これぞ王者のメンタリティ 「橋を渡る」タイガー・ウッズ【舩越園子コラム】

これぞ王者のメンタリティ 「橋を渡る」タイガー・ウッズ【舩越園子コラム】

主将タイガー・ウッズはどんなプレーを見せてくれるのか(撮影:岩本芳弘)

米国チームと世界選抜チームの対抗戦、プレジデンツカップは12月にオーストラリアで開催される。両チームともランキングに基づく自力出場の各々8名は8月に確定し、残る各々4名のキャプテン推薦枠の行方が注目されていた。


そして先日、そのキャプテン推薦が発表されたのだが、タイガー・ウッズの強靭なメンタリティに、あらためて驚かされた。

世界選抜のキャプテン、アーニー・エルスがジェイソン・デイ、アダム・ハドウィン、ホアキン・ニーマン、イム・ソンジェの4名を指名。その翌日の7日、米国キャプテンのウッズが注目の4名の名を挙げた。

ウッズが指名したのは、マスターズ覇者のパトリック・リード、全米オープン覇者のゲーリー・ウッドランド、メジャー未勝利ながら勢いのあるトニー・フィナウ、そしてZOZOチャンピオンシップを制してツアー通算82勝目を挙げたばかりのウッズ自身だった。

キャプテンを務めながら選手としてもプレーする「プレイング・キャプテン」は、同大会では1994年のへール・アーウィン以来となるのだが、ウッズのゴルフの調子がとてもいい状態にあることは習志野で実証されたばかりゆえ、ウッズ自身が戦えば、大きな戦力になるであろうと誰もが頷ける。

だが、ウッズ本人にしてみれば、「自薦」を決意する段階で悩みの種は多々あった。

というのも、今回はキャプテン推薦による米国チーム入りが期待されていた選手が10名前後と多かった。

自力出場枠にぎりぎりで漏れたリッキー・ファウラーは、実力も人気も高く、ウッズとは「親友」のような間柄だ。ウッズが指名する筆頭はファウラーだろうと噂されていた。昨季好調だったケビン・キズナ―、今季絶好調のケビン・ナ、メジャー4勝のジョーダン・スピースも調子が上がりつつあり、ウッズがその誰を選んでもおかしくはなかった。

プレジデンツカップ創設以来、全大会に連続出場してきたフィル・ミケルソンは「今、不調の僕より、今、勢いのある選手が出るべきだ」と出場意欲を示していなかったが、周囲の期待は相変わらず高かった。

ウッズは、こうした候補者たちに電話をかけ、「悪いけど僕はキミを選ばないよ」と告げた上でキャプテン推薦4名を発表した。

「選ばないよ」と告げることは、キャプテンの任務とはいえ、ツアー仲間や友人としては、とても辛いこと。だが、ウッズは彼らに「選ばないよ」と告げた上で、さらに自分自身を選ぶと決めたのだから、そんな決意ができるウッズのメンタリティがいかに強靭であるかが、あらためて伺える。

プレーヤーとしてチームの勝利に貢献できるかどうか、プレイング・キャプテンとして十分な働きと責務が果たせるかどうか。すべての責任を取る覚悟を固め、その覚悟は強固な自信に裏打ちされている。キャプテン推薦発表の際、ウッズの表情が厳しかったのは、それだけ気合いが入っていることの表れだったのだろう。

ウッズ・キャプテンの胸の中には、今なお大きな懸案事項がある。ブルックス・ケプカが10月半ばのCJカップの際に転倒し、8月に手術を受けたばかりの左膝などを痛めて、以後、戦線離脱している。プレジデンツカップでプレーできるかどうかは、まだわからない。無理となれば、ウッズ・キャプテンがもう1人、代わりの選手を選ぶことになる。

その候補者の筆頭は、ファウラーとなるのが順当だが、10月に結婚したファウラーはハネムーン後に食中毒に似た感染症を発症。予定していた今週のマヤコバ・ゴルフ・クラシック出場を取りやめたほどで、回復のスピードやタイミングは、現段階ではファウラー本人も首を傾げている。

次々に難題に直面するウッズ。だが、彼のメンタリティは強靭である。

「渡らなければならない橋は、渡るのみ!」

王者は、信じる道を突き進む。

文・舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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