笑う20歳の姿も、その一つだ。(文・間宮輝憲)

【北海道meijiカップ視聴率※データは全てGTPAより】
・土曜日
関東地区:8.0%
中部地区:7.9%

・最終日
関東地区:8.7%
中部地区:9.0%
関西地区:7.7%

※参考18年最終日
関東地区:6.1%
中部地区:5.7%
関西地区:5.5%

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