女子ツアーは全英制覇・渋野日向子一色の2019年? いやいや、こんなに話題豊富でした【国内女子ツアー10大ニュース】

女子ツアーは全英制覇・渋野日向子一色の2019年? いやいや、こんなに話題豊富でした【国内女子ツアー10大ニュース】

2019年を象徴するシーンはやっぱりこれ 日本列島が渋野日向子ブームに沸いた(撮影:村上航)

今年も数多くの話題が提供されたゴルフ界。編集部が10大ニュースをピックアップし、2019年国内女子ツアーのできごとを振り返る。今年突如として日本ゴルフ界に現れた“シンデレラ”はもちろん、あの騒動、あの方の結婚話まで…ここで一挙に発表!


■渋野日向子が海外メジャー「全英AIG女子オープン」優勝
今年の女子ゴルフ…もとい! 今年世界のゴルフ界に衝撃を与えたと言ってもいいのが、やはりこのトピックだろう。昨年プロテストに合格したルーキーが一躍その名を轟かせたのが、5月の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」での優勝だった。そして、そのわずか3カ月、その存在を日本全国津々浦々まで知らしめる、とんでもない大仕事をやってのけた。

6月の「アース・モンダミンカップ」終了時の賞金ランクトップ5に滑り込んで、全英の出場資格を得た渋野は、初となる海外ツアーへの挑戦を果たした。現地時間8月1日に開幕した大会で初日を2位で発進すると、そのまま優勝を争う1人に。3日目終了時に単独首位に立つと、トップタイで迎えた最終日の最終18番で6mのバーディパットを、強気の“壁ドンパット”でねじ込み、驚きの初出場初優勝を遂げた。

当初まったくの“無名選手”だった渋野だが、大会が進むにつれ海外のファンやメディアも、その笑顔や天真爛漫な振る舞いのとりこに。“スマイリング・シンデレラ”という言葉が、世界中に配信された。さらに日本では空前の“シブコ・ブーム”が到来。女子ツアーの会場に多くのファンがつめかけるなど、社会現象になった。

■番外編:渋野日向子の“もってる”エピソードあれこれ
ここで、いきなりだが番外編をお届け。特に後半は渋野の話題で持ちきりとなった、今年の女子ツアー。その一つひとつを紹介すると、10個埋まってしまうので、ここで少しまとめてみた。

初日最下位発進ながら、2日目に「66」のチャージで予選通過を果たした4月の「KKT杯バンテリンレディス」で、ゴルフ好きにその名が知れ渡ると、すぐに5月のメジャー大会「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」でツアー初優勝。一気にその名を売った。

ここからはツアー2勝目、さらに前述した全英制覇、最終日に8打差を逆転し優勝した「デサントレディース東海クラシック」など、“やりたい放題”。国内だけでも4勝を挙げ、惜しくも賞金女王こそ逃したが、MVPに輝いた。フィーバーは過熱の一途をたどり『スマイリングシンデレラ/しぶこ』という言葉が、2019ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10入り。年末にはNHK紅白歌合戦の審査員にも選出されるなど、もはやゴルフ界の枠を超えての活躍となった。

■白熱の賞金女王争い! 鈴木愛が怒涛の3連勝で“大まくり”
今季7勝を挙げ、2シーズンぶり2度目となる賞金女王の座についた鈴木愛。終盤の渋野、申ジエ(韓国)との激しい争いは見ごたえバツグンだった。

だが鈴木の道のりは決して平たんなものではなかった。9月の「デサントレディース東海クラシック」で左手親指をケガし、その後「日本女子オープン」など4試合を欠場。復帰した「マスターズGCレディース」開幕前には、賞金ランクは4位だった。この時トップだったジエとの差は約3267万円。しかも、賞金総額2億円がかかったこのビッグトーナメントで予選落ちし、一時は“絶望的”という見方もされた。

しかし、翌週の「樋口久子 三菱電機レディス」開幕前に「まだあきらめていない」と決意を示すと、まずここで優勝。さらに、続く「TOTOジャパンクラシック」、「伊藤園レディス」も制し、驚異の3連勝を飾ると、再びランクトップに立った。「大王製紙エリエールレディス」で渋野が勝ったこともあり、鈴木優位には変わりがないものの最終戦は“三つ巴”の様相に。しかし、ここを5位タイで乗り切り、無事賞金ランクトップのままゴールテープを切った。

■「TOTOジャパンクラシック」で鈴木愛が米ツアー初優勝
もう1つ、鈴木の話題からピックアップ。やはり「TOTOジャパンクラシック」優勝は忘れてはいけない。日本で開催される唯一の米国女子ツアー公式戦で、畑岡奈紗、レクシー・トンプソン(米国)、ユ・ソヨン(韓国)といったバリバリの米ツアー戦士も出場。そんななか鈴木は、2位のキム・ヒョージュ(韓国)に3打差をつけるトータル17アンダーで快勝した。

優勝後には「昔から勝ちたくて仕方ない大会だった。今までで1番意味深い勝利だと思う」と、笑顔。さらに話題になったのが、この優勝で手にした米ツアー参戦資格の行方だった。2020年に鈴木がプレーしているのは米国か? 日本か? その決断に注目が集まったが、最終的には「まだ準備ができていない」と、来季の米ツアー行きは断念した。

■申ジエ、国内女子ツアー初の平均ストローク60台を達成
韓国、米国に続き日本ツアーでの賞金女王戴冠を目指したジエ。最後は勝ちきれない大会が続き、今年の悲願成就はならなかったが、その実力を見せつけるのに十分といえる大記録を樹立した。

それが、国内女子ツアーでは初となる平均ストローク60台の達成だ。スタッツは「69.9399」。2016年にイ・ボミ(韓国)がマークした「70.0922」を塗り替え歴代1位になった。今月行われたLPGAアワード(表彰式)の席では、「いつもバーディしか(頭に)ない。勝負のバーディを、という気持ちでやっています」と喜びのコメントを残したが、元世界1位のそんな“哲学”が、色濃く表れる大記録となった。

■アマチュアの古江彩佳がレギュラツアー制覇
渋野日向子のシンデレラ・ストーリーに沸く女子ツアーには、今年もう1人新星が現れた。それがアマチュアとして活躍を続けていた古江彩佳だ。10月に行われた「富士通レディース」で、史上7人目のアマチュア優勝を達成。新風を吹き込んだ。

今年11月に行われた最終プロテストの合格を目指し、実際に2次予選までを順当にクリアしていた。そして最終テスト前、最後の出場となったレギュラーツアーでこの大仕事は成し遂げられた。当然ながら、これによりテスト免除で正会員入りの資格をゲット。しかも、その後プロとして出場したわずか4試合で2073万円を稼ぎ出すなんて…いやはや末恐ろしい“ルーキー”です。

■今年も強かった黄金世代 5人が初優勝…計12勝!
今年も昨年に続き“黄金世代”が活躍する1年となった。5月の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で初優勝を挙げた渋野も、もちろんこの世代の一人。それ以外に4人の初優勝者を輩出した。

3月の「アクサレディス」を制した河本を皮切りに、渋野、6月の「リゾートトラスト レディス」の原英莉花。さらに7月の「サマンサタバサ レディース」の小祝さくら、8月の「CAT Ladies」の淺井咲希がその面々だ。この他にも勝みなみや、普段米ツアーで戦う畑岡奈紗も国内で2勝。実に39試合中12勝をこの世代だけで稼ぎ出した。

優勝は挙げられなかったが高橋彩華、吉本ひかるは何度も優勝争いを繰り広げ、初シードを獲得。各大会で必ず1人は優勝争いをしている…そんな印象も抱くシーズンとなった。まだまだ隠れた逸材も多く、今後も多くの話題を提供してくれそうだ。

■笠りつ子の暴言が大騒動に発展
10月に行われた「マスターズGCレディース」の会場で、笠りつ子がコース関係者に暴言を吐いていたことが、大会期間中の報道によって明らかになった。大会初日に、お風呂場にタオルが置いていなかったことで、笠と関係者が押し問答に。最後に笠が発した「頭が固い、死ね」という言葉が大問題に発展した。

本人はその後試合出場を自粛。当初は調査中ということもあり実名は伏せられていたものの、10月31日に800文字にわたる謝罪文を笠自ら発表した。11月には「大王製紙エリエールレディス」の会場に姿を見せ、涙ながらに謝罪。「自らの精神の甘さで暴言を吐いてしまった」と改めて事実を認めた。なおLPGAからは、厳重注意と、新人セミナーの受講を義務付けるという処分がくだされた。結局、笠はマスターズGCレディース以降の試合には出場せず、年末のイベント等もすべてキャンセルした。

■復調のイ・ボミが結婚を発表
昨年の絶不調を乗り越え、賞金ランク21位でシード復帰を果たしたイ・ボミ(韓国)。復活優勝も近い? こんな予感を多くの人に抱かせながら、新たなシーズンを迎える。

そんなボミからはプライベートのことで幸せな報告が。今年9月に韓国の俳優イワンとの結婚が大きく報じられ、その後、本人も事実を認めた。12月には挙式も行い、来年は“ミセス・ボミ”でツアーに出場する。「苦しい時も私を支えてくれて…愛されていることを実感します(笑)」など、“熱々トーク”も絶好調だった。

■放映権問題で中止の大会が継続開催へ それに伴いツアー39試合を実施
昨年末に行われた2019年国内女子ツアー日程発表の記者会見。そこで配布された資料では、「KKT杯バンテリンレディス」、「中京テレビ・ブリヂストンレディス」、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」の3大会が“消滅”していた。

これは日本女子プロゴルフ協会(LPGA)が帰属を求めていた、“放映権”に端を発したもの。LPGAの主張を認めないテレビ局、主催者側との軋轢(あつれき)などが連日報じられた。さらにこのうちの2試合が宮城、熊本と地震の被災地だったこともあり、選手のみならず、ファンや関係者からも大きな反発があった。

それを受け年明け早々の今年1月25日に、LPGAが同3大会の実施と、こちらも詳細が決まらずに「LPGA ウィメンズ チャンピオンシップ」という仮称のまま発表されていた大会を、例年通り「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」として行うことを発表。テレビ局側は「選手ファースト、ファンファースト」を実施の理由として説明した。だが、放映権について「理解してもらった」という小林浩美会長と、「話し合いは続く」というテレビ局側の見解に“食い違い”が見られるなど、火種がまだ残っていることをうかがわせる復活劇となった。

■制度変更後初のプロテスト、QTで泣き笑い
昨年2月にLPGAが2019年度からのLPGAプロテスト・LPGAクォリファイングトーナメント(以下QT)の制度変更を発表。QTの受験資格が「LPGA会員」のみになることが決まった。裏を返せば、これまでTP単年登録選手としてツアー出場を続けていた非会員は、特別な資格が無い限りQTを受けられず、翌年の出場権が得られないことを意味する。

そのため今年のプロテストは多くの非会員の選手にとって重要度が増すことに。安田祐香といった高卒組や、海外勢のアン・シネ(韓国)といった選手が合格するなか、16年の「ヨネックスレディス」で優勝経験を持つP・チュティチャイ、今年のステップ・アップ・ツアー賞金女王のヌック・スカパン(ともにタイ)や、三浦桃香といった注目選手が不合格となり、来年の“職場”を失った。

QT自体も受験者数が減ったこともあり、従来の4ステージ制から、ファーストとファイナルのみの2ステージ制へ変更。その会場では、プロテスト不合格ながらステップ優勝でQT出場権をつかんだ選手が、まさに“崖っぷちの戦い”を繰り広げるなど、例年とは一味違う気持ちで臨む4日間になった。なお来年単年登録できない選手は、推薦出場も不可能。改めてその厳しさを痛感する冬となった。

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