コースに歓声が戻った2日間 レギュラーツアーでも観客は入れられる? 入れられない?

コースに歓声が戻った2日間 レギュラーツアーでも観客は入れられる? 入れられない?

選手を応援する幕も登場 久しぶりにコースに歓声が戻った(撮影:ALBA)

「ナイスオン!」、「ナイスバーディ!」。4日まで静岡県の伊豆大仁CCで行われていた「ISPS HANDA 医療従事者応援 チャリティレディーストーナメント」は、そんなギャラリーの声援がコースに戻った2日間となった。チャリティマッチながら、女子としては今年初めて観客を入れて実施された試合には、初日は506人、最終日は551人が足を運んだ。


大会を主催した国際スポーツ振興協会(ISPS)の半田晴久会長は、「完璧なコロナ対策をして観客を入れていく。最初にできればこの後もどんどんと続いていく」と、先月末にシニアツアーの開幕戦を同じ静岡県でギャラリーを入れて開催。それに続いたのが昨日まで行われたチャリティマッチだった。

そして、この2大会を終え半田会長は、改めて観客を入れることの重要性と、それに向けた取り組みについての持論を語った。「賞金があり、観客がいる。そういう試合でないと、本当のゴルフの実力は出ないと思う。ここにプロアマがあるのがゴルフトーナメントの日常。早くレギュラーツアーでも、その日常が戻ればいいですね」。今回の取り組みの根底にあるのは、こんな思いだ。

では、実際に現場では何が行われていたのか? まずギャラリーは会場に入る際、サーモグラフィを利用した検温や、うがい、手の消毒をしたうえで会場に入る。ちなみに、この検温システムは1台70万円ほどする最新のものだという。確認できた範囲ではあるが、これがギャラリーゲートと、クラブハウスの入り口に設置されていた。画面の前に立つと、1秒も経たないうちに『検温完了』という通知が出された。

これに加えてフェースシールド、マスクも無料で配布。ここまでやって、ようやく1番ティや9番グリーン後方などに指定された観戦エリアでプレーを楽しむことができる。さらにその場所には警察官に扮し“ミッツポリス”と名付けられたボランティアが配置され、ソーシャルディスタンスを保つことが促される。これ以外にも空気清浄機や特殊な除菌シートなどがクラブハウスやトイレに設置。独自の感染防止策も採られていた。

もちろん「目に見えない敵なので100%(防げるわけ)ではない。どこで罹るかは分からないし、気を付けていても罹る場合もある」という前提は理解している。そのうえで半田会長は、「いくら言っても(独自の感染防止策など)実証を示さないといけない。チャレンジすることが大事」という覚悟で、実施に踏み切った。

「政府のガイドラインだけで感染が防げるなら、とっくに(感染者は)減っているはず。それ以上の研究をもっとやればいい。今はありきたりの対応で、(感染リスクを)恐れてばかり。もっとそれぞれが研究していけばプロアマもできるし、観客も入れられる。そこは歯がゆいですね」。ツアー会場に再びギャラリーの歓声が響くことを待ち望んでいるからこその、挑戦だった。

活況を呈している女子のレギュラーツアーは、土日ともなると1万人のギャラリーが来場する大会もあり、観客の規模は今回のチャリティマッチの10倍、20倍にも膨れ上がる。今回成功したからといって、すぐに他でも実践…とはならないのが現在の流れだろう。

例えば、観戦エリアを設けることで、そこに多くの人が集中してしまうケースは想像に難くない。かといって、これまで通りの観戦を許せば、今度はスタッフの目も行き届かなくなる。入場時も、来場者が多ければ多いほど検温などに手間取って混雑につながることも想定できる。入場数の制限や入場エリアを限定するなどの対応策がその第一歩になるのだろうが、自由に会場を歩き回り観戦する競技ゆえにクリアしないといけない問題も出てくるだろう。

それでも、今回ギャラリー入場可の大会を実施したことは、今後“日常”を取り戻すうえでの大きな指標になるはず。大会に出場した大山志保は、「今年はギャラリーの前でプレーできるとは思っていなかった。私たちはみなさんの前でいいプレーを見せたいという気持ちが結果につながる」という実感を口にしていた。

観戦スタイルの違いはあれど、他のプロスポーツでも観客を入れる流れは進んでいる。ゴルフ界でも、しかるべきタイミングを迎えた時に、すぐに最善策を採ることができるよう議論を続けていくことが重要になりそうだ。半田会長の“後にどんどん続くように”という思いが、いつ、どのような形で実を結ぶのか? それも見届けていきたい。

<ゴルフ情報ALBA.Net>