目下3連勝中の目立つヤツ レディースパターはメンズモデルと何が違う?【女子プロから学ぶセッティングのスパイス】

目下3連勝中の目立つヤツ レディースパターはメンズモデルと何が違う?【女子プロから学ぶセッティングのスパイス】

とにかく目立つピンクです(撮影:鈴木祥)

一般アマチュアゴルファーは、同じ40m/s程度というヘッドスピードが近い理由で女子プロを参考にした方が良いと言われているが、参考にできるのはスイングだけではない。女子プロたちも我々アマチュアと同じように「球が上がらない」など多種多様の悩みを抱えていて、それを矯正しているのは、スイングだけでなく14本のクラブたちなのである。


そこで、女子プロたちがクラブセッティングにしている、ちょっとした工夫=スパイスをピックアップ。クラブ選びの参考にしてきたい。今回は3連勝中の鈴木愛のレディース向けのパター『G Le2 ECHO』について。

今一番女子ツアーで目立っているパターといえば、このPINGのピンクのパターだろう。名手・鈴木が「ニトリレディス」で投入すると即優勝、さらには「樋口久子 三菱電機レディス」から目下3連勝中。鈴木がこのパターを全日使用したトーナメントはトップ10率100%、勝率80%と圧倒的な数字をたたき出している。

ただし、鈴木が絶賛しているかといえばそうではなく、投入即優勝となった8月の「ニトリレディス」では「大きいヘッドは感覚が出ていないときに使うもの。あそこまで大きなヘッドは……、ここで使ったら終わりという感じ」。ピンク色の見た目も「かわいいけど、ちょっとプロっぽくない。それに恥ずかしい(笑)」と話し、3連勝の幕開けとなった「樋口久子 三菱電機レディス」のときには「ピン型に戻したい気持ちはあるけど、(G Le2 ECHOは)ヘッドが大きくてすごく安心感がある」と煮え切らないコメントも話題を呼んでいる。

とはいえ、これだけ勝利を挙げれば男性だって気になるもの。そもそもレディースのクラブは非力な女性でも使えるようにと設計されているのは分かるが、そこまで力を使わないパターでレディースモデルというのは普通のモデルと何が違うのか。そもそも男性のアマチュアでも使いこなせるものなのか。プロコーチ&クラブフィッターの筒康博氏に聞いてみた。

まず、そもそもの疑問としてこのパターはどの辺りが女性向けなのか。「皆さんがこのパターをご覧になった時の第一印象は、【女性が好みそうなカラーリング】という事ではないでしょうか?」と口を開いた筒。それだけではないんですよ、と言わんばかりに続ける。

「鈴木選手が使用している『G Le2』パターは、長さ調整機能もあるメンズモデルに負けない高い性能を持ったモデルです。ただし、この長さ調整できる範囲が31〜35インチとメンズモデルよりも短め。また、マレット型ヘッドにしては、ややメンズモデルよりヘッド重量を軽くしているので女性が使用してもちょうど良い重量感でスムースにストロークしやすい。そこも女性ユーザーを意識してのことだと思います」(筒)

重さと長さ。そこがレディース向けとなっている。逆に言えばこの『G Le2』は、ほかのドライバーやアイアンといったクラブ以上にメンズモデルとの差異は少ない。だからこそ、鈴木も使いこなせているのだという。

筒は「現在の鈴木プロの状況を想像すると、理想はピンタイプのブレードが使いたい。しかし、タフな戦いをする上でミスに対する寛容性の高さの面でセカンドパターとして『G Le2』が活躍しているのでは? とみています。マレットヘッドの寛容性を持ちながらも、エースパターと比べて重過ぎないヘッド重量がブレード感覚でストロークでき直進性を確保出来ているのでは?」と分析している。

ただし、このように違和感が少なく移行できるものばかりというワケではない。「女性向けの初心者向けのクラブセットに付属しているパターは軽すぎるモデルが多いです。日本人の平均的な女性の平均身長を考えると、市販されている34インチより短い33インチ仕様はおおむね賛成ですが、短い上に軽すぎるパターはロングパットで距離を合わせることが難しくなりやすいです」。もちろん各メーカーもこの状況を理解して様々な長さのバリエーションを出している。“そのままでOK”というわけではないので、その辺りは注意が必要だ。

それを踏まえて、「レディース向けだから……」「ピンク色はちょっと……」という方でなければ『G Le2』を男性が使用するのも全然ありだと筒はいう。

「鈴木選手のように、もともとブレード型パターを使っている人でミスに対するばらつきを減らしたい方や、マレットパターのやさしさは知っていてもヘッドの存在が強すぎるパターは苦手な人は、一度試してみるかセカンドパターとして所有するのは良いと思います。プロゴルファーの皆さんに聞くと、巷(ちまた)で言われているようなパターヘッドによってストロークを変える人は非常に少ない。距離感や方向性を補正するために、調子によって何本か種類の異なるパターを所有する賢い対策を持っている人が多いです。パッティングが上手くいかない理由を自分のせいだけにせず、ギアの助けを借りる事でストレスを軽減させていますからね」

5戦4勝。鈴木が使っているからこそなのだが、ボールがカップに吸い込まれるように見えるパター。一度打ってみる価値はありそうだ。

解説・筒康博(つつ・やすひろ)/プロコーチ・フィッター・クラフトマンとして8万人以上のアドバイス経験を生かし、現在は最先端ギア研究所『PCMラボ』総合コーチ、インドアゴルフレンジKzヘッドティーチャーを務める。ALBA本誌ギア総研をはじめ様々なメディアでも活躍している。

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