渋野日向子フィーバーだからこそ、観戦マナーも啓蒙を!【記者の目】

渋野日向子フィーバーだからこそ、観戦マナーも啓蒙を!【記者の目】

ギャラリーが楽しく応援できる啓蒙を!(撮影:岩本芳弘)

ゴルフの観戦はある種、難しい。プレー中は音を出してはいけないし、携帯電話で話すのは論外。ほとんどの携帯にカメラが付き、スマートフォンが普及しているこのご時世であっても、日本のスマホはシャッター音がでるため撮影は基本的に禁止だ。


ゴルフを知っている人からすれば当たり前のことだが、他の競技しか知らない人からすれば異様に思うかもしれない。プロ野球を例にとれば応援歌は鳴り響いているし、撮影はおろか、フラッシュもたき放題。プレー中にはヤジだって飛んだりと全く異なる。どっちがいいか悪いかではなく、競技としての違いといえる。

なぜ、そんなことを感じたかといえば、渋野日向子の「全英AIG女子オープン」優勝以降、初めてゴルフトーナメントを観に来たであろうギャラリーが増えたように思えるからだ。

鈴木愛が初日を終えた後に言った。

「多くのギャラリーが渋野さんを見に来ているのも分かるし、渋野さんがホールを終えたら(自分たちのプレーが残っていても)移動するのも分かります。そこは気になりません。ですが、もし良ければ(同組の)私たちがいいショットを打ったときにも、もう少し拍手をしてもらえたらうれしいです」。

その後、大会が進むにつれて渋野だけでなく、多くの選手への声援も増えていき、優勝スピーチでは「たくさんの方が、“愛ちゃん頑張って”と声をかけてくださった。声援が力になりました」とギャラリーに感謝を述べた。

初日は渋野以外への声援が少なかった。それは筆者も見ていて感じたことだ。同組の鈴木、比嘉真美子がいいショットを打っても、長いパットを入れても、ゼロではないが拍手は多くない。遠くから見ていたら、お先のバーディを決めたにもかかわらず、歓声が少なかったため、「あれ?パーかな?1打見落としたかな?」と思ったほどだ。

だが、それも観戦に慣れていない人たちだと考えたら、仕方がないことといえる。「いいショットを打ったら誰でも拍手する」ということを知らないし、もっといえば、静かにしていろといわれていたから黙っていたのかもしれない。

プレーの妨げになるようなことに関しては、当然多くの注意喚起がされている。組に付いているボランティアに加えて、多くのギャラリーが予想される組にはギャラリー整理のアルバイトが増員されて、プレー中の携帯電話での会話などを注意している。ティイングエリアでもスタートのたびに、マナーについてアナウンスしている。また、組み合わせやコース図が書かれたギャラリー用のシートには観戦にあたっての注意事項も載っている。

迷惑行為でなければ、いいプレーをしたら拍手をしてもいいし、バーディを獲れば「ナイスバーディ!」と声をかけてもいい。打ってから次の地点に歩いているあいだには、声援を送ったっていい。そういった記述やアナウンスは少ない。もちろん、そういったことは強制することではないし、やりたくなければやる必要がないこと。でも、もしやりたいとしても「やり方が分からない」、声援を送りたくても「送り方が分からない」というギャラリーがいたら、それはもったいないことだ。

「頑張ってください!」と声をかけて、選手がニコッと笑顔を返してくれればうれしいもの。それが「あの子をこれから応援しよう」というきっかけになるかもしれない。もっといえば「また試合を観に行こう」となるかもしれない。

選手だって声援が力になる。渋野だって全英で「ナイスショットしても、最初はなんも反応なくてつまらんかった」と話していた。試合が進むにつれ、異国のギャラリーは渋野の魅力を知り、ついには会場全体を味方につけてしまった。最終日の最終ホールでは大歓声と拍手を独り占め。あそこまで盛り上げられる渋野の才能は素晴らしいという他ないが、選手だって応援されるほうがいいに決まっている。

悪いマナーばかりに目がいってしまうが、迷惑にならず、“やってもいい”応援マナーを推奨することもまた大事。選手もギャラリーも気持ち良く。観客動員が増えている今だからこそ、考えていくべき課題だと感じた。(文・秋田義和)

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