アマチュア主催者推薦が8試合に制限されたものの、根本的な問題はそのまま【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

アマチュア主催者推薦が8試合に制限されたものの、根本的な問題はそのまま【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

アマチュアの出場機会減を決めたLPGAの小林浩美会長(撮影:GettyImages)

アマチュア選手が女子ツアーに青天井に出られる時代がようやく終わりを告げる。


日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は17日、会見を開き2020年のトーナメント規定の改定項目を発表。アマチュア選手の年間推薦回数を8試合に制限することがわかった。

これまでにも書いてきたことだが、プロ(TP登録者)が主催者推薦で出場できるのは年間8試合まで。それなのに、これまでアマチュアには上限がなく、主催者さえ認めれば年間何試合でも出場できた。過去最多は、高校1年生だった2014年にツアー優勝を飾った勝みなみが、高校3年の2016年に出場した21試合。ここまで多くなくても、力のあるアマチュアが8試合以上に出場することは他にもあった。

これを改善しなければならない理由は2つあった。まず、基本的にプロの試合の場であるツアーに当たり前のようにアマチュアがいるのは異常な状況であること。日本女子オープンなど一部オープン競技や、地元大会などの特別なケース以外は、プロの出場枠を侵害するべきではない。それなのにLPGAは会員の権利を守るどころか侵害するような状況を放置し続けてきた。

もうひとつは、ジュニアたちの教育の問題だ。現在、女子ツアーに出てくるようなトップアマは、ほぼ全員が学生(大半は高校生)だ。にもかかわらず、練習ラウンドを含めると平日から遠方で行われる試合に、年間何試合も出場する。他にアマチュアの試合もあり、学業に影響がないはずがない。ゴルフのために通信制の高校を選択したり、学校側が様々な形で試合出場を認めたりという例も多く、学生とはいい難い状況があちこちで生まれていた。

誰が見てもおかしなこのルール。それなのに、これまで変えられなかったのには大きな理由がある。「有力なアマチュアにプロの試合でプレーする機会を与える」といえば聞こえはいいが、裏を返せばテレビ局も含めた主催者側がアマチュアの活躍を利用してきたという部分が大きい。実際、渋野日向子をはじめとする黄金世代の活躍で、今年はプロが取り上げられる機会も多かったが、それ以前は、アマチュアが少しでも活躍すればそればかりがメディアに取り上げられることが多かった。“アマチュア頼り”の状況が続き、主催者側が積極的に力のあるアマチュアを出場させたがっていたというのが実態だ。

なぜ、このタイミングでの規定改正なのか。プロと同じ8試合は多すぎるのではないか。この2つの質問に対する答えはこうだ。「長く議論してきましたが、アマチュアを管轄するJGA(日本ゴルフ協会)さんとも話し合って決めました。8試合では多い? でも主催者さんの権利もありますし」(原田香里副会長)。

つまり、主催者との折り合いを考えるとプロと同じ8試合が落としどころだったということだろう。

こうなると、考えられるのは各主催者によるトップアマの争奪戦だ。黄金世代の2つ下、プラチナ世代の安田祐香、吉田優利、古江彩佳らがプロになった今、その次の世代、さらに下の世代へと興味は移っていく。試合数が制限されたことはいい方向だが、8試合ではプロの権利もアマチュアへの教育的配慮も中途半端としかいいようがない。

アマチュアはアマチュアの試合と、出場できるオープン競技などで経験を積みつつ、学生なら学生の間にしかできない人生経験をしっかりする。プロの試合で多くの経験を積むのは、プロになってからで十分だ。そんな根本的なことを踏まえて。今後のさらなる規定改正を望みたい。(文・小川淳子)

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