安定感の源は大きい筋肉 イ・ミニョンのフィニッシュは体幹を使えた証【辻にぃスイング見聞】

安定感の源は大きい筋肉 イ・ミニョンのフィニッシュは体幹を使えた証【辻にぃスイング見聞】

今季2勝を挙げて賞金ランキング5位に入ったイ・ミニョン(撮影:鈴木祥)

賞金ランキングトップ10入りした選手のスイングから強さの要因、そしてアマチュアが参考にすべき部分を探る“Playback LPGATour2019”。第3回は今季2勝を挙げて賞金ランキング5位に入ったイ・ミニョン(韓国)。日本ツアー参戦から3年連続でショットのうまさを示すボールストライキングで1位となったスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。


日本ツアー参戦3年目。シーズン序盤は悪い意味での“慣れ”もあり結果が出ない時期が続いたが、5月の「ほけんの窓口レディース」で今季初優勝を挙げると、その後はなんども優勝争いに加わり、9月の「ゴルフ5レディス」で2勝目をマーク。パーオンホールの平均パット数は6位、3パット率はツアーでもっとも低く、ここ2年間課題としていたパッティングも改善。もちろん、トータルドライビング、ボールストライキングも1位と持ち前のショット力は健在。代名詞のパワーフェードは今季もさえ渡った。

バツグンの安定感を誇るミニョンのスイングについて、「いいところはたくさんあります」と前置きした上で、辻村氏が今回ポイントに挙げたのがフォロースルーからフィニッシュ。「ここを見るだけで、ミニョンさんが体幹をしっかり使えているスイングだと分かります。だからこそ、高弾道で高スピンの球を打つことができるのです」という。

「よく“体幹を使って打ちましょう”という言葉を聞きますが、それは腹筋だけでなく背筋も使わないといけません。イメージとして、いつ腹筋と背筋を使うかと言えば、腹筋はダウンスイング、つまり体が前傾しているときです。インパクトまで前傾で入ってきて、インパクト後にパワーをグンと押し込むためには後傾が必要。つまり背筋を使います」

ただし、あまりにも背筋を意識してしまうと早くから体が起き上がってしまうおそれがある。ミニョンのようなフィニッシュに持って行くためには、体から手元が離れる、すなわちクラブが“走る”状態をつくること。これを意識すれば必然と背筋に力が入り、体と腕が引っ張り合い、ヘッドスピードアップにつながる。その結果、「ミニョンさんのフィニッシュのように手は高い位置にあり、首とクラブに間隔があいている状態となります」。“背筋”が正しく使えればフィニッシュも高く美しいものになり、力強い球となる。

「アマチュアの方が間違えがちなのは、“前傾をくずさないように”や“腹筋を使って打ちましょう”と言われて、フィニッシュまで前傾したままになってしまうこと。前傾のままだとインパクトの後に背筋を使えません。そうなれば猫背、手を早くたたんだフィニッシュになってしまいます。ダウンスイングで腹筋をうまくつかってボールを捉えにかかり、ボールを押し込み振り抜くのは背筋です。一度ミニョンさんのフィニッシュをマネしてみてください。この立ち姿だけでも背筋を使っていることが分かると思いますよ。背中の強い人は大きなボールが打てます」

大きい筋肉を使って打つメリットは、ボールに強さを伝えるだけではない。「大きい筋肉を使えば、そのぶん動きが限定されますし一度覚えれば再現性も高い。また大きい筋肉のほうが動きのイメージもしやすいですし、ゆったりとした“間”もとりやすい。ミニョンさんはかたちだけでなく、間のズレもほとんどない。つまりスランプも少なくなるということです」。飛んで曲がらない。そして高い球を打てる理由はここにある。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。著書には『ゴルフ トッププロが信頼する! カリスマコーチが教える本当に強くなる基本』(河出書房新社)がある。

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