楽しく攻めることができる古江彩佳 海外メジャーでどうプレーするか楽しみ【辻にぃ見聞】

楽しく攻めることができる古江彩佳 海外メジャーでどうプレーするか楽しみ【辻にぃ見聞】

穴がない古江彩佳 海外メジャーでの活躍にも期待(撮影:米山聡明)

プレーオフにもつれ込んだ「伊藤園レディス」は、古江彩佳が酒井美紀を3ホール目で下して今季2勝目を手にした。古江はアマチュア時代に制した「富士通レディース」を含め、ツアー3勝目。今季は12戦で2勝目、その強さはどこにあるのか。上田桃子や小祝さくららを指導する辻村明志コーチが解説する。


■楽しく攻める古江 ネガティブさがない

デサントレディースを終えて、「どのように力をつけていくか楽しみです」と話していた辻村氏だったが、そこからわずか1カ月で今季2勝目。あらためて強さに迫ってみると、キーワードは二つ。「笑顔」と「攻める」だ。

「いろんな選手が言っていますが、あれだけゴルフを楽しくできたら本当にいいねと。ラウンド中もずっと笑顔です。追い込まれても表情が崩れない。キャディさんともいい空気感でやれている。明るく楽しくできてネガティブさがないのが、相手にも伝わるし、それが強みです」

テレビでご覧の皆さんも思ったはずだが、古江は常に笑顔を絶やさない。ティショットを曲げても、グリーンを外しても、パットを外しても笑顔。ツアールーキーながら楽しくゴルフができているのが勝因の一つと言っても過言ではない。

ただし、楽しくできるのには当然理由がある。それは、攻めることができる技術の裏付けもあるからだ。「優勝スピーチで、攻めるゴルフをしてきたい。それを見て楽しんでほしいと言っていました。それを口にできるのが素晴らしいですが、それを可能にしているのは、安定したスイングなんです」。

辻村氏が古江のスイングを見て驚くのはグリップのプレッシャーだ。「手はグリップに触れている程度。こんなにグリッププレッシャーを弱く握れる人はいないと思うんです。手に力が入らないから腕にも力が入らない。腕に力が入らないから、体の動きに自然とついてくる。力みがないから打点のズレもなくてインパクトの厚みが出る」。

普通なら重圧がのしかかしそうなものだが、「最終日のあの大一番で安パイではなく緩まずピンまでしっかり打てる選択。勇気がありますね」と辻村氏も絶賛。プレッシャーを感じさせない明るさと、プレッシャーが低いグリップ力で12戦2勝というルーキーらしからぬ結果を出している。

■安定感、一定感が攻めを生み出す

最終日のプレーオフ3ホール目。パー4の2打目を7番アイアンで放ち、手前から転がしてピンに当ててイージーバーディを奪って優勝したシーンは強烈だったが、その前にも古江らしさがあったという。それが17番パー3。今大会難易度1番の名物パー3だ。

「あのホールで、グリーンの奥に外す人をいままで見たことがありません」。左には池が待ち受ける197ヤードのパー3。最終日は左奥にカップが切られ、ドラマを生み出してきた。ほとんどの選手はフェアウェイウッドかユーティリティで安全にグリーンの右サイドに乗せるか、はたまた右のバンカーにつかまってしまう。

「だいたい怖さがあるから、インパクトが緩むんです。経験を積めばなおさらそうなりやすい。それが古江さんはスイングによどみなく振れるから攻めていけるんです」。奥から寄せてパーをセーブしたわけだが、「リカバリー率も1位、パーセーブ率も1位ですし、サンドセーブ率も4位。飛ばないわけでもないのに、フェアウェイキープ率も1位。穴がない」と安定感、一定感はピカイチだ。

■海外でこのゴルフが通用するのか期待

昨年はアマチュア優勝を果たし、最終戦の「JLPGAチャンピオンシップリコーカップ」で2位に入った古江。今年は「狙っていると思います」と辻村氏。いや、「昨年も狙っていたと思います」と訂正する。

今年2月に宮崎合宿で、会場の宮崎カントリークラブを訪れたときのこと。「古江さんがいたんです。もう、そこで練習しているんだな、と思ったのを覚えています。距離はないけどすごく正確性が試されるコース。狭いホールでもプレッシャーがなく打っていける。今年も狙っているでしょう」。いまの勢いとプレースタイルにはまるコースで、確実に優勝候補の一人になるだろう。

最新の世界ランキングでも30位に上がった古江。まずは12月の「全米女子オープン」の出場権が下りてくるのは確実だが、辻村氏も海外でのプレーが楽しみと話す。「爆発力というのはパワーだけではないんです。安定感とショートゲームが上手い人が爆発するんです。いまの古江さんのこのゴルフがどこまで通用するか楽しみですね。このゴルフが通用すれば、いままでの考え方を覆すことになります」。

プラチナ世代を代表する古江の快進撃が海を渡る日も近そうだ。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、山村彩恵、松森彩夏、永井花奈、小祝さくら、吉田優利などを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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