シーズン終盤で見せた24歳・阿久津未来也の健闘 5試合ぶりの予選通過で得たものは?【記者の目】

シーズン終盤で見せた24歳・阿久津未来也の健闘 5試合ぶりの予選通過で得たものは?【記者の目】

期待の若手・阿久津未来也 レギュラーツアーの舞台で日々その歩みを進めている(撮影:村上航)

「マイナビABCチャンピオンシップ」では結果的に25位タイに終わったものの、3日目を終えた時点では6位タイと上位をキープしていた阿久津未来也。自己最高位となる18年「日本プロ」での6位タイを更新できなかったが、今季は15位以内が3回あるなど着実に力をつけてきたことを証明した。その要因を男子下部にあたるAbemaTVツアーでの経験にあると阿久津は分析する。


「自分にとってのウィークポイントはビッグスコアを出せないことなんです。1日4アンダーを出すのが精一杯で、トーナメントで7アンダーや8アンダーを出したことってまずありません」

身長180センチと大柄なプレーヤーだけに、飛距離を武器にするのかと思いきや、ドライビングディスタンスを見ると、273.02ヤードで97位と順位的には高くない。その一方でフェアウェイキープ率では62.13パーセントで3位タイと上位にいる。優勝スコアが6アンダーという昨年の日本プロがそうであったように、バーディ合戦よりも我慢大会のほうが力を発揮できるタイプなのだ。

しかし、今回のマイナビABCチャンピオンシップは最終的に優勝スコアが19アンダーになったようにバーディ合戦だった。阿久津は3日目を終えて11アンダー。初日から「68」、「69」、「68」と連日60台をマークしていたが、来季のシード権を獲得するには、ビッグスコアを出すしかない。苦手のバーディ合戦にどう対処するのか聞くと、「自信は少しあるんです。実は、今年のAbemaTVツアーで『63』、『64』といったスコアを出しているんですよ。先週も『62』を出しましたから」と笑顔を見せる。

それが自信になっているらしいが、正直、レギュラーツアーとのレベルの差は否めない。選手層の厚さやコースセッティングの難しさはレギュラーツアーのほうが上だろう。そんなに甘くはないと思っていると、その雰囲気を察知したのか、阿久津が続けた。「選手が持つ力の差自体はそれほど大きくないと思います」。

確かに、17年にAbemaTVツアーで賞金王となった大槻智春は今年のレギュラーツアーで優勝しているし、昨年の賞金王である佐藤太平も来季の賞金シードをほぼ確定させている。マイナビABCチャンピオンシップのマンデートーナメントでもAbemaTVツアーで賞金ランキングの上位に入った選手が通過していた。3日間大会も増えているし、数年前よりもレベルが上がっているのかもしれない。だとしたら、阿久津には失礼な対応をしてしまった。

結果的に阿久津は「74」とスコアを崩し、シード権獲得どころか、翌週の出場権を得られる10位以内にも食い込めなかった。「やっぱり、アプローチの引き出しが自分には少ないと思いました。AbemaTVツアーでは52度と54度のウェッジを使って転がしていましたが、レギュラーツアーでは58度のウェッジで転がしつつ、上げるアプローチも身に着けなければいけません」。

阿久津にとって最終日は苦い一日となったが、収獲の大きい一週間であったことは間違いない。練習ラウンドでは日大の大先輩である片山晋呉と回り、技術的なことはもちろん、コースの攻め方や考え方などを教わった。大会が始まれば、同組の選手から何かを盗もうと目を凝らした。気になることがあれば、どのように打っているのか直接聞いたりもした。あとはそれを自分のゴルフに生かしていくだけだ。

残り試合で出場できるのは、「カシオワールドオープン」ぐらいしかないが、たとえそこで賞金シードを獲得できなくても、AbemaTVツアーで賞金ランキング9位に入っているので、来季前半戦の「ダンロップスリクソン福島オープン」までの出場権は得ている。

「できれば、ツアー開幕戦のSMBCシンガポールオープンに出場したいんですよ。セルヒオ・ガルシアやポール・ケーシー、デービス・ラブIIIといった世界のトッププレーヤーが出場しますからね。そのためには、賞金シードを獲らないと……」

仮に出場できれば、24歳の阿久津にとってすべてが勉強になるし、大きく成長するうえでの肥しとなるだろう。線の細さが気になるところではあるが、ツアーを盛り上げるためには若手の台頭は欠かせない。今大会で得た経験を、次のステップへとぜひ生かしてほしいし、そういう若手が次々に出てくるような方法をゴルフ界全体がもう一度考えるべきではないだろうか。(文・山西英希)

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