光が明るいほど影の暗さも目立つ―― 客観的視点の大切さ【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

光が明るいほど影の暗さも目立つ―― 客観的視点の大切さ【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

盛況の女子ツアー 今後の課題は?(撮影:村上航)

新星・渋野日向子の登場で、2019年日本女子ツアーは最後まで盛り上がりを見せた。ラストスパートで賞金女王となった鈴木愛、安定した実力の申ジエの力ももちろん大きいが、渋野には及ばない。「全英AIG女子オープン」でいきなり優勝して爆発的人気を集め、最終戦まで女王争いに顔を出した功績は、誰もが認めるところだろう。


一方で、シーズン終盤になって暴言騒動が勃発。ゴルフ場のバスタオルを出す出さないからのトラブルだったが、対応が後手後手に回った挙句、調査不足、説明不足の強引な幕引きに終わっている。

決して切り離すことのできない光と影のような出来事。光が強ければ強いほど、影の暗さが目立つのは、この世界に限ったことではない。

シーズン終了のタイミングでこの2つの事例を挙げたのには理由がある。選手個人も、LPGAを含めたゴルフ界の内部の人々も、もう少し自分たちの影響力の大きさを客観的に見たほうがいいのではないか。そう思う機会が多いからだ。

渋野に限っていえば、シーズン前の無名に近い状態から、プレー中以外の行動までが取りざたされ“顔バレ”も増えてきた現在との違いは、肌で感じているだろう。それでも、影響力は本人が思っている以上に大きいことを、くれぐれもわかっていて欲しい。渋野が食べた物に人気が集まったり、渋野のプレースタイルやマナーが子供たちを含めたゴルファーのお手本となる。

渋野以外の女子プロたちも同様だ。活躍すれば、様々なスポンサーがついたり、メディアに取り上げられる。自分だけでなく、渋野を身近で見ていればその自覚はあるだろう。だが、プレー中や取材を受けているとき以外はどうだろう? 試合会場でのホールアウト後の行動、マネージャーやメーカー担当者に対する対応、テレビカメラが回っていない時の態度。人気が出てくれば、公共交通機関での移動中や飲食店でも、見られている。昔と違い、SNS社会となった現在では、そこでの行動が書き込まれることも少なくない。その自覚がどこまであるだろうか。“影”の部分がクローズアップされるときは、選手個人でなく女子プロゴルファー全体に影響を与えることもある。そのことを、よくわかっていて欲しい。

ツアーはどうだろう。自分たちの都合のいいように影響力の大きさを推しはかってはいないだろうか。

影響力をはかるわかりやすいバロメーターがいくつかある。組織の長が変わるタイミングや選挙、理事の辞任などの注目度(1)。不祥事がどれほど表沙汰になるか(2)。他のスポーツのトップ交代や理事選などの報道と比較すれば、(1)の面で、ゴルフの注目度がさほど高くないことがわかるだろう。(2)についても同様で、彼らが思っているほど女子プロゴルフの影響力は大きくないということだ。

実は、組織上層部からこんなセリフが出ることがある。「いいことだけ書いてください」。素人であるプロの家族でさえ、物のわかった人は「悪かったらきちんと叱ってやってください」と言う。メディアの仕事には、そういう部分も多分に含まれるからだ。それがわかっていない。

臭いものにフタをするとどうなるか。中身がドロドロに腐って爆発する。自浄作用が必要なのはそのせいだ。その機会をみすみす逸するなど。客観的な見方に背を向ける愚の骨頂と言わざるを得ない。

次から次へと登場するニューヒロインに浮かれるのもいいが、その基盤をしっかりするのは、LPGAに課された大きな課題だ。JGTO(日本ゴルフツアー機構)のように、メンバーが毎年変わるツアー中心の組織ではなく、LPGAはツアーに出場していない者も含めたメンバー中心の組織。制度を変更し、QTからの単年登録もなくした今、その傾向はさらに強くなる。年々増えるツアーから離れる選手たちの今後について、ツアーに出場できないメンバーについても、メリットを考えなければ求心力は失われていく。

選手個人が考えることと、協会が考えることのレベルはまったく違う。だが、どちらも、客観的に自分を見る機会を積極的に持つこと。そのことによって変わるものが必ずあるはずだ。(文・小川淳子)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

関連記事(外部サイト)