完全優勝の石川遼、刻んだ17番に感じた“自信”【記者の目】

完全優勝の石川遼、刻んだ17番に感じた“自信”【記者の目】

大人のマネジメント 石川遼、2試合連続V達成の裏に…(撮影:鈴木祥)

しばしの不調の時期を経て、7月の「日本プロゴルフ選手権」で3年ぶりの優勝を果たした石川遼。約1カ月半の期間を空けて、本大会で早くも今季ふたつ目の勝ち星を挙げた。自身としては初となる2試合連続優勝を達成、かつての勢いを取り戻したかとも思われる活躍ぶり。一体どんな変化があったのだろうか。


ひとつは、自らの中で強化する部分が明確になったことがある。「目標がもやっとしていた時期があった」と語った石川。不調が続いた時期はドライバーに悩み、そこにこだわるあまり表情を曇らせる場面が多かった。「去年のシーズン終盤くらいから自分と向き合えて、ドライバーからパッティングまで、世界と戦うにはどれがどのくらい足りないかを明確にした」。

その中で、特に“ここ”と決めたのがアイアンの精度。本大会4日間では、フェアウェイキープ率57.14%(45位)ながら、パーオン率は81.94%で1位タイ。「グリーンに乗ったらひと安心だけど、それではだめ」と、よりピンを狙える精度を追求。今季初戦の「SMBCシンガポールオープン」でセルヒオ・ガルシア(スペイン)と回り、自らとの違いを客観的に分析したという。「ほとんどのアイアンショットで、僕のちょうど半分くらの距離につく。僕より5ヤードくらい飛ぶんですけど、グリーンにいくとさらにその差が開いている」。大会1位のパーオン率はさることながら、アイアンショットを次々バーディチャンスにつけ、大歓声を巻き起こした。

「まだまだ」と評しながらも、徐々に成果を出しているアイアンショットへの自信も2勝目を引き寄せた一因だ。それを感じた一幕が、第3ラウンドの17番。ティイングエリアが前に出され、ワンオンが狙える282ヤードのパー4。フェアウェイ左サイドからグリーン手前にかけて大きな池が広がる2段グリーン、一歩間違えればトラブルにもなり得る。第3ラウンドではフォローの風が助けたこともあり、11人がこのホールでイーグルを奪取。しかし、ここで石川がティショットで握ったのは9番アイアンだった。「最初は狙う気でいたんですが、風や距離を考えたらアイアンの調子もよかったので、刻んで2mにつくというのが当たり前に想像できた」と2オン1パットでバーディ。2位に3打差をつけて迎えた第3ラウンド。追われる中で賭けに出るよりも、確実にリードできる方法を選んだ。

5打のリードを持って迎えた最終日の17番でも、手にしたのは9番アイアン。最終日は、第3ラウンドまでと比べてアイアンが不調だった。それもショートゲームでカバーして着実にパーを拾い、5バーディ・1ボギーとスコアを崩すことなく迎えた上がり3ホール。後続に差をつけていても、「貯金が何打あっても足りない」。池がらみの16番パー3は、ダブルボギーを打つ可能性も頭をよぎった。8番と9番アイアンで迷った末に、「8番で置きにいくスイングで抑えようと思ったけど、自分の中でそういった守りは、まだあの状況では怖いと思った」と9番アイアンのフルショットで1オンに成功。ここをパーでしのぐと、17番は「(後続の)パグンサンがバーディを獲るのも分かっていたし、ここをパーでいければ、最後にイーグルを獲られて自分がボギーでも勝てると思った」。池の手前に刻み、「まさかのティショットより、セカンドのほうが長いクラブになったんですが(笑)」と、2打目は8番アイアン。ピン奥15mと長い距離が残ったが、これを2パットで収めてパーセーブ。追われる緊張感の中でも、着実なマネジメントで勝利を確実なものにした。

第3ラウンドを終えたあと、17番を振り返って「バーディを獲った今でも、あの攻めはよかったのかなとモヤモヤしている」と表情を曇らせた。しかし、不振が続いた際の、方向性が定まらないことへの迷いは感じられなかったように思う。「ベストをつくしてボギーは仕方がない。1日の中でも必ず波があるし、そこからどう対処していくかが大事」と語った石川。調子を崩しても、そこからどう立て直すかを冷静に見極めることができるのは、これまで積み上げてきたものへの自信と、それが成果に表れ始めていることへの安心感があればこそ。内容に納得できる部分があれば、ベストを尽くせばいずれ巻き返せる。そんな絶対的な自信を垣間見ることのできた圧勝だった。(文・谷口愛純)

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