米ツアー選手は習志野に何を感じた? ベテラン米記者が感じた“美しきニッポン”と今後の課題【記者の目】

米ツアー選手は習志野に何を感じた? ベテラン米記者が感じた“美しきニッポン”と今後の課題【記者の目】

日曜には2万人を超える大ギャラリーが会場を訪れた(撮影:佐々木啓)

日本初の米国男子ツアー「ZOZO Championship」は、台風21号の接近により大打撃を受けながら、無事に72ホールを完走。ただでさえ普段とは違う大会進行のなかで、コース整備や大会運営など、相当な苦労があったはずだ。


国内男子ツアーは共催大会という形で名を連ねるが、実態は全て米ツアー側の仕切り。コースセッティングや、ホスピタリティ、インタビュー、全てが米ツアー仕切りのため、戸惑いもあったことだろう。そんななかでの“5日間大会”。関係者の奮闘はすばらしかったと思う。

タイガー・ウッズ(米国)が米ツアー最多勝の82勝に並ぶという記念すべき大会となったが、日本のエース松山英樹の追い上げも見事。これ以上ない展開に日本のゴルフファンも酔いしれたことだろう。コースの一部が水没し、140ヤードパー4が生まれ、安全面を考慮し3日目が無観客試合となるなど、苦渋の決断を迫られた部分はあったが、大成功に終わったといっていいのではないか。

今回は初の日本開催ということで、大きな注目が集まった。それは日本に限らず。海外メディアもこの大会には注目していた。USA TODAYのスティーブ・ディメグリオ氏もそのひとり。「すばらしい大会。お世辞抜きに米本土以外の海外試合のなかでもトップクラス」と話した。

「今回は来日自体がはじめてでしたが、まず日本のキレイさに驚きました。コース内もそうですが、街もキレイで本当に過ごしやすい。成田という場所もまったく不自由なく、東京にも近いとあって、選手にも好評でした」

米国内のツアー取材経験豊富なディメグリオ氏は、今大会のコースも絶賛。「日本らしい美しさがあった。大会前には距離が短いといったこともいわれていたようだが、長いパー4と短いパー4がうまくミックスされて変化に富んでいることが、まさに戦略性。選手もおもしろいコースだと話していました」と、好評だったという。

「天候の影響があったのは残念ですが、欲をいえば、もっとコースが硬ければ、もっとおもしろいと話していた選手もいました。今回は雨の影響でコースがとてもウェットだったので、ビッグスコアが出ましたが、乾いた状態でグリーンも硬く締まっていたら、もっとショットの精度が問われる。総合力の勝負になったと思います」

ウッズは日本の芝について、フライヤーの計算が難しいと話していたが、それだけではない、米ツアー選手の攻め方にも注目が集まった今大会。「木々でセパレートされて本当に美しいコース。ダブルグリーンは見たことがないけど、理にかなっている。とてもおもしろいコースだし、また来年も戻ってきたい」と、ツアールーキーのコリン・モリカワ(米国)もコースには好印象だった。

ディメグリオ氏によると、「コースや周辺の環境はなんの問題もないし、日本は親切な国。今回来ることができて良かった」としたが、「ひとつだけ」と前置きした上で、課題を挙げた。「これだけのイベントを始めて開催したので、大変だったとは思いますが、コース近辺の渋滞がひどかった。私はオフィシャルホテルからシャトルでの送迎でしたが、コースのすぐ近くに来てからバスが動かなくなった。同乗していたキャディは、時間に間に合わないからと、途中で降りて、コースまで走って行きました」と、輸送面でのトラブルを明かした。

今大会は全て前売券制。初の米ツアーで関係者も通常の何倍にも膨れ上がり、確かにコース近辺は混乱した。ギャラリーバスの乗降駅は長蛇の列で数時間待ちは当たり前。加えて、車での来場者が近隣にできた無許可の臨時駐車場などを使うため、大渋滞を引き起こしたのも事実。「ただこれは、改善事項として来年に向けて良くなれば」とディメグリオ氏も期待を寄せた。

「また来年戻ってきたい」と話したウッズ。日本のエースも当然出場することになるだろう。世界中から注目が集まったビッグイベントは、天候不順、初開催というプレッシャーの下で、コースをはじめ、多くの人のチカラで第1回を乗り切った。そして、今回の経験が、来年以降の大会をさらにすばらしいニッポン大会へと導くことになる。(文・高桑均)

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