“激動の1年”が終幕 悔し涙あり、笑顔あり…賞金女王へひた走った最終章【プレーバック・渋野日向子2019 11月編】

“激動の1年”が終幕 悔し涙あり、笑顔あり…賞金女王へひた走った最終章【プレーバック・渋野日向子2019 11月編】

最後まで女王の座を争った鈴木愛(左) 渋野日向子の2019年シーズンが終わった(撮影:村上航)

賞金女王戴冠を目指しひた走っていた渋野日向子は、2019年シーズンの締めくくりとなる1カ月に“山と谷”の両方を経験することになった。


11月の始まりの日、渋野は台湾にいた。「全英AIG女子オープン」以来となる米ツアー「スインギング・スカーツLPGA台湾選手権」を戦っていたからだ。国内では賞金女王争いが大詰めを迎える時期だったが、世界ランクアップのために海を渡ることを選択。最終的には39位タイという結果に終わったが、「アメリカツアーの雰囲気は本当にいいなと思いました」と、異国の風に心地よさをおぼえた。

そして帰国後も、立て続けとなる米ツアー出場が待っていた。次なる戦いは、日本で開催される唯一のUSLPGA公式戦「TOTOジャパンクラシック」。日本ツアーの精鋭が集まる大会に、当然ながら渋野も名を連ねていた。初日には「高校時代からの憧れでした」という世界の飛ばし屋、レクシー・トンプソン(米国)とのラウンドも叶うなど、ここでもその雰囲気を楽しんだ。

しかし、プレーではモヤモヤが続く3日間となった。ショット面に違和感を感じながら、それをごまかしつつのプレー。それでも2日目を終えトップと6打差の7位タイにつけていた。だが最終日も「アイアンがインパクトの瞬間に緩んでしまっているのか、右や左に飛んでどうしようもなかった」と修正には至らず。最終的に13位タイで大会を終えることになった。

さらに、ここで米ツアー初勝利を挙げたのが鈴木愛だった。2週連続優勝というおまけ付きで、賞金をグングン加算した。渋野の賞金ランクも、ここで2位から3位に後退。「結果を出さないといけないなかで、出し切れていない。抜かれて当然」とサバサバした表情で振り返ったが、この瀬田で行われた大会が、女王争いをさらにし烈なものにした。

そして、ここからが冒頭で記したように一度谷をくだり、その後山を登る“アップダウンの激しい”2週間となる。女王争いのためにも「上位争い」が必須と考えていた翌週の「伊藤園レディス」だったが、周りが軽やかにスコアを伸ばしていくなか、渋野は停滞の時間を長く過ごすことになった。

21回目の誕生日となった11月15日に行われた初日。多くのギャラリーからの祝福を受けるなかプレーしたが、1アンダー・36位タイと大きくスコアを稼ぐことはできなかった。さらに2日目はパープレーで、前日とスコアは変わらず。終わってみれば、予選カットラインに1打及ばずの51位タイで、予選落ちを喫してしまった。今年3月の「アクサレディス」以来となるカットを味わい、その目からは涙もこぼれる。「“賞金女王”ということを私の口から言っちゃいけない」。受けたショックはあまりに大きいものだった。

さらにこの大会で、鈴木が“怒涛”ともいえる3連勝を達成。渋野にとっては、目指していた女王の座が、風前の灯になったことを意味していた。

だが、今年何度も奇跡と呼べるできごとを起こしてきた渋野は、次の試合が行われた愛媛で息を吹き返すことになる。今季も残すところあと2試合となった「大王製紙エリエールレディス」で、女王への望みをつなぐ優勝を手にしたのだ。伊藤園での予選落ちで支えてくれる人のありがたみを再確認。「ここまで“誰かのため”に勝ちたいと思ったことはなかった」という思いでつかんだ勝利だった。

この結果、女王争いは最終戦の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」に持ち越された。それでも渋野に課された逆転女王への最低条件は『単独2位以上』。そのうえで鈴木の結果次第と、ハードルは決して低いものではなかった。

最終決戦が行われた宮崎のコースには、連日日が暮れるまで居残り練習に努める鈴木と渋野の姿があった。そして渋野は一縷(いちる)の望みにかけるように上位争いを続け、最終日を3位で迎えた。最後は、優勝したペ・ソンウ(韓国)に4打及ばずの2位タイで大会を終え、鈴木が2季ぶりに女王を奪還するというエンディングを迎えたが、最後の最後まで見る者に期待感を抱かせるそんな4日間だった。

「(賞金ランク2位は)『1年間よく頑張ったね』って神様が与えてくれたのかなとも思う。でも『まだ1位になるには早い』という試練も与えてくれた。足りない部分は多いので、頑張ろうと思わせてくれる2位ですね」

最後まで清々しい表情は変わらなかった。『国内31試合出場で4勝』、『全英AIG女子オープン初出場初優勝』、『獲得賞金1億5261万4314円、ランク2位』…、これらの数字を見るだけでももちろんすごい成績だが、まさに“記憶にも記録にも残る活躍”を続け今年の日本ゴルフ界を背負って立った。渋野のルーキーイヤーは、激動”という言葉では表現しきれないものになった。東京五輪、米ツアーの予選会などが待ち受ける『2020年』は、一体どんな姿を我々に見せてくれるのだろうか。

【11月の成績】
■※スインギング・スカーツLPGA台湾選手権
39位タイ
■TOTOジャパンクラシック
13位タイ
■伊藤園レディスゴルフトーナメント
予選落ち
■大王製紙エリエールレディスオープン
優勝
■LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ
2位タイ
(※は米国女子ツアー)

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