2勝目は初Vより絶景なり 柏原明日架、6打差逆転の裏に甘えを捨てさせた父の言葉

2勝目は初Vより絶景なり 柏原明日架、6打差逆転の裏に甘えを捨てさせた父の言葉

優勝者のみが知る“絶景” 柏原明日架が待望の2勝目を挙げた(撮影:鈴木祥)

<NOBUTA GROUP マスターズGCレディース 最終日◇27日◇マスターズゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6510ヤード・パー72>

初優勝から1カ月。あっさり2勝目を挙げたようで、その実、柏原明日架は苦しんでいた。「苦しい時間が続いていました。1カ月で済んで良かった」。6打差を逆転した優勝会見の冒頭に、そう言って笑った。


プロ6年目でようやくつかんだ初優勝。その味が美味だったからこそ深い沼にハマっていった。「優勝した景色をもう一度見たい。あの景色を見たからこそ勝てないと余計に悔しい。そんな結果を出したい気持ちがさらに出て、体の調子を無視してトライをし続けてしまっていました」。疲れもとれず成績も下降していく。

そんな苦しい時期でも、もがくことができたのは周りの声が大きかった。「6年かかったのもあって、自分がうれしかったという以上に周りの声が大きかった。厳しい声も含めて、いい意味でそういった方々が話してくれることで、自分がぼやけずにすんだ。ストイックに取り組めました」。心が折れそうなときでも、周囲が盛り上げてくれた。

その筆頭がコーチでもある父・武道さんだった。「仕事で忙しいのは分かりますが……どうしても見てもらいたいと思って今週来てもらいました」と火曜日に急きょ来てもらい練習ラウンド。水曜日の朝に練習を見てからとんぼ返りという強行スケジュールで来た父は「状態はいい、あとは気持ちだけ」というコーチらしい言葉と態度で娘にアドバイスを送った。

「優勝してから会うのは初めてだったのですが、全然初優勝に触れてこなくて。私が“それ以来だね”って言うまで何も言ってきませんでした。ちょっとは褒めてもらえるかと思っていましたから……。でもそれは“まだまだだぞ”という激励だと思いました。それくらい期待してくれているということ。だからこそ私も見返したいという思いが芽生えましたし、自分の甘い考えを取っ払ってくれました」

状態の良さを認めてくれた言葉と見返したい気持ちを胸に最後まで戦った。「きょうは初優勝したときよりも自信を持ってゲームを進めていけた」。15番でトップのイ・ボミ(韓国)に並んだときも、「(後ろの組の)ボミさんも15番でバーディを獲ってくる。絶対あと1つ獲らないと」と強い気持ちで「毎年苦労していた」という17番パー3で2mにつけてバーディを奪取。最後の18番でも「すごくいいショットが打てた」と最後まで崩れることはなかった。

初優勝よりも待ち望んだ2勝目。そこからの眺めは仙台よりも絶景だった。「18番グリーン、そして表彰式で見えた景色は初めてのときよりもいい景色でした」。だからこそ次がまた欲しくなる。「これからTOTOもありますし、地元でやる最終戦といった大きい大会がまだまだあります。3勝目、4勝目とできるようにここからまた頑張りたいです」。さらなる絶景を求めて。23歳は勝利を挙げるごとに強くなる。(文・秋田義和)

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