小一時間待たせても… 怒らず笑顔で待ってくれたスマイルクイーン【現場記者の“こぼれ話”】

小一時間待たせても… 怒らず笑顔で待ってくれたスマイルクイーン【現場記者の“こぼれ話”】

連載を始めた4年前…今とほとんど変わりません(撮影:福田文平)

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内だけでなく世界各国で中止が余儀なくされているゴルフトーナメント。なかなか試合の臨場感を伝えることができない状況が続いています。そんな状況のなか、少しでもツアーへの思いを馳せてもらおうとツアー取材担当が見た選手の意外な素顔や強さの秘訣、思い出の取材などを紹介。今回は連載担当時に見たキム・ハヌルのやさしさについて。


ハヌルプロの連載を担当していた今から4年前ほど前のこと。私は「ほけんの窓口レディース」の指定練習日となる火曜日に、取材をさせてもらう約束をしていました。約束した時間は14時。とは言っても、練習が終わったタイミングというざっくりな時間設定だったので、もう少し遅い時間になるだろうなというのが私の読みでした。当然、選手の練習が最優先ですから。

私はその日の11時に福岡空港に着く便で羽田から福岡入る予定でした。ですが、予定通りのフライトで福岡空港に着いて携帯電話の電源を入れると、マネージャーさんから着信がいくつも入っていました。慌てて折り返すと想像していなかった言葉が。「今日は練習しないで引き上げようかと思っているのですが、今どちらにいらっしゃいますか?」。そうです、この日の福岡は土砂降り。練習ラウンドができるような状況ではなく、今日は早めに取材を受けてゆっくり休み、翌日にたくさん練習しようとハヌルプロは考えたわけです。

ところがどっこい、私はまだ空港で預けたスーツケースを待っている状態。取材を断られる覚悟で、正直に今いる場所と到着予定時刻を伝えました。「プロに確認します」とマネージャーさん。事前に現地の天気も調べない、予定の変更がないか直前に確認もしていない連載担当者に、取材どころか連載を断られても仕方がないという気持ちもありました。

祈るような思いでいると、受話器から「明日にするのもあれですし、待っていますよ」と天の声が。「ありがとうございます!」。急いでタクシーに飛び乗り、到着したのは12時になろうかという時間でした。

取材は受けてくれることになったけど、絶対に怒られるだろう。小一時間も待たせてしまったのだから。そう思いながら和白の階段を急いで駆け上がった私を待っていたのは、笑顔のハヌルプロでした。「お待たせして本当にすみません」と謝る私に「大丈夫ですよ。さぁ始めましょう」と。その言葉にどれだけ救われたか分かりません。取材も予定していた時間よりもたくさんお話しいただき、無事に終了しました。本当に救われた思いでした。

お化けが大嫌いで「肝試しをやるくらいなら、愛が深まらなくて結構です(笑)」と本気で嫌そうな顔をしたり、好きな男性のタイプを聞いたときにゴルファーは嫌と言いつつ「ジェイソン・デイなら考えるかも(笑)。でも、逆に私で大丈夫かなぁ(笑)」とおどけてみたり。後にそんなお茶目な一面があることも知りましたが、当時はまだ連載を始めたばかりで、ハヌルプロのことをそこまで知りませんでした。キリっとしたクールビューティ。少し怖いイメージがあったもの事実です。ですが、それは勝手な僕の先入観でした。

連載は好評いただいたこともあり、予定していた1年を延長して2年間続きました。その間、メジャー連勝や賞金女王争いなど大活躍だったハヌルプロ。毎週のようにしつこい取材を続ける私は、とても面倒な存在だったと思います。それでも長期間連載を続けられたのは、ハヌルプロのやさしさがあったからこそです。なかなか開幕が見えない状況ですが、またスマイルクイーンの名にふさわしい笑顔で取材を受けてもらえる日を楽しみにしています。(文・秋田義和)

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