稲見萌寧はギャップ萌え!? 岡山絵里の切れ味はまさに職人【翔太のスタッツ大予想】

稲見萌寧はギャップ萌え!? 岡山絵里の切れ味はまさに職人【翔太のスタッツ大予想】

気持ちで調子を上げるタイプという稲見萌寧(撮影:岩本芳弘)

新シーズンの開幕まで約1カ月。試合がないのは寂しい限りだが、オフのトレーニング情報などから、どんなシーズンになるのかと思いを巡らせる楽しい時期でもある。そこで2019年の数字を参考にしながら、色々なスタッツで注目すべき選手を紹介。昨年初シードを獲得した大西葵の兄で、青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏に今季の女子ツアーの行方を予想してもらった。今回はパーオン率について。


昨年、2017年の日本ツアー参戦からずっとパーオン率1位を守っていたイ・ミニョン(韓国)さんが首位の座から陥落しました。代わりに1位となったのは昨年大ブレイクを果たした稲見萌寧さん。78.2079%という数字はお見事というほかありません。

何がすごいって、ぶっちゃけて言わせてもらうと、練習日にドライビングレンジで見ているとそうでもないんですよ。結構ダフったり、トップしたりとかもする。正直、「本当にこの調子で試合大丈夫なのかな?」と思うときもありました。でも、いざ試合になったら素晴らしい(笑)。「昨日までのあの球どこに行った!?」という感じです。ガッツがあるタイプということでしょう。

試合への持って行き方がフル参戦初年度とは思えないくらいうまいんです。日曜日にピークを持ってくるようなタイプだと思うんですよね。技術面がどうこうというよりも練習日とキレが全く違う。火曜日から日曜日にかけてグーッと上がっていって、また月曜日にガーンって下がる。そこから毎回上がってくるプレイヤー。正直、理解の範ちゅうを超えているところがありますね。調子が悪いところから気づいたら優勝争いをしていることもままありましたから。稲見さんのそういった「ギャップ萌え」なところ、日増しにギアが上がっていくところに注目してもらいたいですね。なかなかできることじゃありません。

パーオン率、すなわちアイアンショットの精度の高さですが、技術の面で注目してもらいたいのは岡山絵里さんです。僕は彼女を職人だと思っています。球を捌(さば)くのがとてもうまいんです。

わざと上から入れて、スピンをかける。アゲンストだったら、わざとスピンが少ないボールを打つ、フォローだったらスピンを多く入れる、とか。まさに職人です。まるでお寿司屋さんが魚に対して包丁の入れ方を気にするかのようです。それで味が変わる、といったところでしょうか。彼女はヘッドの入れ方でボールの質が変わるタイプだと思うんです。

スイングで変えているわけではないんです。自分の球筋をイメージすることで、そのイメージに基づいて体が動いてその通りの球が出ている。岡山さんは女子プロのなかでもトップクラスにハードなトレーニングをしています。そのなかで体力だけでなく、自分のイメージ通りに体を動かせる力があると思うんですよね。そのぶん、飛距離も出るから持つ番手も短くなる、そうするとパーオン率が上がる。パーオン率はあくまで『グリーンに乗る確率』であって、ピンに寄せる距離のスタッツがあったら岡山さんはさらに上位に行く可能性は高いです。

もう1人、『ピンに寄せる距離』でトップクラスなのが申ジエ(韓国)さん。ただし、ジエさんはミニョンさんや岡山さんほど飛距離が出ないのと、本来外してはいけないところに外してしまっても寄せられるアプローチの技術があるからピンをデッドに攻めた結果、この数字だと思います。コンスタントに240〜250ヤードにきていたら手をつけられないです。ぶっちぎりでしょうね。

もう、会話からレベルが違うんです。以前、「伊藤園レディス」で一緒に回らせていただいたときのことです。左に池がある17番のパー3。ピンが左奥に切ってあって、風は右から。ちょっとでも左に出たら絶対に池ポチャなんですよ。でも、「左からフェード打ちます」って左からピューっ、ピタっ(笑)。なにかボールに細工でもしているんじゃないかって考えてしまうくらい正確でした。

それ以外にも、100ヤード以内からベタピンにつけたのに首をかしげていたので、終わった後に、『失礼ですけど最後のアプローチ、どういう気持ちで打ったんですか?』って聞いたら、「いや、入ったと思ったんですよ」と。「私は100ヤード以内は狙っています」とはっきりおっしゃいました。あ、もう見ている世界が違うなと感じましたよ。

【2019年パーオン率】
1位:稲見萌寧 78.2079%
2位:イ・ミニョン 76.1504%
3位:岡山絵里 75.7767%
4位:高橋彩華 74.6032%
5位:穴井詩 74.577%
6位:松田鈴英 74.4553%
7位:ペ・ソンウ 74.1497%
8位:ペ・ヒギョン 73.9781%
9位:申ジエ 73.6434%
10位:原英莉花 73.2926%

解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。2016年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。プロゴルファーの大西葵は実妹。

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