柏原明日架は自己最高シーズンにも慢心なし 上位で戦ったからこそ見えた新たな課題

柏原明日架は自己最高シーズンにも慢心なし 上位で戦ったからこそ見えた新たな課題

ファンの前で2勝できたことを報告する柏原明日架(撮影:ALBA)

今季は初優勝を含む2勝。賞金ランキングは自己最高の11位と飛躍のシーズンとなった柏原明日架。とはいえ、「2つ勝てたことは良かったですが、年間を通してずっと良かったわけではない」と喜びだけではない。そんな激動の1年を、参加したデサントジャパンのイベント『2019/LOVE GOLF-デサント契約プロとまわれる夢のラウンドレッスン』の会場で振り返った。


シーズン全体の振り返りを聞くと、最初に出てきたのは「勝てるまでは苦しい時間が長かったですね」という言葉。渋野日向子、原英莉花ら黄金世代をはじめとする若い選手が続々と初優勝するなか、プロ6年目の自分は「調子はいいけど成績につながらない」というもどかしい日々。「何か変えないといけないけど、どうしたらいいのか。それにシーズン中に大きく変えることはなかなかできない」という葛藤との戦いだった。

「今までやってきたことを持続してトライし続けよう」。そう覚悟を決めたころ、新たな気持ちの変化も芽生えた。「色んな人に相談するなかで気持ちに余裕が出てきたのがこのくらいの時期でした」。7月の「センチュリー21レディス」で予選落ちしたときには、同郷の大山志保に『勝てないのは何でなんですかね?』と相談した。返ってきた言葉は「大事なのは1勝目の早さじゃないよ。ゴルフをやめるときに何勝していたかだよ」とありがたい言葉をもらった。こういった一つ一つが、柏原が感じていた重圧を緩めてくれた。

そうして迎えた9月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で涙の初優勝。勝った直後は「さらに勝ちたい気持ちが強すぎて、体の調子を無視してトライをし続けてしまっていました」と調子を落としたが、10月末の「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」で6打差を逆転して2勝目をマーク。後半戦は、前半戦のうっぷんを晴らすような活躍で、「色々なことがあった1年ですけど、プロ入り当初から目標にしていた初優勝も挙げることができましたし、2つ目も勝つことができたのは良かった」と納得のシーズンとなった。

だからといって浮かれている様子はさらさらない。上位で戦えたからこそ、気は引き締まっている。「いいところに行けば行くほど、自分のまだ悪いところというか、改善すべきことが目に見えました。今までなら成績が出ているから、スコアが出ているからというので見逃していた部分がありましたが、上位の選手は良さそうに見えても全然納得していない。そういったレベルの高さを感じることができた」。結果が出たからといって、うかうかはしていられない。

それゆえに2020年の目標は大きなものを掲げた。『賞金女王戴冠と3勝』だ。

「高い目標かもしれないですが、“もっと”という気持ちを持ち続けるためにも必要なのかなと思います。その高さに設定することでオフの過ごし方も変わってくると思いますし、シーズンの序盤で勝てたとしても高い目標があれば“もっと頑張らないと”と思えると思います。自分を厳しくストイックにやりつつ、うまく息を抜くこともできればランキングも上位にいけると思います」

高い目標のために、勝ち方にもこだわっていく。「2勝とも追いかけての逆転優勝。上に人がいたからこそ、追いかけられた部分はあると思います。逆にいうと自分にストッパーをかけてしまったところが悪かったともいえます。次は、最終日にトップからスタートして、今までとは違う緊張感のなかで勝ちたいです」。逃げてよし、追いかけてよし。勝ち方のバリエーションを増やしていかなければ女王の座には届かないと自覚する。

技術面の課題はショット力。パーオン率88位、フェアウェイキープ率94位で常に上位で戦うのは厳しい。「ずっとパーオン率とフェアウェイキープ率が50位以下。最低でもシード選手(50位以内)のランキングには入らないといけない。でも毎年『そこを上げたい』といっていて、できないということは、もっと目標を高くしないといけないのかなと思います」。

そのため技術面の強化はもちろん、クラブ選びもこれまで以上に突き詰めていく。「信頼しているから、だけではなく常に本当に合っているのかを見直す。このクラブで勝てたから、といって、そのままにしない」。現状維持ではなく、いい意味で『疑い』を持って“さらに上”を模索していく。

自己最高のシーズンを過ごしたからこそ見えた、突き詰めるべき課題。さらなる高みに向けて、23歳はアクセルを緩めるつもりはさらさらない。(文・秋田義和)

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