日本語ができないと日本女子プロ選手権のニュースが見られない…【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

日本語ができないと日本女子プロ選手権のニュースが見られない…【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

海外への配信を考えてもいい頃か?(撮影:岩本芳弘)

「ソルハイムカップ」と「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」。同週開催となった女子ゴルフの2つのビッグイベントへの世界の注目度の違いをじっくりとみていこうと思う。


日本女子プロゴルフ協会(LPGA)のフラッグシップイベント、日本女子プロ選手権の舞台は、兵庫県のチェリーヒルズGC。渋野日向子が「全英AIG女子オープン」で優勝してから初めての公式戦であり、初めての関西での大会となる。渋野が岡山県出身という事情もあり、関西のゴルフファンが集結することが予想される。前売券4万8000枚が完売したのも史上初めてのこと。ただし、これは渋野が全英に勝つ前の段階で売り切れていたというから「販売数は公表できない」(LPGA)という当日券目当てのギャラリーがさらに集まる大人気イベントになることは間違いない。それほど、日本国内では注目されるイベントとなっている。

一方、欧州VS米国の名誉を賭けたチーム戦、ソルハイムカップはどうか。男子の「ライダーカップ」を模したゲーム方式の女子の大会も歴史を重ね、16回目の開催となる。女子ゴルフの世界では、韓国、タイ、日本のアジア勢や豪州、ニュージーランドなどの選手が強い傾向にある昨今だが、それでも欧米のゴルフファンは大会を心待ちにしている。

元々、欧米の女子ゴルフ人気はそれほど高くない。というか、男子より女子ツアーのほうが人気が高いという日本の状況のほうが珍しい。だが、そんな状況を考えても、やはりトッププレーヤーが集結するチーム戦とあって、日頃とは違う興奮度がある。

全く違う種類のイベント2つを単純に比較するのは難しいが、LPGA小林浩美会長が言うように「アジアNo.1の女子ツアー」を目指すのであれば、少なくとも日本国内だけで盛り上がっている場合ではないということだけはいえる。試しに「日本女子プロゴルフ選手権」ではなく「LPGA Championship」でネット検索をかけてみる。残念ながら英語では日本女子プロの記事はまったくといっていいほど出てこない。元々、全米女子プロゴルフ選手権(LPGA Championship)と呼ばれていた大会が、今ではPGAオブアメリカの試合となり「KPMG女子PGA選手権」の名で6月に行われたのだが、出てくるのはこちらの記事ばかりだ。

日本女子プロゴルフ選手権がニュースに乗って来ない理由は、英語での発信がまったくといっていいほどないからに他ならない。以前にも書いたが、大会オフィシャルサイトに英語のページはあるものの、大会概要とペアリング、成績などだけ。大会2日前の今になっても、ニュースが掲載される様子はない。渋野の全英優勝で興味を持った人間がいたとしても、これではとりあげようがないだろう。メディアでも、SNSで発信力のあるゴルフファンでも同じことだ。

欧米人は言語の問題がないから、などといっている場合ではない。世界中のニュースがいながらに見られるネット社会になって久しく、韓国、中国、タイなどの女子プロゴルフ協会は、情報量の差こそあれ、いずれも母国語ではない英語での発信をきちんと行っている。これをしないLPGAの“井の中の蛙”ぶりには、時代感覚の大きなずれを感じる。意識してなくとも、人気にアグラをかいた驕りとも考えられる。

大会が終わった時、英語のニュースサイトにソルハイムカップの記事はたくさんあるだろうが、日本女子プロの記事が果たしてどれだけ載るだろうか。ゴルフ好きのファンのSNSに、英語でどれほど書いてもらえるのか。「世界に通用する選手を育てる」(小林会長)といい続けているのは素晴らしいが、それを発信する努力をしないのは怠慢のそしりを免れない。スタッフが足りないのなら雇うなり、アウトソーシングするなりするのは当然。選手たちはもっと、声を上げてもいいのではないか。(文・小川淳子)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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