渋野日向子が明かした“葛藤” 乗り越えつつある「ゴルフを楽しめていない」気持ち

渋野日向子が明かした“葛藤” 乗り越えつつある「ゴルフを楽しめていない」気持ち

まだまだ20歳のルーキー 渋野日向子に笑顔が戻った!(撮影:村上航)

<デサントレディース東海クラシック 最終日◇22日◇新南愛知カントリークラブ 美浜コース(愛知県)◇6437ヤード・パー72>

最終日に8バーディを奪った渋野日向子が、2日目終了時に8打差をつけられていた申ジエ(韓国)らを破り優勝。ツアー歴代2位タイの逆転記録となったこの大逆転劇は、“葛藤”を乗り越えてのものだった。


5月の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」、7月の「資生堂 アネッサ レディス」に続く今季国内ツアー3勝目。8月には海外女子メジャー「全英AIG女子オープン」を制する大偉業を成し遂げた渋野が、昨年プロテストに合格したルーキーというのは、どこか信じられない話だ。激動のツアー本格参戦1年目を戦っている真っ最中の20歳は、この日の優勝インタビューで「ここ1カ月間、葛藤がありました」という心境を明かしていた。

「今年レギュラーツアーに出だして、はじめの頃は『試合に出られるのがうれしい』という気持ちでゴルフを頑張ることができました」

今季序盤を渋野はこう振り返った。昨年末に受けたファイナルQTでは40位に終わり、今季のフル出場権を持たずにシーズンが幕を開けた。開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」には出場できず、初出場を果たしたのは続く「ヨコハマタイヤゴルフトーナメントPRGRレディス」だった。しかも、ウェイティングからの出場。これが渋野が置かれていた立場だった。

それからわずか2カ月後にメジャー大会でツアー初優勝。さらに6月の「アース・モンダミンカップ」終了時の賞金ランキングの結果、全英の出場権を“滑り込み”でつかんだ。その次の試合となった資生堂で2勝目を挙げると、そこから約1カ月で海外メジャー制覇。これで一躍“時の人”となった。

「今では当たり前のように試合に出させてもらえていますが、そのなかでうまくいかない時とかに、これまで以上に感情が出てしまっていました。なかなかゴルフを楽しめていませんでしたね」

“フィーバー”の主役となり、注目度は今までとは比べ物にならないものになった。「認知度が上がって、ギャラリーの数も違いますし、メディアの露出も『まだ(メディアに)出てるんだな』って思います。そのなかで結果に対しての変化もありました」。先週までは『連続オーバーパーなし記録更新』も大きな注目ごとになった。「自分のなかでプレッシャーをかけていた部分もあったのかもしれません」。こういった変化が、ゴルフを楽しむ心境を変えていった。

それが「吹っ切れた」のが、「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」2日目以降のことだったという。国内女子ツアー歴代1位を打ち立てたオーバーパーなし記録が29ラウンドで途絶えたことがきっかけだ。さらに、今週初日には同い年の原英莉花、新垣比菜と同組でラウンド。「初日にも話しましたが、本当にメンバーに恵まれた1日で、これが大きかったですね」。周りから見ても和気あいあいのラウンドをしていたその日には、「久しぶりにゴルフを楽しめました」とも口にしていた。

「今週で(葛藤は)晴れたかもしれないですね。まだ(全英優勝から)1カ月くらいしか経っていないので、ここからもいろいろ経験することがある。それを次に生かせるように、しっかり勉強していきたいです」

最終日も8442人が詰めかけるなど、今週も会場には3日間で約2万5000人が集まった。「期待されることは、やりがいに感じます。結果を出すことで、よろこんでくれる人が多いというのは恵まれた環境。今日はプレッシャーにもならずに、楽しんで、しっかりと周りを見渡せていたなと思います」。多くのギャラリーを引き連れてプレーできる幸せをかみしめている。渋野に“本当の笑顔”が戻った1週間となった。(文・間宮輝憲)

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