発信力不足でチャンスを生かしきれないLPGA【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

発信力不足でチャンスを生かしきれないLPGA【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

今後はLPGAの発信力が強まるのか?(撮影:ALBA)

プロスポーツの世界でも極めて大切な発信力。これが日本女子プロゴルフ協会(LPGA)には欠けている。


26日に行われた「第52回日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」という主催競技についての記者発表でも、そのことが改めて露呈した。

小林浩美会長、原田香里副会長、コースセッティング担当の岡本綾子、ディフェンディング・チャンピオンの申ジエ(韓国)の4人が壇上に並んだこの日の記者発表。「アジアNo.1のツアーとしてゴルフの普及、拡大」(小林)というフラッグシップトーナメントのコンセプトが話され、大会概要やコースセッティングの説明。前売券4万8000枚完売の事実、さらに昨年に続きインターネットLIVE配信を英語でもすること、新しい形でのプロアマを実施することなどが説明され、質疑応答となった。だが、ここで馬脚を現してしまう。

受け答えのキャッチボールが何回も続いたのはコースセッティングについてと、プレーヤーとして出席した申の部分だけ。セッティングについては「コース全長が6425ヤードで例年になく短くギャラリー動線を考慮し、なるべく選手と交差しないティイングエリアにした。(4日間トータル)15アンダーは出ます。20アンダー前後を想定しています」と方針や数字も含めたハッキリした答えが岡本から返ってきたからだ。申も、連覇への意気込みや、他の選手との比較などを問われ、きちんと答えていた。

だが、残念ながらそれ以外は、キャッチボールがうまく成立しない。質問が突っ込んだ部分になると「これから」とか「だと思います」などと尻すぼみになってしまい、盛り上がらない。

例えば、「全英AIG女子オープン」優勝で女子ゴルフ人気を爆発させ、前売り券完売の原動力となった渋野日向子目当ての観客への対応を問われても、具体的なものが何も出てこない。「ギャラリーに見合った施設物は(用意)しないと」という程度の受け答え。時期を考えれば、当然、出てくる質問であり、事務局の担当者や代理店、運営担当などに確認しておくべきなのをせず“丸投げ”ぶりをさらけ出してしまった。

英語のライブ配信の話から、LPGAオフィシャルウェブサイトの英語版がいつできるのか(現在ないこと自体が驚きだが)について尋ねられても「数年以内には」(小林)などというのんきな答えが返ってくる。アピールしようとしているポイント周辺でも、すぐに底が見えてしまうのだ。

それでも、実は今回の会見はLPGAにしてはましなほうだというのが残念ながら真相でもある。新理事決定の会見で、理事のプロフィールどころか名前をプリントした紙すら用意していなかったり、規定変更の発表を淡々と進めるだけで、詳しいことを話さず「質問はありませんか」といってあっさり切り上げたりするのは日常茶飯事だ。

メディアを集めて会見をするのは、広く人々に発信するために他ならない。そのための準備も、対応もできていないのではないか。都合の悪いことも隠すのではなく明らかにするのがベストだが、それができない団体は少なくない。だが、今回に限らず、LPGAの場合はそれ以前の段階。自分たちがアピールしたい部分すら、上っ面しか伝えられないという状況にある。

記者会見という古くからの手段がダメでも、SNS利用などの新しい手法が上手なら、何とかなるが、それもおぼつかないLPGA。“シブコ(渋野日向子)バブル”で女子プロ人気が沸騰している今やらなくて、いつするのか。他力本願では、すぐに飽きられる。人気の今こそ、見てくれる人を増やし、それを長く応援してくれる本当のファンに“育てる”絶好のチャンス。間口を最大限に広げられるときに、それを自ら狭めてしまっているようではお話にならない。会見のたびにその効果を最小限にしているとしか思えない対応に、将来への不安が募る。(文・小川淳子)

<ゴルフ情報ALBA.Net>