ウッド型UTを使う人が多いからこそ知りたい アイアン型UTが合うのはこんな人【女子プロから学ぶセッティングのスパイス】

ウッド型UTを使う人が多いからこそ知りたい アイアン型UTが合うのはこんな人【女子プロから学ぶセッティングのスパイス】

吉田弓美子のようにアイアン型UTのほうが合う人とは?(撮影:上山敬太)

アマチュアゴルファーは女子プロのスイングを参考にした方が良いと言われている。なぜなら女子プロの平均的なヘッドスピードは、一般的な男子アマの平均値と同じ40m/s程度だからだ。


だが、本当に参考できるのはスイングだけだろうか。女子プロたちも我々アマチュアと同じように「球が上がらない」、「スピンがかかりすぎてしまう」といった多種多様の悩みを抱えていて、それを矯正しているのは、スイングだけでなく14本のクラブたちなのである。

そこで、女子プロたちがクラブセッティングにしている、ちょっとした工夫=スパイスをピックアップ。クラブ選びの参考にしてきたい。今回は吉田弓美子のユーティリティ(UT)。

吉田といえばアイアンの切れ味が売りのショットメーカー。打ち分けも得意で、ライン出しの正確性などクラブさばきも随一だ。

その吉田のセッティングを見てみると、UTが2本入っているのだが、両方ともアイアン型(ダンロップの『スリクソン Z U85』3番、4番)。今やほとんどの女子プロに入っているウッド型のUTが一本も入っていない。これまで幾度となく吉田のクラブを調整してきたダンロップのクラフトマンである松栄圭一郎氏は吉田がアイアン型を使う理由をこう説明する。

「ウッド型のも試してもらったこともありますが、吉田プロは元々球が高いこともあってウッド型だと球が上がりすぎてしまうんです。7番アイアンくらいの高さまで上がってしまうこともありました。吉田プロはアイアンが5番から入っているので、その流れもありますね。ただ、アイアン型UTでスチールシャフトだときついので、シャフトはカーボンにして調整しています。また、吉田プロはハーフショットなどの技術も高いので、多少4番と5番で距離の差があいていてもうまく対応してくださっています。そのあたりの打ち分けという意味でもアイアン型のほうが合っているように感じます」(松栄氏)

女子ツアーだけでなく、アマチュアにもやさしいウッド型UT全盛期だからこそ知っておきたいアイアン型UTのメリット、デメリット。プロコーチ&クラブフィッターの筒康博氏が、吉田のスイングを解説しつつ、ウッド型が合う人とアイアン型が合う人、それぞれの特徴を話してくれた。

そもそもどのようにUTというクラブは生まれたのか。筒氏は「歴史を調べたところ、1974年にスタントンプソンというメーカーから『GETTY』というショートウッドが輸入開始され、1978年に発刊された『ゴルフ用品総合カタログ』で【有益で役に立つ】を意味するユーティリティと明記されたのが始まりです。つまり、最初のUTは『ウッド型』だった事になります」と説明する。

一方のアイアン型はというと、「1987年にインツ(のちのPRGR)から発売された複合ヘッドアイアン『インテストLX』のロングアイアンが【タラコ】の愛称で爆発的な人気になったのが始まり。実はこのモデル、アイアンセットとして発売された中の単品クラブでした」(筒氏)とウッド型よりもかなり遅い発祥だ。

UTは、ショートウッドやロングアイアンなどの長い距離を打つセカンドショットクラブを複合素材や形状の工夫でいかにやさしく打てるようにするかが考えられ、登場した当時からさまざまな工夫がされていた。そんな成り立ちから、ウッド型とアイアン型かに派生していった。

「ウッド型には【バルヂ】【ロール】と呼ばれる丸みがフェース面にあります。一方アイアン型はフェース面はフラット。実際にショットした場合に直線的にボールを打ち出せるアイアン型か、打点によって打ち出し角や方向が変わるウッド型かに分けることができます。そこに対してスイングが合うか、また好みになってくると思います」(筒氏)

これらを踏まえた上で、吉田の話に戻る。

「吉田プロのドライバーショットを見ると、やや低めのティアップながら綺麗にボールだけを捉えてショットしています。フェース下部でボールを拾う感覚が強いという見方を僕はしています。もちろん高めのトップから縦にクラブを振ってインパクトしていますが、インパクト以降のクラブヘッドを見るとロフトがついたままフェースの開閉を少なめに振り抜いていることがわかります。つまり、打ち出し角やスピン量を自分でつくれるタイプなので、UTに求めるものは直進性と弾道の強さを主とした打ちやすさと寛容性を得ているということになります。だからこそアイアン型が合います。

吉田プロのように『打ち出し角やスピン量を自分でつくれる』までいかなくとも、『インパクトロフトがつきすぎてスピン量が増えすぎる』タイプのゴルファーにはアイアン型のUTが合う可能性は高いです」

ロングアイアンの代わりとしても“アリ”だ。「楽に飛ばせる要素としてはアイアンに比べてアイアン型UTはヘッド重量が軽くなっています。大きくて安心感がある上に長くしたり軽くしたりクラブとしての自由度が高いのがアイアン型UTの最大のメリットです。実際にアイアンからアイアン型UTに変える場合は軽いシャフトで、若干セットのアイアンより長くすると更に合いやすくなります」と筒氏がバッグインの際のスパイスを解説する。

ただし、アイアン型UTを入れる場合、注意したいのが『アイアンとの流れ』である。「とはいえ、もともと使っているアイアンセットが気にいっていることがうまくセッティングできるコツです。飛び系アイアンなど最新アイアンは飛距離性能がUTに近づいているものが人気です。もし何年もアイアンを買い替えていない方は、新しいアイアン探しとトータルでのセッティングも一緒に考えて試打を行なってください」。自分の使用しているアイアンと、距離の差ができすぎないようにするのがセッティングのコツだ。

解説・筒康博(つつ・やすひろ)/プロコーチ・フィッター・クラフトマンとして8万人以上のアドバイス経験を生かし、現在は最先端ギア研究所『PCMラボ』総合コーチ、インドアゴルフレンジKzヘッドティーチャーを務める。ALBA本誌ギア総研をはじめ様々なメディアでも活躍している。


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