スランプの入り口とハマった泥沼【渡邉彩香復活への道のり】

スランプの入り口とハマった泥沼【渡邉彩香復活への道のり】

スランプの入り口を激白(撮影:佐々木啓)

6月に行われた今シーズン初戦の「アース・モンダミンカップ」で5年ぶりに優勝し、8月14日(金)に開幕する「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で2試合連続優勝を目指す渡邉彩香。長きにわたりスランプに苦しんだ長距離砲はいかにして苦難を乗り越えたのか。今回は調子を崩したきっかけと悪化した原因を渡邉本人に聞いた。


2012年にプロテスト合格。13年にギリギリ賞金ランキング50以内を確保し、シード初年度となった14年の「アクサレディス」で初優勝。翌15年には地元静岡の「ヤマハレディース」など2勝を挙げて賞金ランキング6位と着実に数字と実績を積み重ねていった。

16年には海外女子メジャー「全米女子オープン」に出場。リオ五輪代表の座をかけて20位タイから順位を上げようとした最終日の18番ホール。バーディを狙いギリギリを狙った3打目がグリーンエッジから池に転がり落ちた。このダブルボギーで38位に後退し、代表の座を逃した。

これが苦難の始まりだった。五輪出場を逃して「狙っていけないピンがあったり、自分の球じゃ思うように打てないホールがあったりすることを感じました。もう1段も2段も精度を上げてバリエーションを増やさないといけないと思って」と、アイアンの精度アップに努めた。特に持ち球のフェードボールの曲がり幅のコントロールを重点課題とし、世界で感じた足りないものを強化し始めた。

ところがコーチなどの手を借りず、一人で高みを目指したため、すぐさま壁にぶつかる。

「それまではトラブルショットの時に球をつかまえたり、上げたいと思った時に浮かすことなど、“こういう球を打ちたい”という気持ちを持てば自然とできていました。それで直感でやり始めたのですが、小手先でやっていた。今思えばそれがいけなかった。優勝もしていたけど、自分のスイングをよく分かっていなくて、ひたすら球を打っていい動きを染みこませていただけでした」

これを変えようとしたことでおかしい方向へと向かってしまう。いいイメージが消えていき、フェードヒッターなのにどうやってボールを左に打ち出していくのかまで分からなくなった。

「ヤバい、ヤバいと思っていました。どこに飛んでいくか分からなくて、毎週暫定球を打ちまくっていました。しっかりフィニッシュまで振り切れるのに曲がるのがつらかったですね」。17年の「ヨネックスレディス」2日目に、10番で2度の打ち直しで「8」を記録するなど9ホールで5回OBを打ち「48」の大叩き。自己ワーストタイの「85」で予選落ちを喫してしまう。さらに次戦の「サントリーレディス」では、「大きいフェードを打ってやり直そう」と臨んだが、怖くて左に打ち出せない。「左が気持ち悪くて直せない」と泥沼にはまると、ここからは一気に状態を落としていった。

「とにかく打つしかない」。練習することで克服を試みた。暇さえあれば球を打った。それでも感覚は戻ってこない。「出口が見えない、これ以上に何をすればいいんだろう。そういう気持ちはありました」。それでも、ゴルフが嫌になることはなかった。迷いながらも逃げずに自分と向き合っていった。

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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