今週開幕、今季米ツアーに求められる「高度な要求」【舩越園子コラム】

今週開幕、今季米ツアーに求められる「高度な要求」【舩越園子コラム】

極端なスロープレーで物議をかもすブライソン・デシャンボー(撮影:GettyImages)

米ツアーは早くも今週から2019-20年の新シーズンが開幕するのだが、今季も米ツアーは「チェンジ」に富んだ1年となる。


開幕第1戦となる「ミリタリー・トリビュート・アット・ザ・グリーンブライアー」は、今季から開催時期が従来の7月から9月へ変更された。開幕第5戦の「ヒューストン・オープン」も、従来はマスターズ前週に開催されて「オーガスタへの最後の切符をつかむのは誰か?」という注目を集めていたが、今季からは秋の開幕シリーズ。大会の位置付けや意味合い、出場選手の顔ぶれも様変わりする。

そして、開幕第7戦として日本で初開催されるのが「ZOZO Championship」だ。タイガー・ウッズ(米国)をはじめ、ローリー・マキロイ(北アイルランド)、ジェイソン・デイ(オーストラリア)など米ツアーの強豪選手たちのプレーを間近に眺める10月下旬を日本のファンは心待ちにしている。

さらに、その翌週には「バミューダ選手権」が新設されている。

伝統ある大会の開催時期が変更されたり、新たな大会が創設されたり。そうした変化が見られることは、米ツアーがいまなお成長と発展を続けている証だ。

今週の第1戦から見られる大きな「チェンジ」は、予選カットが従来の「70位タイまで」から「65位タイまで」に繰り上げられること。予選を通ること自体は、これまでより厳しくなるが、決勝を戦う人数が減るぶん、決勝進出した選手たちが手にする賞金額はこれまでより高くなる計算になる。

タイガー・ウッズ財団が大会をサポートする2月の「ジェネシス・オープン」は「ジェネシス招待」となり出場人数が144人から120人へ、バミューダ選手権のようなビッグ大会と同週開催の大会は132人から120人へ減らされるなど、米ツアー大会のフィールド・サイズは縮小傾向にある。

その最大の理由はスロープレー対策だ。スロープレーはゴルフ界の長年の懸案だが、とりわけ昨季はブライソン・デシャンボーやJ・B・ホームズ(ともに米国)のスロープレーに大勢の選手たちが激しい批判の声を挙げ、騒動と化した。

そのため米ツアーは、大会そのものや土日の決勝2日間を少数精鋭型へ変えることでプレーの進行を早めることができ、スロープレー撲滅につながるはずと考えたのだ。

毎週、大会開幕前に抜き打ちで行なわれることになったドライバーの反発係数テストも、今季から始まる「チェンジ」の1つだ。数人の選手のゴルフバッグからドライバーを直接抜き取り、老朽化やスプリング効果をチェックして、規定内か否かを「緑」「黄色」「赤」の3色で判定するというものだ。

問題なしの「緑」、要注意の「黄色」はドライバーが選手へ返却されるが、規定違反の「赤」と判定されたドライバーは、そのまま没収される。

そんな強い規定がつくられた背景には、今年の「全英オープン」でザンダー・シャウフェレ(米国)のドライバーがR&Aによるテストで「規定違反」に問われ、シャウフェレがテスト方法に猛抗議した、あの騒動があった。

「僕のドライバーが本当に規定に対して不適合なら、もちろん僕はそれを使うことを止めるけど、(この大会に出ている)他選手の中に、同じ(ように不適合な)ドライバーを使っている人がいるかもしれないわけで、それはアンフェアだ」

選手が上げた「声」がR&AやUSGA、ひいては米ツアーを動かすケースが最近は増えつつある。ドライバーの新しいテスト方法は、まさにその典型例。そして、スロープレー対策のためのフィールド縮小も、昨季の選手たちの「声」が反映されたものと言っていい。

選手の意見や意向を重んじ、必要とあれば、その内容をツアーの意思決定に反映しているところは、とてもオープンであり、民主主義的であり、「さすがアメリカ」である。

だが、その一方で、米ツアーやR&A、USGAには、それなりの威厳を保ち、選手たちの統制を担う役割も期待されている。さらに言えば、選手たちが好き放題を口にしたり、わがままな言動が目立ったりすれば、ジュニアやアマチュアへの悪い手本になりかねず、イメージダウンにつながる可能性もある。

そのあたりのバランスをどう保っていくべきか。そんな「高度な要求」が今季の米ツアーの課題になりそうだ。

文 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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