市原弘大の快進撃を支える宮崎発のウェア 縁が生んだ不思議な巡り合わせ【記者の目】

市原弘大の快進撃を支える宮崎発のウェア 縁が生んだ不思議な巡り合わせ【記者の目】

市原弘大が宮崎発のウェアを着て宮崎で優勝(撮影:ALBA)

遠目でもわかるド派手な蛍光緑。しかも上下で色違いの蛍光色に身を包んだ市原弘大が、「ダンロップフェニックス」の土曜日に順位を上げ、最終日の大逆転につなげた。コース内を歩けば「派手だね〜」、「まぶしい!」などと声をかけられることが多くなったという市原。着用するのは、今季から契約する宮崎県発のブランド『P’MAS(ピーマス)』だ。


ウェアの話に入る前に、今年の市原を振り返る。プロ転向は2001年でツアー初優勝が6月に行われた公式戦の「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」。苦難の時期を乗り越えてきた市原が男泣きを見せた。さらに、2勝目は1勝目よりも難しいとはよくいわれるが、大会週の世界ナンバー1選手、ブルックス・ケプカ(米国)や松山英樹らに見事勝利。同一シーズンで2勝を挙げるという快進撃を見せている。

ちょうど1年前の「カシオワールドオープン」で市原と会話したのを昨日のように覚えている。シード常連だった市原が予選落ちを喫し、シード落ちが決まったときだ。そんなときでも笑顔での受け答え。誰に対してもフラットな対応で、親しみやすい選手の一人というのは有名な話。そのときはさすがにシード落ちの話を聞くのはためらわれたが、「仕方ないし、また戻ってきますよ」と目を真っ赤にして話していた言葉どおり、復活どころかパワーアップ。昨年暮れのQTで上位に入り、今シーズン前半戦で結果を出し、ここまで上り詰めた。

アジアンツアーにも挑戦してきた経緯を持つ市原は、常々「試合があるのだから、もっと海外にも出て行けばいいと思う」と、挑戦心を持つことの重要性を説いてきた。今回の優勝で世界ランキングも425位から168位にジャンプアップ。「来年も海外の試合に出て行きたい」と、さらにランキングを上げてメジャー出場を目指すと同時に、「アジアンツアーのQTにも行きますよ」。2勝を挙げてもなお、向上心と今までのスタイルを変えることはない。

そんな男が、蛍光色や派手なウェアでツアー会場にいることが、最初は珍しかった。失礼を承知でいえば、どちらかというと見た目に派手さはないのだが、だからこそニューウェアにより、インパクトが増したのだろう。今ではツアー会場でも市原のウェアは話題に上るほど、名物になっている。

ツアー会場で「今日もいい色出していますね」と声をかけると、ニッコリ微笑み、まんざらでもない様子。「最近はいろんな人にウェアのことをいわれます」と、本人も楽しんでいる様子がうかがえる。

今回、優勝したのが宮崎の地であったことも、さらに市原のウェアへの注目度を高めた。今年から着用する『P’MAS(ピーマス)』は、アパレル業界出身の赤平聖茂さんが立ち上げたブランド。東京出身だが、アパレル時代に九州担当だったこともあって、いつしか宮崎でブランドを立ち上げた。ご当地Tシャツから始まり、ゴルフウェアも手がけるようになった。関係者の紹介で市原と契約を結んだが、契約初年度から一気に知れ渡ることとなった。

着用ウェアについては、すべて赤平さんがコーディネートを考えて、市原に送っているという。「基本的にすべて任せてもらっていますが、一度だけNGが出たのは、福島オープン用に送った上下ともにピンクのウェアでした。さすがに恥ずかしいと(笑)」(赤平さん)。宮崎発のローカルなブランドでお世辞にも知名度が高いとはいえないものの、6月の優勝で脚光を浴び、ネット通販でも注文が増加。さらに今回の優勝直後も問い合わせが早速入っているという。

「テーマは地方創生です。宮崎という言葉が出るのがうれしいんです。今年は市原選手がシードを取り戻すことができればと思っていたのですが、全英オープンにも行かせてもらいましたし、ブランドを知ってもらうことができて宮崎を盛り上げることができたのではと、感謝しています」と赤平さん。市原も「宮崎で優勝することができて、最高の恩返しができたかな」と喜んだ。

仮の話だが、もし市原が前半戦で勝つことがなく、成績も低迷していたらダンロップフェニックスへの出場はかなわなかった。そう考えると、『P’MAS(ピーマス)』と市原の出会いが、見事なまでのサクセスストーリーを生んだといってもいいだろう。

大手のウェアメーカーでは、契約選手の体に合わせて型をつくったりと、年間何百万円も選手に投資するともいわれている。『P’MAS(ピーマス)』に関していうと、「市原選手には既製のサイズで着ていただいています」と赤平さん。ともに自然体で今季を歩んできた結果、宮崎発のブランドで優勝という、最高の展開が待っていた。

大会直後の月曜日、宮崎市内にある店舗を訪れてみると、カラフルなゴルフウェア、Tシャツが店頭に並んでいた。せっかくなので、市原選手の優勝にあやかってキャップとTシャツを買ってみた。少しでも宮崎のPRになればと思ったが、選んだものは少し地味目にしておいた。(文・高桑均)

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