「批判の嵐」リードとミケルソン、それぞれの処し方【舩越園子コラム】

「批判の嵐」リードとミケルソン、それぞれの処し方【舩越園子コラム】

どうしてもヒール役になってしまうリード(撮影:GettyImages)

プレジデンツカップ初日。米国チームのパトリック・リードが1番ティにやってくると、オーストラリアの大観衆は大声でヤジを飛ばした。「ヘイ、パトリック! ティでもライを改善するのか?」


激しいヤジに嘲笑と拍手。それは、国と大陸の名誉をかけて戦うプレジデンツカップという場で決して起こってほしくない光景だった。

もちろん、プレジデンツカップやライダーカップといった対抗戦において、ホーム側のギャラリーがアアウェー側の選手たちをヤジる光景はしばしば見られる。だが、リードに浴びせられたヤジは大会主旨とは無関係であり、そんなヤジが飛んだことは残念ではあったが、ヤジられても仕方がないほどの出来事をリード自身が起こしていたことが、もっと残念だった。

すでに前週にもお伝えたしたが、リードはバハマで開催されたヒーロー・ワールド・チャレンジの第3ラウンド途中、バンカー内で素振りをする際にボールの手前の砂をソールで押し払う動作を2度も行なったことを指摘され、「ライの改善」で2罰打を科された。

動画を見れば、リードのルール違反は明らかだったが、彼自身は「意図的ではなかったし、カメラアングル次第でどうにでも見える」と主張。当然ながらリードへの批判の嵐が巻き起こった。

リードはその直後にプレジデンツカップに出場。オーストラリアのゴルフファンがリードを激しくヤジるであろうことは大会開幕前から予想され、その通りになった。

「おい、パトリック、キャディに担がせているのはクラブ14本とシャベル1本だろ?」

昨今の米ゴルフ界では、昔より「批判の嵐」が吹き荒れやすくなった感がある。つい最近も国民的スターであるフィル・ミケルソンが欧州ツアーのサウジ・インターナショナルに出場すると発表した途端、方々から批判が噴出した。

アリゾナ州立大学出身のミケルソンは、「第2の故郷」アリゾナで開催されるウェイスト・マネジメント・フェニックス・オープンに過去30回も出場し続け、大会を盛り上げてきたアンバサダーだ。

だが、サウジ・インターナショナルに出ることは同週開催のフェニックス・オープンを欠場することを意味するため、地元の人々は「がっかりした」、「裏切られた」と肩を落とし、米国のゴルフファンは「自分が育ててきた大会を見限るのか?」、「高額なアピアンランスフィに目がくらんだに違いない」と、ミケルソンを激しく批判した。

とはいえ、ミケルソンはすでに十分すぎるほど同大会とアリゾナに貢献してきたのだし、彼にも選択の自由はあって然るべき。仮にアピアランスフィーの魅力に引かれたのだとしても、それを責めるべきではないと私は思うのだが、こうした状況に直面したとき、なんとかして人々の気持ちをなだめたいと考え、即行動するところがミケルソンらしさだ。

上から下まで星条旗デザインのホームウェア姿でソファに座り、自分自身は出場資格を得られなかったプレジデンツカップをテレビ観戦。一生懸命、米国チームを応援している姿を、あえてツイッターで発信し、笑顔を振りまくミケルソンの姿はユーモラスで健気だった。

それで批判が収まるかどうかはさておき、愛国心をアピールし、人々に歩み寄ろうとするミケルソンの真摯な姿勢と誠意は伝わってくる。ミケルソン人気が30年近くも続いている最大の理由は、そうやって彼がいつも誠意を見せてきたからだ。

起きてしまったことを元に戻すことはできないが、大切なのは、批判の嵐の中のまっただ中で、いかに誠意を示すかではないだろうか。

プレジデンツカップでヤジられ続ける中、リードは手にしていたパターをシャベルに見立て、グリーンを掘って「ライを改善している」ような動作を見せて大観衆に「反撃」までしていた。

リードのキャディはギャラリーにつかみかかりそうな勢いで激しく口論する騒動を起こし、最終日の個人マッチではバッグを担ぐことを米ツアーから禁じられた。言うまでもなく、そうしたリード側の姿勢からもたらされるプラスは何もない。

たとえ批判の嵐にさらされたとしても、心の底から誠意を示せば、必ず想いは伝わるはずだ。才能も実力も備えたグッドプレーヤーであればあるほど、愛される存在になってほしい。

文 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>