切り返しが早いリー・トレビノは「ナイスおっちゃんスイング」【レジェンドのスイング回顧録】

切り返しが早いリー・トレビノは「ナイスおっちゃんスイング」【レジェンドのスイング回顧録】

メジャー6勝の名手 リー・トレビノのスイングを井上透が解説(撮影:GettyImages)

1974年の34歳だったリー・トレビノ(米国)のスイングを振り返ってみよう。トレビノはPGAツアー通算29勝、メジャー通算6勝。1970年には賞金王に輝いた。フェードボールが持ち球だったトレビノのスイングを、ゴルフスイングの歴史に詳しいプロコーチの井上透氏が解説する。


トレビノのスイングの良いところは早い切り返しです。バックスイングで左腕が地面と平行になったところで、もう体は左へシフトし、切り返し動作が始まっています。トップがコンパクトでフェースの開閉も少ないので、現代のクラブとボールを持たせても、真っすぐ飛ばせるスイングだと思います。世界ランキング2位で25歳のジョン・ラーム(スペイン)が年を取っておじさんになったら、こういう感じのスイングになるかもしれません。ラームもすごくスイングがコンパクトでフェースの開閉が少ないのですから。

一般のゴルファーは、飛ばそうと思ってスイングが大きくなりすぎている人が多いですね。切り返しで腕と脚にかかる力が弱いので、ボールに力が伝わりません。でもトレビノがコンパクトなスイングでも飛ぶのは、腕に緩みがなく、左足が流れずに真っすぐ下に踏み込めているから。打った後には左足が伸びて、脚からの力を最大限に生かしています。

それに対して腕は、ダウンスイングで手首の深い角度をキープ。体の回転が止まらないからヘッドよりも手元がリードし続け、フォローでフルリリースできています。だから小さなスイングでも大きな力を生み出すことができるのです。

トップの大きさは体の柔軟性に依存しています。女子プロの場合は、トレビノと同じタイミングで切り返しても、体がやわらかいのためにクラブの重さでトップは大きく上がります。体が硬いトレビノのような中年ゴルファーは、このくらいのトップの大きさが適切です。スイングに緩みがない「ナイスおっちゃんスイング」だと言えますね。

■解説・井上透
1973年生まれ。神奈川県出身。1997年からツアープロコーチとしてのキャリアをスタート。中嶋常幸、佐藤信人、米山剛などのコーチを務めた。現在は成田美寿々や穴井詩らを指導している。東京大学ゴルフ部監督としての顔も持つ。

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